〈安芸高田市の石丸市長も参戦〉“女帝”小池都知事は自身の公約「7つのゼロ」未達成でも3選安泰の理由とは…一方、“立憲の女帝”蓮舫氏は補選に続いて党本部と足並み揃わず迷走必至?
集英社オンライン / 2024年5月18日 7時0分
東京15区補選で、小池百合子東京都知事が擁立した乙武洋匡氏が大惨敗の5位に終わってから約3週間。学歴詐称問題もまだ尾を引き、東京都庁での大掛かりなプロジェクションマッピングが「税金の無駄」と批判されるなど都政の課題も山積みだが、小池氏本人は「どこ吹く風」だという。市議会やメディアとの対決姿勢が注目を集めている石丸伸二・安芸高田市長が都知事選出馬を表明するなか、小池氏自身は虎視眈々と「3選」に向けて歩みを進めている。
(画像)約40年前、若かりし頃の小池百合子知事。1982年発売の著書『振り袖、ピラミッドを登る』
「裏金」萩生田氏と「学歴詐称疑惑」小池氏の思惑が一致
「自民党さんから何か聞いているわけではない」
5月15日、小池氏は、自民の都知事選擁立見送り報道について記者団に問われ、こう述べるにとどめたが、その顔には余裕の色が浮かんでいた。
「自民は裏金問題による逆風を受け、4月28日の3補選では全敗。5月26日投開票の静岡県知事選でも苦戦を強いられています。そうした中で、7月7日の首都決戦で敗北したら、ますますダメージは大きい。そのため、小池氏との連携に舵を切りました」(自民関係者)
国政への返り咲きも取りざたされてきた小池氏だが、現在は3選に向けた都知事選出馬が既定路線となっている。
「国政に復帰しても、小池氏と親しかった二階俊博元幹事長は次期衆院選への不出馬を表明しており、首相の座への道筋は描きにくい。それならば、首都の知事として大きな予算を握っていたほうが、自身の存在感も保てます。
5月15日には、自民東京都連の会長も、小池氏と近い萩生田光一前政調会長が続投することが決まりました。裏金問題でダメージを受けた萩生田氏と、学歴詐称問題がいまだ尾を引く小池氏の互いの利害が一致し、タッグを組んで小池氏の3選を目指すことにしたのです」(同)
16日には、市議会議員の居眠りを指摘するなど、市議会やメディアとの対決姿勢がYouTubeで話題を集めている石丸伸二・安芸高田市長が「東京を変えて日本を変えたい」と都知事選への立候補を表明。小池氏の都政をどう批判していくのかが注目される。
一方、自民としては、最近は都議会自民会派とも協調姿勢を見せてきた小池氏を何らかの形で支援する方針に変わりはないとみられる。
「7つのゼロ」は未達成でもプロジェクションマッピングでご満悦
3選を目指す小池氏は東京都の潤沢な予算を武器に、注目を集めやすい事業を次々と打ち出してきた。
2月からは東京都庁の建物にプロジェクションマッピングを映し出し、観光地化。その映像は世界最大としてギネス記録にも認定された。
小池氏は「プロジェクションマッピングはキラーコンテンツ。ここ(都庁)をキャンバスとして発信していく」と胸を張ったが、投影のための予算は2023年度だけでも7億円。都は経済波及効果を18億円と見積もるが、「他に優先すべきことがあるのに税金の無駄」と批判も浴びている。
「小池氏は2016年の都知事選で、『介護離職ゼロ』『満員電車ゼロ』『残業ゼロ』など『7つのゼロ』を公約に掲げましたが、達成できたのは、犬や猫の譲渡を進めることで実現した『ペット殺処分ゼロ』くらい。今は小池氏から『7つのゼロ』の話は出てきません」(全国紙政治部記者)
その代わり実行したのは、子ども1人あたりの月5000円給付や、高校授業料の実質無償化などだ。
「小池氏はこれらの施策を国が行なう少子化対策に先駆けて打ち出し、注目を集めました。子育て世帯からは『ありがたい』との声が上がる一方、『露骨な選挙目当て』との声も出ています」(同)
野党は蓮舫氏VS泉代表のバトルも尾を引き…
一方の野党。前回の都知事選では立憲が共産などとともに弁護士の宇都宮健児氏を支援したが、宇都宮氏は小池氏に4倍以上の大差をつけられての惨敗に終わった。
「前回は小池氏の学歴詐称疑惑を告発した書籍『女帝 小池百合子』が発売された直後の選挙戦でしたが、結果は小池氏の圧勝。今回は、そのときに負けた宇都宮氏らが呼びかけ人となって、立憲や共産、市民団体などでつくる候補者選定委員会が野党系の候補擁立を目指す形です」(全国紙政治部記者)
しかし、候補者擁立は思うように進んでいないという。
「これまでに名乗りをあげた人物もいましたが、一般的な知名度がない学者で、さすがに小池氏の対抗馬としては厳しい。ほかに蓮舫氏らの名前もあがっていますが、小池氏に勝てるような本命の擁立には至っていません」(同)
さらに、ここにきて立憲都連と党本部の隙間風も表面化している。立憲は東京15区補選で擁立した酒井菜摘氏を当選させたが、補選で勝利するまでの過程では、都連と党本部との間の溝も浮き彫りになった。
「都連が酒井氏の擁立を進めていた一方、党本部が一時、須藤元気氏の擁立も検討するなど、調整が難航。結局、酒井氏の擁立が決まったが、選挙戦が始まってからも、都連幹部である蓮舫氏が泉代表を毛嫌いしているため、党本部と十分に連携がとれていない場面が目立ちました」(立憲関係者)
この関係者によると、泉氏が酒井氏の応援演説をすると申し出ても、蓮舫氏がしぶり、なかなか演説の予定が決まらない、といったこともあったという。
「都知事選ともなると、大きな注目を集めるため党本部も関わりますが、党本部と都連の足並みの乱れが、都知事選にも影響を与える可能性があります」(全国紙政治部記者)
はたして小池氏の「女帝」としての新たな4年間が始まるのか。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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