フリースクール通いの不登校の子どもは「高校進学を目指すには不利になる」…親が知っておくべき学校以外の教育選択肢のメリットデメリット
集英社オンライン / 2024年6月1日 10時0分
不登校の子どもたちの数は年々増え続けており、大きな社会問題となっている。それに合わせてフリースクールなど学校以外の居場所も増えているが、そういった教育の場のメリット・デメリットは?
『不登校の9割は親が解決できる 3週間で再登校に導く5つのルール』(PHP研究所)から一部抜粋・再構成してお届けする。
文科省が示す「不登校支援についてのガイドライン」の大切な部分
すべての人は教育を受ける権利を持っており、保護者は子どもに普通教育を受けさせる義務があります(日本国憲法第26条)。
この「普通教育」は学校での教育に限っているわけではありません。学校以外の場所であっても、普通教育の趣旨に合った教育であれば認められます。
2019年に文科省は不登校支援についてのガイドラインとして、「不登校児童生徒への支援は、『学校に登校する』という結果のみを目標にするのではなく、児童生徒が自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す必要がある」と示しました。
これを「国も学校に行かなくていいと言っている」と捉える向きもありますが、大切なのは後半の「自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立することを目指す」というところです。
確かに、いまはフリースクールのように学校以外の場所が増え、注目を集めています。
フリースクールとは、一般に、不登校の子たちに対して学習活動、教育相談、体験活動などを行っている民間施設のことを言います。統一された基準があるわけではなく、それぞれの施設が独自に運営しているものなので、多種多様なフリースクールが存在しています。
フリースクールの注意点
子どもの主体的な学びを目指し、自然の中で遊んだり職業体験のようなことをしたり、面白い体験活動をしているフリースクールなどはニュースになるので、そういうイメージを持っている方もいるでしょう。
子どもに合ったフリースクールがあり、そこに通うことで「自らの進路を主体的に捉えて、社会的に自立すること」を目指せるのであれば素晴らしいと思います。ただ、いくつか注意点があります。
⚫利用するための料金がかかる
施設の規模や通う日数等によって料金はさまざまだが、平均すると月額3.3万円。
⚫出席扱いにならない場合がある
一定の要件を満たしたフリースクールであれば、小中学校に行く代わりにフリースクールに通うことで出席扱いになる。ただし、最終的な判断は各学校の校長によるため、出席扱いにならない場合も。
⚫高校進学を目指すには不利になる
出席扱いになったとしても、成績はつかない。基本的に内申点はゼロになるケースが多く、高校進学を目指す場合には不利になることが多い。通信制や定時制の学校以外の選択肢がなくなるリスクがある。
また、それぞれのスクールの方針によって差はあるものの、学校のように決まった時間に行き、時間割通りの生活をするわけではないのが特徴です。
ルールが多く、集団生活が重視される学校とは違う場所として始まっているので当然です。スクールによっては、好きな時間に行き、ゲームをしたり漫画を読んだりしているだけという場合もあります。
お昼頃から行って、ずっとゲームをして過ごしている子が、学校に戻れるかというと相当難しいでしょう。社会的自立を目指せるのか不安は残ります。
もちろん、私はフリースクールを否定したいのではありません。運営されている方々は、子どもたちのことを想って努力されていますし、学校以外の選択肢があることで救われた子たちもいます。居場所づくりを重視しており、同じ悩みを持つ子たちとのつながりを作ってあげたい場合には向いていると思います。
ホームスクーリングは広がるか
いまはオンラインや動画のすぐれた教育コンテンツがあるのだから、家で勉強できるのでは?と思う人もいるかもしれません。
近年、家庭を学習の拠点とする「ホームスクーリング」も注目されることがあります。アメリカをはじめホームスクールが認められている国、地域は増えており、今後、日本でも増えていく可能性はあります。
日本では正式に普通教育と認められているわけではないため、不登校の子への教育の手段として捉えられているのが現状です。
ホームスクーリングを教育の手段として考えた場合、親の力によるところが大きくなります。
動画コンテンツや良い教材を使ったとしても、小中学生が自分一人で進めるのはかなり難しいでしょう。近くで勉強を見てあげたり、その子の状態を観察しながらちょうど良いものを提示してあげたりする必要があります。親が教員免許を持っているなど教育に造詣が深く、かつ、時間的な余裕がある場合に可能となる方法です。
アメリカのホームスクーリングも、実際は厳しい基準が設けられており、カリキュラムに沿って学習を進め、テストを受けるなどしなくてはなりません。
家庭で教育できる力があるなら、ホームスクーリングも選択肢の一つです。ただ、進路の選択や、同世代とのコミュニティへの参加等をどうするかはよく考えておく必要があります。学校の理解がある場合はフリースクールと同様、出席扱いになりますが、内申点はまた別の話です。
通信制高校で学ぶのは大変
通信制の高校はカリキュラムがあります。
多くの学校は登校日が限られており、基本的にオンライン授業や動画などで学習します。そして、レポートを提出して単位を取得します。自分で計画を立てて、コツコツ進めなければならないので、どれも学習の習慣のない人にとっては大変です。が、実際には教科書を見て書き写せばなんとかなってしまうことが多く、きちんと理解できていない場合もあります。
高卒資格を得られれば良いと考える人もいると思いますが、本質的な学びが得られないのだとしたら不幸なことです。
そもそも近くに先生や友だちのいない環境で、一人で頑張るのは大変なことです。
大人だってそうですよね。学ぶ内容が良くても、「環境」が大きな影響を与えることは考慮に入れておくべきでしょう。
フリースクールやホームスクーリングのように、学校以外の選択肢は増えていますが、安易にすすめることはできません。メリット・デメリットをわかったうえで選択することが大切だと思っています。
文/小川涼太郎
〈「学校に行かなくていいよ」のひと言で不登校は長引く…不登校の子に言ってはいけない5つのNGワードとは。再登校率90%の不登校解決支援サービスが警告〉へ続く
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
まさか、うちの子が「不登校」に! 家でも学校でもない 「子どもの居場所」は作れる⁉
OTONA SALONE / 2024年6月13日 11時0分
-
「学校に行かなくていいよ」のひと言で不登校は長引く…不登校の子に言ってはいけない5つのNGワードとは。再登校率90%の不登校解決支援サービスが警告
集英社オンライン / 2024年6月3日 10時0分
-
不登校の9割は3週間で解決できる…問題が長引く家庭が見落としている「再登校を叶える5つの条件」
プレジデントオンライン / 2024年6月1日 10時15分
-
本当の原因は「いじめ」や「友人関係」ではない…日本中で不登校の子が増えている構造的な要因
プレジデントオンライン / 2024年5月31日 16時15分
-
「突然我が子が不登校に…」過去最多となった不登校の子どもたちへの対応を保護者から学ぶシンポジウムを開催!
PR TIMES / 2024年5月29日 13時45分
ランキング
-
1電車で「足を広げて座る男性」にイライラしていると…“ガタイの良い高校生”に心のなかで拍手したワケ
日刊SPA! / 2024年6月21日 15時52分
-
2霜降り明星・粗品の毒舌に覚える「嫌悪感の正体」 アンチコメントが殺到している「3つの理由」
東洋経済オンライン / 2024年6月20日 15時30分
-
3「電マ」を“車両”にしてレース 前代未聞のNHK番組の裏側 伊集院光さん「ネットがザワついてますけど?」 番組Dの回答に絶句!?
乗りものニュース / 2024年6月20日 19時12分
-
4なぜ日本で売らないんだっ!? いすゞの新「世界戦略SUV」大幅イメチェンに驚きの声 国内カムバック熱望!?
乗りものニュース / 2024年6月21日 17時12分
-
5妻「もう赤の他人なので」と吐き捨て、子を連れ実家へ…1人残された月収40万円・43歳の〈モラハラ夫〉が直面する「住宅ローン破綻」
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月22日 7時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)