日本初上陸の“究極の痩せ薬”。内臓脂肪減少薬「alli(アライ)」を飲みはじめて2週間目の結果はいかに。そして懸念される“脂漏れ事故”は…
集英社オンライン / 2024年5月23日 17時0分
4月8日より販売開始された、“日本初の内臓脂肪減少薬”こと、大正製薬の「alli(アライ)」。使用には一定の条件があるが、実際どんな効果があり、そしてどれくらい痩せるのか。“お腹がしっかり太め”のライターが実際に使用してみた。
「お腹が太めの人に朗報です。」の宣伝文句に釣られて
“日本初の内臓脂肪減少薬”と謳われる大正製薬の「alli(アライ)」。
ここのところ頻繁にテレビCMが流れたり、ドラッグストアにポスターが貼られたりしているので、気になっている人も多いのではないだろうか。
「お腹が太めな方に朗報です。」という宣伝文句に惹かれ、お腹がしっかり太めの僕も「alli」を入手。我が身をもってその効果を確認しつつあるので、途中経過を報告したい。
僕が買ったのは90カプセル入り。今数えてみると残りはちょうど40カプセルだったから、既に50カプセルを服用している。
「alli」は朝・昼・晩の毎食後に飲むので、この原稿を書いている日が、服用開始17日目ということになる。
引っ張っても面白くないし、読者の皆さんは他人の体重や腹回りサイズなど細かく知りたくもないだろうから、簡単に結果報告するとしよう。
服用開始から2週間余り経過した。
だが今のところ、体重、腹囲ともにほとんど変化なしだ。
え?
と思うでしょ。
当の本人が、あれえ〜?という感じなのだからしょうがない。
もしかしたらもう少し後になって急展開するかもしれないから、「効果なし」と断じるのは早計だろう。
ただ、2週間も飲めば少しは効果が出るのではないかと期待していたので、やや肩透かし感があるのは否めない。
市販薬だが、買うまでがいろいろとややこしい薬
「alli(アライ)」とは、肥満治療薬オルリスタットを主成分とする医薬製品である。
米製薬会社であるグラクソ・スミスクラインによってアメリカで販売されていた「alli」。2023年に2月に厚生労働省から承認を受けた大正製薬が、この春から日本国内での販売を開始した。
オルリスタットは、食事で摂った脂肪の吸収を抑制することで、体重を減少させる効果のある薬だ。
具体的には、腸内で脂肪を分解するリパーゼという酵素の働きを阻害することにより、食事で摂取した脂肪の約25%が、体内に吸収されず排出されるのだとか。
脂肪のカットによりカロリー摂取量が減少するため、開発国であるアメリカの治験では、1年間の投与により成人の60%に5%の体重減少が見られたという。
つまり「alli」とは、肥満の元凶である脂肪分を一定の範囲内で食べなかったと同然にしてくれる、おデブにとっては夢のような薬なのである。
肥満大国・アメリカでは以前から販売され、その効果と安全性が実証されていることもあり、日本に導入された際には、医師の処方を必要としない市販薬として提供されることになった。
だが“要指導医薬品”とされ、薬剤師の指導が必須という取り扱いになっている。ここがちょっと面倒くさくて、この薬の存在を知りつつ二の足を踏む要因になっているのではないかと思う。
「alli」は薬剤師がいる薬局・薬店でも、条件に当てはまらないと買うことはできない。
多岐にわたる条件の詳細はググっていただきたいが、ざっくり言うと、男性85cm以上、女性90cm以上と腹部が太めで、BMIが25以上35未満の人。かつ「生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る」とされている。
購入する際は薬剤師と面談し、最低でも一ヶ月前から自主的に取っていた「食事・運動の内容、体重・腹囲の変化」の記録を提示する必要がある。
しかも「alli」は肥満治療薬であるにもかかわらず、肥満による健康障害がすでにある人は対象外。
ややこしい話だが、肥満に伴う高血圧、糖尿病、心血管疾患、痛風などの病気が発生し、治療中の人は飲んではいけないのである。
ね、面倒くさいでしょ?
僕の場合、半年ほど前に過去最高体重を記録し、さすがにヤバいと思ったため、自主的に食事制限と運動促進をはじめていた。
その効果が出て、体重を4〜5kg落とすことに成功。
その間の体重変化や食事記録もしっかり取っていたし、肥満による健康障害もまだ起こっていない。
ということで、たまたま「alli」に適応していたため、ここで一気にダイエットにターボをかけようと思い、人聞き悪い言い方をすると“ドーピング”に手を染めることにしたのである。
せっかく薬なしでダイエットに成功しつつあるのだから、そのまま生活習慣の改善だけで貫けばと思われるかもしれないが、実は4〜5kg落ちたところで、やっていることは変わらないのに体重の減少傾向がぴたりと止まり、いわゆる「ダイエット停滞期」に入っていたので渡りに船だった。
それなのに、「alli」を飲んでも停滞から抜け出せないなんて!
懸念される“脂漏れ事故”への対策とは
「alli」については、飲み始めるとすぐに起こるある現象が喧伝されていて、それを知って避けている人も多いのではないかと思う。
ここからやや尾籠な話になるが、とても大事なことなのでどうかご容赦を。
服用すると摂取した脂肪の25%が、体外へ排出されるというのが「alli」の主な効果。では“排出”とは具体的にどういうことか。
まあお察しの通り、お尻の穴から出てくるのである。
脂は基本的に便と一体化して出るが、それだけではなく、厄介なことに単独行動で出てくることも多い。
これがなかなかすごい話で、液体の脂は隠し砦の番人(肛門ね)による守りを突破し、ぬるりと出てきやすく、知らぬ間に下着を汚してしまう“脂漏れ事故”となりやすい。
僕が「alli」を購入した際、薬局の薬剤師さんからそのことを散々聞かされ、“軽度の便漏れパッド”なる商品を、サービスで3枚つけてくれた。
パンツに貼り付けて、脂を受け止めろということである。
さらに「初めて服用する日は、くれぐれも外出のない日にしてください。けっこう漏れるようですよ」と注意された。
かわいらしい薬剤師さんに真顔でそう言われると、なんだか少し恥ずかしかった。
そして服用を始めた途端、確かにすごい勢いで脂が排出されるのを体験した。
ただし僕の場合、いつも自宅で仕事をしているフリーランス野郎であり、外出する際もマイカーばかりで、電車などの公共交通機関はほとんど使わないため、幸いなことに脂漏れ“事故”には至らなかった。
脂が出口に向かって体内を降下しているときは、便意とは違う(が、とても近い)感覚が頻繁にあったが、そのたびに10歩で行ける自宅のトイレに駆け込み、事故を防いだ。
特に飲み始めて間もない頃は、(あ、来た)と感じてから限界に達するまでの時間がとても短く、あっという間にのっぴきならない状態になった。
これは確かに、通勤時間などが長くトイレにすぐ行けない人は、厳しいだろうなと思う。
まあ、そんなときのための便漏れパッドがあるのだが。
そして、トイレで排出され水の上に漂う脂はどういう感じなのかというと、これがもうびっくりするくらい“ラー油”にそっくりである(尾籠な話はこれで終わりなのでご勘弁!)。
この脂、トイレの水に落とせば臭いはほとんどしないが、ネットに出ていた脂漏れ体験者の話によると、便臭とは違う脂っぽいイヤな臭いがするという。
僕の場合は「alli」服用開始から2週間では体重も腹囲も変化がないけど、脂の排出は順調に続いている。
飲み始めて数日で排出コントロールもお手のものになり、きちんと出し切ってから外出できるようになったので、QOL的にも何の問題もない。
「alli」服用は日常の一部になりつつある。
あとは効果が出るのを待つばかりだが……。まあとりあえずはこの一瓶がなくなるまで服用を続けてみたいと思う。
大事なことを飛ばしていたが、この「alli」、1ヶ月分の90カプセル入りで8800円(税込)となかなか高価な薬なので、できれば早めに決着をつけたいと思うしだいなのである。
文・写真/佐藤誠二朗
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