怖すぎてあわや公開中止に。100%近い確率で心霊現象が起こるヨコザワ・プロダクションの圧倒的な怖さと魅力をオカルト編集者・角由紀子が語る〈心霊ドキュメンタリー『新・三茶のポルターガイスト』〉
集英社オンライン / 2024年6月8日 18時0分
〈膣ヒアルロン酸の注入、手相タトゥー、マイクロチップ埋め込み…オカルト編集者・角由紀子が「身体改造」にのめり込む理由【2023記事 6位】〉から続く
2023年3月に公開された映画『三茶のポルターガイスト』の続編『新・三茶のポルターガイスト』が、6月21日(金)より公開される。本作は都内最恐心霊スポットと呼ばれる「ヨコザワ・プロダクション」に焦点を当てた心霊ドキュメンタリーだが、その物件が持つ圧倒的な怖さと魅力について、企画・プロデュースを手掛けたオカルト編集者・角由紀子氏に詳しく聞いてみた。
「お蔵入りにしたらマズイことが起きるかも」都内最恐と噂のスポットに潜入する角さん
心霊現象が“100%起きる”物件
–––––映画『新・三茶のポルターガイスト』は東京・三軒茶屋にある心霊スポット「ヨコザワ・プロダクション」で起こる心霊現象に焦点を当てた作品です。角さんはもう何回も現地に足を運んでいるんですよね?
角由紀子(以下同) 映画『怪談新耳袋Gメン ラスト・ツアー』(2021年公開)の撮影で初めて訪れて……もう合計30回以上は行ってますね(笑)。
–––––角さんから見て、ヨコザワ・プロダクションはほかの心霊スポットと何が違うのでしょうか?
「霊感がない人でも、何かしらの現象に遭遇することができる」という点でしょうか。しかも100%に近い確率で、心霊現象が起こる。線香の匂いが立ち込めたり、鈴の音が鳴ったり、“人ならざるもの”が現れたり……。世界的にもそういった場所はかなり少ないんです。
–––––初めて訪れたときと現在で、何か心境に変化はありますか?
初めて行ったときは、本当に怖すぎて泣きそうでしたね……。深夜に1人で幽霊が現れるか検証するという取材だったのですが、もうチビりそうでした(笑)。でも、本当に線香の匂いがし始めたときに、なんとも表現できない感動がありましたね。「あ、こんなことがこの世の中で起こるんだ」って。
通い始めてからは、回を重ねるたびに怖さは軽減されていって、今は「もっと近づきたい」「コミュニケーションを取りたい」という感覚です。
–––––「これが何なのか知りたい」と?
はい、もちろんその正体はわからないのですが、野生動物にすごく近いのかなと今は思っています。野生動物も、最初は茂みに隠れていて、なかなか人前に姿を現してくれないじゃないですか。でも、回を重ねてじっくりコミュニケーションを取ると出やすくなる。ヨコザワ・プロダクションの霊も同じで、こちらの姿勢しだいで、すごく距離が近づく感覚があるんです。
–––––ヨコザワ・プロダクションには、8〜9歳の少年の霊「てっちゃん」が現れるんですよね。『三茶のポルターガイスト』を見ていると、角さんがてっちゃんからの信頼を得ているのかなと感じます。
ヨコザワ・プロダクションには、ほかの現場よりも身なりをきれいにして訪れるようにしています。「てっちゃんに嫌われないようにしなきゃ!」みたいな。でも、若くてかわいい清楚系の女の子を連れていくと、やっぱりそっちに意識がいっちゃうみたいで(笑)。その女の子が何かアクション起こしたときに部屋の物が動いたりすると、「私のこと見ていないな〜」と少し妬いちゃいます(笑)。
「お蔵入りにしたら、マズイことが起きるかも」
–––––そもそも『三茶のポルターガイスト』シリーズをYouTubeなどではなく、映画として展開しようと思った理由は何なのでしょうか?
それは、単純にお金の問題ですね。作品のコンセプト上、専門家を呼ばないと成立しませんし、高性能な機材をレンタルすると高額な費用がかかります。YouTubeでは到底ペイできないので、映画というフォーマットでないと実現不可能でした。逆にいうと、コストをかけてもいいから、より踏み込んで検証したいと思ったんです。
–––––前作を振り返ってみて、いかがでしたか?
前作は3人の専門家をお招きして、ヨコザワ・プロダクションで起きる現象が「ヤラセ」でないかを調べてもらったんですが、どんなに細かく検証しても、幽霊がいることの証明には至らないなと感じました。「心霊現象の検証って、そんなにすぐには前に進めないんだなぁ」と突きつけられたというか。
–––––今作も専門家による調査と検証をベースとしていますよね。
はい。ただ、今回は明治大学兼任講師の小久保秀之先生であったり、東京工業大学理学院物理学系助教の山崎詩郎さんだったり、アカデミアで権威のある方々に参加いただけたことは大きな一歩だと思っています。
心霊現象などのオカルト検証は、どうしても学術研究的な部分から離れてしまうので、あまり関わりたくないという学者さんも多くいらっしゃるんですよ。その中でお二人が企画に参加してくださったのは、非常に意義のあることです。
–––––今作は、「あまりにも怖すぎる作品だから、公開を中止しよう」と映画プロデューサーから打診があったそうですね。それでも公開に踏み切った理由は?
まず、本当にすごい映像が撮れたので、世の中の人に見せたいと思ったんですよ。それにちょっとズルイ言い方ですけど、彼ら(霊)も見てほしいから姿を現したのではないかな、と。
あと、たとえば自宅など、ヨコザワ・プロダクション以外でこの映画に関連する動画を見ているときにも、変なことが起きやすかったんですよ。線香の匂いがしたり、物が勝手に動いたり…。なので、これをお蔵入りにしたら、何かマズイことが起きるのではないか、という不安もありました。
–––––ヨコザワ・プロダクションの代表取締役で、物件オーナーである横澤丈二さんも、検証にとても協力的ですよね。
よく誤解されるのですが、横澤さんは、この映画に関わっても何もメリットがないんですよ。ただただ「自分の体験を、ほかの人にも教えてあげたい」という気持ちで協力してくれていて。この映画にかかわらず、あの場所で儲けようという思惑がまったくない方なんです。
ただ、最近はヨコザワ・プロダクションに対してネット上で「ヤラセだ」というコメントを投げる人たちもいますし、スタジオ自体の評判にも影響する可能性があるので、検証を続けられるかどうかは横澤さんのご心境しだいかなと思っています。
宇宙の構造を知るのに、一番近い場所
–––––心霊ドキュメンタリージャンルの作品には、「演出だろう」という議論が、どうしてもついて回ります。本作でもラストシーンで衝撃的な映像が流れますが、そういった意見に関してはどう思われますか?
今作で記録できた物体は、たしかに演出っぽさがあるというか、まるで演技をしているような動きを見せてくれています。なので、演出だと疑われてもしょうがないかなと。本物なんですけどね(笑)
ただ、心霊現象を告白した人に対して、世間は結構辛辣じゃないですか。「ヤラセだろ!」という言葉は、その人が嘘つきだと言っているのと同じで、人を傷付けてしまう可能性もある。「映像作品を1つ見ただけで、人を嘘つき呼ばわりしていいんですか?」というのは、見る方に投げかけたいところですね。
歴史的にみても、超能力者や霊能者などオカルト的な話題を世間に発表する者はことごとく叩かれる運命にあるわけですが、それがまるで当たり前であるかのように発言者に受難を与える世の中を変えたいんです。無闇に叩けば発言者が減って貴重な現象のサンプルが得られませんし、これだけ文明が発展したのだから、検証をすればいいだけの話です。
その点において、ヨコザワ・プロダクションはこれまで提案したどんな検証も一度も断ったことがありません。これは、幽霊がいるかどうかよりもわかりやすい真実です。「嘘だ」とすぐに二分法で結論を出す態度は、真実を遠ざけるので非効率的。探っていくのが筋だと思います。
–––––今後ヨコザワ・プロダクションで実現したいことはありますか?
うーん、やっぱり触りたいですね。願わくは、目の前に出てきてもらって対面でインタビューしたいです(笑)。
–––––総じて、なぜ角さんはヨコザワ・プロダクションという場所に、ここまで強く惹かれるのでしょうか?
幽霊などの未知の事象を追求することで、宇宙の構造や成り立ちなど、我々がまったく知らない世界を見ることができるのではないか、という期待があるからですね。ヨコザワ・プロダクションは、それを解き明かすのに一番近い場所だと思っています。
–––––最後に、映画を楽しみにしている方々にメッセージをお願いします。
オカルト現象を信じている人でも信じていない人でも楽しめる、映画としておもしろい作品になっていると思います。なので、まずは映画館で見ていただき、それから大いに議論してもらえるとうれしいです。
取材・文/毛内達大 撮影/井上たろう
『新・三茶のポルターガイスト』
2024年6月21日 (金) ヒューマントラストシネマ渋谷、池袋シネマ・ロサ、
新宿シネマカリテ他 全国ロードショー
映画公式ホームページ監督:豊島圭介
出演:角由紀子/横澤丈二/小久保秀之/山崎詩郎/児玉和俊/ひなたまる/森脇梨々夏/三上丈晴/
小野佳菜恵/大久保浩/オカルトセブン7★
ナレーション:東出昌大
企画・プロデュース:角由紀子、叶井俊太郎/プロデューサー:千葉善紀、佐藤慎太朗/宣伝プロデューサー:星野和子
音楽:スキャット後藤/撮影・編集:滝田和弘/ビジュアルデザイン:廣木淳
エンディング・テーマ「水底の愛」:横澤丈二
製作:REMOW/制作プロダクション:murmur/配給:エクストリーム
2024 年/日本映画/88 分/カラー/ステレオ/DCP
©️2024 REMOW
〈「こっくりさんは言語を超えるんだな」妖精が棲む森に幻覚サボテンに髑髏の笛…オカルト編集者・角由紀子がメキシコで体験した不可思議の数々〉へ続く
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