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「サイコパスの娘に支配された家」母親は“奴隷契約書”を書かされ、父親は“ドライバーさん”と呼ばれSMプレイの練習台に…被害男性とは避妊トラブルが発端か〈すすきの首切断事件/母親の初公判〉

集英社オンライン / 2024年6月5日 18時9分

〈札幌すすきの首切断・起訴〉祖父は「あとは裁判に任せる」「支えるとしたらもう俺しかいないとは思ってる」現場ホテルは「第一発見者を含め従業員が複数辞めて毎日営業できない」「浴室はまるごと取り換える」〉から続く

札幌市内のホテルで昨年7月、男性を殺害、切断した遺体から首を持ち帰るなどした女と両親が起訴された事件に絡み、母親の田村浩子被告(61)の初公判が6月4日、札幌地裁であった。死体遺棄ほう助と死体損壊ほう助の罪に問われた浩子被告は起訴内容を否認、無罪を主張したが、冒頭陳述などから娘の瑠奈被告(30)が被害男性とSMプレイに積極的に興じていたことや、両親に自らを「お嬢さん」と呼ばせて家庭内で好き勝手に振る舞っていたことなど歪な家庭環境が事件の背景にあることが浮かび上がった。

【写真多数】瑠奈被告に「ドライバーさん」と呼ばれSMプレイの練習台に…ギターを弾く父親の修被告、母親の浩子が描いたイラスト、事件現場となったホテルの部屋、自宅など…

「よろしかったらお嬢さんの作品をご覧ください」

この事件は娘の瑠奈被告が昨年7月、札幌・すすきののラブホテルで会社員男性Aさん(当時62歳)の首などをナイフで刺して殺害後、持参したノコギリなどを使って首を切断、キャリーケースに頭部を入れて自宅に持ち帰ったことで、殺人罪などで起訴。父親の修被告(60)は瑠奈被告と一緒に凶器のノコギリやキャリーケースを購入し、殺害現場への送迎も担当、瑠奈被告が持ち帰ったAさんの頭部を損壊する様子を動画撮影したとして殺人ほう助・死体損壊ほう助などの罪で起訴された。

浩子被告は瑠奈被告が持ち帰ったAさんの頭部を自宅に隠すのを容認し、瑠奈被告に求められるまま修被告に頭部損壊する様子をビデオカメラで撮影することを依頼したとして死体遺棄ほう助・死体損壊ほう助の罪で起訴されていた。

この日の初公判で検察側は冒頭陳述などで「瑠奈被告は昨年5月にすすきののクラブの閉店イベントで知り合ったAさんと意気投合し、ホテルで性行為に及んだが、この際避妊せずに行為をされたことに怒りを覚えた。そして7月に再会したAさんを殺害、遺体を損壊して持ち帰った頭部の皮膚をはぎ取るなどしたものを、浩子被告は『よろしかったらお嬢さんの作品をご覧ください』などと修被告に連絡した」と経緯を説明。

一方弁護側は「通報しなかったことや反省を促さないことが『ほう助』にあたるという文言はない。浩子被告は実際には頭部を見ていないし、撮影についても抽象的に修被告に依頼しただけ」などと問われている犯行への関与を全面的に否定した。

ここで弁護側が明らかにした「田村家の秘密」は耳を覆いたくなるような異様な世界だった。瑠奈被告は子どものころはハリーポッターが好きで、自宅に友達を招いて一緒に遊ぶなどごく普通の子どもだったが、中学入学後に不登校になった。修被告と浩子被告夫婦は2年生になると瑠奈被告に精神科を受診させ、フリースクールにも通わせてみたが続かず、瑠奈被告は18歳ごろからは自宅に引きこもり「田村瑠奈は死に、その死体に5~6人の魂が入って体を借りているだけ」と言い出すようになったという。

瑠奈被告は「ルルー」や「シンシア」などと名乗り、両親には自分を「お嬢さん」と呼ばせ、修被告を「ドライバーさん」、浩子被告を「彼女」と呼ぶようになり、「ジェフ・ザ・キラー」と名付けた妄想上の恋人との会話を繰り返すようになった。
引きこもりがちではあったが、修被告の運転する車でゲームセンターやディスカウントストアに出かけることはあり、昨年5月28日に自らの希望ですすきののクラブ「キングムー」の閉店イベントに参加した。 

「女王になりたい」とSM関連グッズを購入、父親を練習台に…

「キングムー」で出会ったAさんと意気投合し、誘われるままカラオケ、ホテルに同行し、性行為に及んだが、Aさんが避妊をしなかったため、それを指摘したところ、ごまかされた。瑠奈被告は修被告に医療機関に連れていってもらい、アフターピルを処方してもらったが、強い怒りを覚えた。そして瑠奈被告は修被告とともにすすきのでAさんを「捜索」し、6月中旬に「発見」すると、7月1日に会う約束を取り付けたという。
しかも、その目的は会ってSMプレイをすることで、以前から「女王になりたい」とSM関連グッズを購入し、修被告を練習台に見立ててAさんとのプレイを楽しみにしていたというのだ。

事件当時、瑠奈被告の祖父は「瑠奈は結婚もしたことないし、男大っ嫌いなんさ。私が知る限り男に対して家族以外に気を許してるのを見たことないからな。そういう特殊な性格を持った子なんだ。そうだよ、瑠奈はレイプされてるんだよ、あの男に。女装で女の格好してたから瑠奈は女だと思ってたの。それで2人でいいところあるから行こうって言われてラブホテルに入って、入った途端に相手は男になったわけさ」「レイプされた後もAさんにしつこく付きまとわれていたようだ」と証言していたが、実際は避妊をめぐってのトラブルはあったものの、瑠奈被告は自ら再会を求めてAさんを探していたと思われる。

祖父にあらためて取材を申し込むと「ノーコメント」と言いながら、こう答えた。

「裁判のことは新聞で見ただけです。心配したってしょうがないです。前にも言いましたが、すべては裁判が終わって判決が出てからのことで、私は親だからそのときフォローできることはやらなければと思っています」

瑠奈被告に多重人格の気があり、父親を「ドライバーさん」、母親を「彼女」と呼んでいたことについては「新聞で初めて見たけど、私が接していた限りでは瑠奈がそういう呼び方をしているのは一切聞いたことないです。普通にお母さんお父さんって言ってた」と言葉少なだった。
 

浩子被告の初公判では、検察側は「瑠奈被告は中学時代から人体に興味を持ち、事件前には『目玉入りカクテル』というメニューがある怪談バーに通っていた」などの性癖や、家のなかで圧倒的な立場だった瑠奈被告が浩子被告に「私は奴隷です」という契約書を書かせ、リビングに飾らせていたことも明らかにした。

本人の公判を待つまでもなく、シリアルキラーぶりが暴かれつつある瑠奈被告。事件の闇はあまりにも深い。

※「集英社オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。


メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

X(Twitter)
@shuon_news 

取材・文 集英社オンラインニュース班

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