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若害VS老害バトル、勃発!「老害と言われたら何もできない」「そう言ってくる若い子たちは俺たちからしたら“若害”」生きづらくなる昭和世代の反乱

集英社オンライン / 2024年5月30日 17時0分

“老害”という言葉がすっかり世間に浸透し、若い世代に注意や指導などをすると、すぐに老害と呼ばれてしまうようになった。こうして高齢者たちがどんどん生きづらくなっていく中、 “若害(じゃくがい)”という言葉が生まれ、老害に対するカウンターとして注目されている。

【画像】 これってハラスメントですか? 老害、パワハラと呼ばれがちなおじさん、おばさんの逆襲となるか

「老害と言われたらもう何もできない」

5月24日放送のトークバラエティー番組『酒のツマミになる話』(フジテレビ系)で、タレントの勝俣州和が“若害”という言葉を持ち出した。

最近、タレントのビビアン・スーが久々に来日して、ウッチャンナンチャンや千秋など、当時一緒にレギュラー番組に出ていた仲間たちでロケをすることがあったそうだ。その食事のとき、ビビアンが一番年下だったため、勝俣はビビアンに「取り分けてあげて」と指示を出したのだが、ここでスタッフから「勝俣さん、それは老害になっちゃいますよ」と注意がはいったという。

体育会系で育ってきた勝俣としては、若い子が先輩たちになじむ方法として、そういった機会をもうけてあげるという伝統を守っているに過ぎないのだが、そう説明してもスタッフに「でもテレビでは流せないので」と一蹴されたという。

本当に勝俣の言動は老害として扱われることでよかったのだろうか。

昭和時代を生きてきた自分の行動は、すべて老害ととられてしまうことに悩む勝俣。「老害と言われたらもう何もできない」と嘆くが、その一方で「それを言ってくる若い子たちが俺たちからしたら“害”じゃん。“若害”じゃん。俺たちは若害に悩まされている」と反論。自分たちが築き上げてきたものが、老害という簡単な一言で崩されていると怒りを見せるのだった。

老害という言葉自体はかなり古くからあり、松本清張の小説『迷走地図』(1983年刊)でも使用されている。しかし、ネットスラングとして流行し、改めて世間に広く浸透したのはここ数年のこと。この言葉によって、それだけ肩身を狭くする人がたくさん出てしまった。

今回の勝俣の提言を受けて、ネット上では〈今の若者って本当に腫れ物に触るように周りが接している状態〉〈老害という言葉は本人が使うのはいいが他人が使うのはハラスメントです〉〈「若害」は流行っていい言葉だわ〉など賛同の声が多くあがった。それだけ、老害という言葉に悩まされている人が多いのだろう。

若害という言葉は勝俣が生み出した言葉ではなく、最近、少しずつ流行りだしているワードだ。一般社団法人日本ハラスメント協会の代表理事で、ハラスメント専門家の村嵜要さんに解説を聞いた。

老害VS若害の構図に…

「若者の感性で周囲を困惑させることを“若害”と考えています。社会の中で常識とされていることを理解していなかったり、それに反する行為(暴走)を指します。例えば、ハラスメントを拡大解釈して、自分に都合のいいように理解している。自分の都合の悪いことはすべて『ハラスメントだ!』と主張する、ハラハラ(ハラスメント・ハラスメント)をするのも“若害”のひとつです。

本人は自身の言動が若害になっていることの自覚はないと考えます。指摘されて初めて気づくのではないでしょうか。若害という言葉や意味も含めて、一部の人しか知らないと思いますので、まだあまり浸透はしていないのですが」(村嵜さん)

ただ、今回の勝俣とスタッフの一件は、勝俣が一方的に若害を受けたのではなく、老害と若害のぶつかり合いだったとも指摘する。

「勝俣さんは親切心から『ビビアン、これ取り分けてあげて』と発言されていると思いますが、これは“パワハラ”に該当します。『俺らは体育会系で育ってきた。一番下の子がそうやってやることで、みんなに名前を憶えてもらったり、みんなに溶け込んでいったんだよ』と主張していましたが、これも“老害”に該当すると考えます。理由としては、勝俣さんが自身の考えを周囲(若者)に押し付けているからです」(村嵜さん)

しかし、スタッフが「それ老害になっちゃいますんで」と勝俣を注意したことも問題にあたるという。“老害”という言葉を入れた指摘(言い方)が暴言と捉えることができるため、このスタッフの言動は“若害”になる。

要するに、年齢が上の人に「あなたは老害です」と注意することが、“若害”に該当してしまうということだろうか。

「スタッフの人は勝俣さんに対して、『取り分けをさせることは今の時代ハラスメントにもなりかねないので、個々で取り分けましょう』など、別の言い方をすれば若害にはならなかったと考えます。面と向かって老害という言葉を入れて注意するのは失礼にもあたります。正論でも言い方には配慮する必要があります」(村嵜さん)

虐げられるおじさん、おばさんたち

事実なら何を言ってもいいというわけではない。ハラスメントは受け取る側しだいだとはよく言う。老害と言われて傷つく人がいるのなら、若者が目上の人を老害だと指摘するのは、立派なハラスメントなのかもしれない。

「“老害・若害”どちらの言い分が、絶対的に正しいという『0か100』かの思考ではなく、双方がどちらの言い分も一理あると受け止めることが大事です。老害世代の人は、自分の常識や理想を優越的な立場で周囲に押し付けないこと。
若害世代の人は、いきなり否定や拒否をするのではく、社会の常識や実態をまず把握してから、自分が思う発言や行動をとること。目上の人に意見を言う際は、正論でも失礼にならない言葉を選んで発言すること。こうすることで、ぶつかり合いを防ぐ予防になると考えます」(村嵜さん)

老害と言われるだけでなく、“おじさん構文・おばさん構文”とLINEの文面を笑われたり、文面に句点(。)を使用するだけで “マルハラ”と言われたり、先輩世代への風当たりは厳しくなるばかり。

若害という言葉が生まれてしまった経緯には、そんな悲しさとやり切れなさが深く関係しているのかも。

取材・文/集英社オンライン編集部

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