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《逆流性食道炎を防ぐ5つの改善》成人の5人に1人が罹患する食道がんのリスクを高める現代病…食後すぐに横になる、辛いものが好き、肥満よりも気をつけたい悪習慣とは

集英社オンライン / 2024年5月21日 11時0分

患者数が年々増加傾向にあるという逆流性食道炎。胸やけ、喉のつまり感、胃もたれ感などの症状がある人は逆流性食道炎かもしれない。なぜ最近増加しているのか? 原因は何か?

【画像】逆流性食道炎の症状例

大宮エヴァグリーンクリニック新橋消化器内科・泌尿器科クリニックなど、4つのクリニックの理事長を務める、医師の伊勢呂哲也先生に逆流性食道炎の5つの原因、治し方について解説していただく。

患者数が増加傾向にある逆流性食道炎

逆流性食道炎とは、胃酸を含む胃の内容物が食道に逆流することによって、食道に炎症を起こす病気です。

本来、胃の中の胃酸や食物が食道に逆流しないように、食道と胃の間には食道括約筋という筋肉があり、ふだんは閉じています。なにか食べたり飲んだりすると、この筋肉が緩んで、食道から胃に飲食したものが落ちていきます。


ところが、何らかの原因で、食べているとき以外にこの筋肉が緩むと食べ物や胃酸が食道へ逆流してしまいます。胃酸は食べ物を溶かすほど強い酸です。その強い酸が食道に逆流することで、炎症を引き起こしてしまうのです。

逆流性食道炎はもともと日本人に少ない病気でしたが、食事の欧米化や、胃がんのリスクであるピロリ菌の除菌によって、年々患者数が増えています。
日本消化器病学会のガイドラインによると、1990年代後半から患者数は徐々に増え始めて現在は成人の10~20%が逆流性食道炎に罹患していると推測されています。

主な症状はゲップ、胸やけ、胸の痛み、胃の痛み、喉のつかえ、長引く空咳などです。

ゲップは、炭酸飲料を飲んだり、食べ過ぎたりしたときなど一時的なものは問題ありませんが、すっぱい胃酸が口の中にこみ上げてきたり、頻繁にゲップするようであれば、逆流性食道炎である可能性が高いです。

また、風邪をひいたわけでもないのに、長引く空咳や、気管支炎のような症状が続いて急な咳き込みが頻繁に起きたり、就寝中に咳が多く出て、睡眠障害に陥るほどだった場合は、逆流性食道炎を疑ったほうがいいでしょう。

逆流性食道炎の原因となる5つの生活習慣

逆流性食道炎は症状が多岐に渡るため、そうと気が付かず症状にただ悩む人もいます。
そういった人は以下の逆流性食道炎になる5つ原因や生活習慣をチェック、改善を試みましょう。

1 喫煙
タバコを吸う人は吸わない人に比べて、1.7倍、逆流性食道炎が起こりやすいといわれています。
食道には先に解説した食道括約筋というのがあり、食道の下を閉じて、胃酸が逆流しないようにしますが、喫煙することでこの筋肉が緩んでしまいます。そのため胃酸が上がりやすくなってしまうわけです。

2 高脂肪食
高脂肪食とは身近な例でいうとラーメン、フライドチキンなどの揚げ物、アイスクリームなどです。高脂肪食は胃が消化に時間がかかり、胃の内容物が溜まりやすいため、逆流しやすくなります。
高脂肪食を食べる人と食べない人を比較すると、食べる人のほうが1.5倍、逆流性食道炎になりやすいデータも出ています。ゲップや胸やけが気になる人は油っぽい食事を控えてみるのも手です。
 

3 カフェイン・アルコール・辛いものの摂りすぎ

アルコールを週7日飲む人と飲まない人と比べると飲む人のほうが、逆流性食道炎のリスクが1.3倍高くなるといわれています。
アルコールやカフェインは食道括約筋を緩ませるため、胃酸が逆流しやすくなるのです。
また、辛いものは胃を刺激するので、胃酸をたくさん出してしまうため、これもまた逆流の原因になるのです。

4 食後にすぐ横になる

食後すぐに横になると、胃酸が重力で胃にいかないため、逆流しやすくなります。
食道に胃酸が長時間溜まるため、食道が傷つけられます。食べてすぐ寝るのはよくないというのは逆流性食道炎のリスクのためでもあるのです。食後1~2時間は横にならないようにしてください。

5 肥満
BMI値【[体重(kg)]÷[身長(m)の2乗]で算出される値】が30以上の人はそうでない人に比べて逆流性食道炎のリスクが2.5倍高くなるというデータがあります。
お腹に脂肪があると胃にかかる圧力が上がります。その圧力によって胃が押されて胃酸が上に上がりやすくなるし、食道括約筋も緩みやすくなるため、逆流性食道炎になりやすいのです。肥満が気になる人は運動や正しい食生活をするようにしてBMI値を下げましょう。

放置すると食道がんのリスクが高くなる

ここまでの解説を読んだ人は逆流性食道炎は原因や治し方は、糖尿病や高血圧と似ていることに気づかれると思います。

今回挙げた5つの原因を控えるようにすると自ずと、逆流性食道炎のほかに糖尿病や高血圧などのリスクを下げることも期待できます。

逆流性食道炎なのに生活習慣を改善せず、そのままの生活を続けていると、食道は胃酸によって傷ついた組織を修復しようとします。この組織が再生していく過程で正常な細胞にならず、がん化していくことがあり、食道がんになるリスクが高まります。生活習慣の見直しをしましょう。

また、ゲップが多いなどの症状を感じたら、胃カメラですぐに検査してください。
逆流性食道炎以外に食道がんや胃がんの早期発見にも繋がるので、早めに受診しましょう。
特に症状がない人でも1年に1回は胃カメラで検査してチェックするのがおすすめです。

逆流性食道炎の治療は、胃炎や胃がんといった他の病気がなく、逆流性食道炎のみを治す場合は胃酸を抑える薬と胃と食道の動きをよくする薬を服用するのが一般的です。薬の服用で状態はよくなりますが、また同じような生活習慣をしていると、同じ症状を繰り返すことになります。

逆流性食道炎の予防は、生活習慣の見直し、症状が出たら胃カメラの検査をすることが大切だということを覚えておいてください。

取材・文/百田なつき

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