「経験を積むほど仕事中毒に」都知事選出馬・蓮舫氏の原点を当時の連載&お宝写真で振り返る「“人の営み”は“経済”じゃ簡単に変わらない」報道番組を自主降板して留学した中国で得たものとは?
集英社オンライン / 2024年6月6日 8時0分
東京都知事選の出馬を表明した立憲民主党の蓮舫参院議員。今でこそ野党の中心的存在の彼女だが、若かりしころはタレントやキャスターとしてテレビ・雑誌で活躍していた。雑誌『COSMOPOLITAN 日本版』より、蓮舫議員のインタビューを抜粋。その発言から改めて彼女の人となりを探りたい。
キャスターを志したきっかけは天安門事件
5月27日の出馬会見で「反自民・非小池都政」「小池都政のリセット」を掲げ、現職の“女帝”小池百合子都知事との真っ向姿勢を表明した蓮舫議員。
2004年に参院選東京選挙区で初当選して政界入りを果たして以降、彼女はその毅然とした態度を貫き、いまや “立憲の女帝”ともいえる存在感を放っている。
彼女が世に出たのは青山学院大学在学中の1988年、芸能界デビューの登竜門といわれた「クラリオンガール」(2006年で終了)という音響機器メーカーのキャンペーンガールに選ばれたことがきっかけ。
そして、グラビアアイドルなどのタレント活動を経て、報道番組のキャスターも務めていた。その期間に女性誌『COSMOPOLITAN 日本版』(1980年6月号〜2005年2月号/集英社)の誌面にたびたび登場し、そのときどきの仕事哲学や人生観、そして恋愛・結婚観についても語っていた。
記念すべき初登場は1990年12月号の「ポジティブ会話術を身につける モデルから盗むビューティ・アップ術」という特集記事だった。
当時の彼女は頭の回転の速さと巧みな会話術でテレビ番組の司会者やコメンテーターなど7本のレギュラーを抱えていた。インタビューでは自身の“喋り”について、自らこのように分析している。
「年子の兄と弟にはさまれ、学校も共学だったせいか、私のしゃべり方って確かに男っぽいところがあるみたいですね。ときどき、テレビなどでも、一緒に出演してる方を呼び捨てにしちゃったりする失敗もあって(笑)。(中略)言葉って本当に大切だから、逆に行動や表現でちゃんとそれを補いたい」(『COSMOPOLITAN 日本版』1990年12月号より)
そして、彼女の活躍の場は1992年頃を境に、徐々に報道へと移っていく。夕方の報道番組『ステーションEYE』(テレビ朝日系)でメインキャスターを務めていた1995年のインタビューでは、キャスターを志すきっかけとなった出来事として、「天安門事件」を挙げている。
「同じ中国の人の痛みもわからない中国人、いったい何だろうって考え込んじゃったんです。そのときからですね。“いつかニュースキャスターになるんだ”と思ったのは」(『COSMOPOLITAN 日本版』1995年4月号より)
キャスター降板後、即、中国留学
また、キャスターという仕事へのやりがいについて、自身の連載「蓮舫ハ北京大学留学中」でこのように語っている。
「当時私は、キャスターとして夕方のニュース番組を担当していました。何かあれば昼夜を問わず現場へ。常に緊張をしいられる毎日ですが、忙しければ忙しいほどやりがいを感じ、経験を積むほどに仕事中毒になっていく、魅力ある仕事です」(『COSMOPOLITAN 日本版』1996年5月号より)
ところがその後、自ら『ステーションEYE』の降板を申し出て、中国の北京大学の留学を決意。その経緯について同連載でこう説明している。
「じつは報道番組の降板の許可をもらってないこの時点で、私は北京大学に入学申請書を出してしまっていたのです。ただこの“フライング”が、逆に“気迫”として伝わったのか、9月で番組を卒業することを、局は快く許してくださいました」(『COSMOPOLITAN 日本版』1996年5月号より)
そして『ステーションEYE』を1995年9月に降板すると、「ちょっと旅行に行く」感覚で10月10日には北京国際空港に降り立っている。休む間もないせわしなさだ。
授業は当然、すべて中国語で行なわれるが、この時点で彼女は中国語がほとんど話せない。そのため、全寮制の部屋にこもり中国語を勉強する日々で、当初は街に出る余裕もなかったそうだ。
そして2ヶ月後、大学近くの路上マーケットで店員に笑顔で話しかけられ、その言葉が理解できたときの感動をこう語っている。
「言葉を使うニュース・キャスターという仕事をしていた私のプライドは、私に中国語を“頭”で理解させようとしていたんですね。“言葉”はあくまでコミュニケーションの“道具”。それよりも大事なのは、何よりも“心”なんだ……」(『COSMOPOLITAN 日本版』1996年5月号より)
留学先で双子を妊娠、帰国へ
その後、中国語を習得した蓮舫氏は留学1周年という名目のもと、内モンゴル自治区から四川省の成都を巡る18日間の単独旅行にも出ていた。
「言葉さえできれば何とかなる!」と三段ベットの寝台列車を乗り継ぎ、砂漠では子どものように大はしゃぎ。1泊25元(約350円)の安宿に泊まったり、囲いのないトイレで爽快な体験をしたりと、旅行を存分に楽しんだ。それと同時に大きな学びも得たようだ。
「経済発展著しい中国ですが、『人の営み』というものは、『経済』じゃ簡単には変わらない。その実感こそ、今回の旅で得た一番の収穫だと思います」(『COSMOPOLITAN 日本版』1996年12月号より)
この留学には1993年に結婚した(2020年に離婚)元夫で、当時ジャーナリストの村田信之氏(現釜石市議会議員)も同行していた。異国の地で夫婦生活を送るなか、蓮舫氏は1997年1月に双子を妊娠したため、大学を退学。日本へと帰国した。
「まわりに親戚もいない、友達もいないという外国でお互いしか頼るものがないわけです。そこで唐突に妊娠してしまった。つわりはある、イライラする。彼はそれをそばでずっと見てるわけですね。まさにサンドバッグ状態です(笑)。それを逃げもせず受け入れてくれた。あの我慢強さはすごいと思います」(『COSMOPOLITAN 日本版』1997年8月号より)
蓮舫氏は2004年の政界進出後も『COSMOPOLITAN 日本版』に登場している。そのなかで自らの結婚観や夫婦のパートナーシップについて「妻である前に、個人としてどう充実した人生を送るかが大事」としていた。
「でも結婚は“対人間”。あれこれ予測して予防策を講じても、想定外のことは必ず起きます。だから、思いきって飛び込んでみて、ダメだったらそのとき対策を考えればいい。それくらいの気持ちでいいと思います」(『COSMOPOLITAN 日本版』2005年7月号より)
結婚、出産、子育て、離婚を経験し、仕事ではタレント、キャスター、留学、政界進出と着実にステップアップしてきた蓮舫議員。次なるステージとして東京都知事という重責を担うことはあるのか。投開票は7月7日に行なわれる。
取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班
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