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小さな成功体験、会社への信頼…新人が職場に定着するまでの5つの心理的ステップとは。すべての中間管理職が知っておくべき新人スタッフのメンタル段階

集英社オンライン / 2024年6月18日 8時0分

新しいスタッフがすぐに辞めてしまう…これは多くの組織が抱える悩みだろう。職場にリソースがなくなれば、スタッフが辞めた分の仕事は管理職がやらざるをえない。どうやったら新人スタッフを職場に定着させ、管理職も健やかに働くことができるのか。

【画像】新人が職場に定着するまでの心理ステップモデル

書籍『中間管理職無理ゲー完全攻略法』より一部を抜粋・再構成し、新人スタッフのメンタル状態をロジカルに説明する。

〈問題〉リソース不足のチームに新人を入れても入れてもすぐに抜け、一向にプロジェクトを先に進められない

新人を迎え入れては離職、また新たに加えては離職し……のくり返し。こんなことでコストや時間を食い潰している場合ではないのに。入った新人を着実に戦力化していくにはどうすればよいのだろうか。

〈解決法〉早期離職に影響を与える5段階の心理ステップを理解する

入ったばかりのスタッフが辿る心理のステップがあります。そのステップを登るにつれて、職場での居心地がよくなり、仕事に対して意欲的になっていきます。このステップを意識した指導、教育をすることで、スタッフが定着しやすくなります。

なるべく短い日数で4段階目まで登らせる

早期離職を防ぎたいなら、なるべく早く心理ステップの4段階目、小さな成功体験を積ませる段階まで登らせるようにしましょう。離職したスタッフの状況を振り返り、現場の環境や教育の方法を見直すことが大切です。

〈解説〉

スタッフがすぐに辞めてしまう。これは、多くの企業が抱える悩みです。スタッフが辞めると、そのスタッフが抱えていた仕事をフォローする必要が出てきます。誰がフォローするのか。

他のスタッフの手が空いていればいいですが、余裕がなければ、管理職であるあなたが、当面の間はカバーせざるを得なくなるかもしれません。

また、新しいスタッフを採用するために募集をかけたり、面接したり。無事に採用できたとしても、最初のうちはトレーニングが必要になります。人が辞めるということは、それだけの手間と時間をとられてしまう出来事なのです。

もちろん、スタッフが辞めることは、必ずしも悪いことではありません。新たな道にチャレンジするスタッフを笑顔で送り出すこともまた、上司としての役割です。

しかし、そのような前向きな離職ではなく、今の職場でストレスを抱えたことが原因で逃げるようにスタッフが次々と辞めていく。そんな職場も少なくありません。このような残念な離職を防ぐには、どうすればよいのでしょうか。

マズローの欲求5段階説と新人の心理ステップ

下図の三角形を見てください。これは、「マズローの欲求5段階説」と呼ばれるもので、人間の欲求が階層的に整理されるとする心理学の理論です。生理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求、承認欲求、自己実現欲求の順に、基本的な欲求が満たされると、より高次の欲求が生まれるとされます。

つまり、食事や睡眠の欲求が満たされると安全や安定を求め、それも満たされるとコミュニティに所属したくなり……と、だんだん高次の欲求が湧いてくるということです。

これに似た心理ステップが、スタッフの離職に大きく影響しています。それをまとめたのが、次の図です。

1 生活の維持、会社への信頼

上記心理ステップの下段にある「生活の維持、会社への信頼」とは、危険や今後の見通しといった土台となる部分です。

「ちゃんと給料支払われるのかな……」「書類の扱いがルーズだけど大丈夫かな……」「採用面接で言っていたことと全然違うんだけど……」などの不安があると、この一番下のステップが満たされていないことになり、離職につながってしまいます。
 

2 緊張の弛緩(身の安全)

次のステップは、「緊張の弛緩(身の安全)」です。つまり、リラックスして業務に集中できる状態のことを指します。自分用のユニフォームや必要な備品がきちんと用意されているか、名前を覚えてもらえているかなど、受け入れ態勢を整えることで、このステップを越えやすくすることが可能です。

短期間での戦力化が大切

3 チームに馴染む、仕事を覚える

余計な緊張をしなくなってきたら、次は「チームに馴染む、仕事を覚える」ステップです。仕事のスキルがなかなか上がらないと、「チームに迷惑をかけている」という引け目を感じ、他のメンバーとの関係がギクシャクし始めます。それを避けるためにも、短期間で戦力化することが大切です。それが結果的に離職防止につながります。

4 小さな成功体験、周囲からの承認

チームに馴染んで仕事を覚えてきたら、小さな成功体験を積み重ねることが大切になります。また、業務を通して仲間から認められ、お客様やクライアントから褒めてもらう機会が増えることで、より仕事へのコミットメントが高まります。

5 自己肯定(自分だからできる、この場所ならできる)

一番上のステップは「自己肯定」です。自分で自分を承認し、「ここで働けば成長できる」「仲間もお客様(クライアント)も喜んでくれる」と思えるようになる。この状態のスタッフが多くなるほど、業務はスムーズに回り、成績も向上。スタッフが意欲的に働き、長く定着するようになります。

この5段階のステップを、一段一段登らせることが大切です。

スタッフがすぐ辞めてしまうなら、なぜスタッフが辞めているのか、どのステップで辞めているのかを観察してみましょう。職場に馴染むことができなかったのか、それとも、馴染みはしたものの小さな成功体験や周囲からの承認を得ることができなかったのか。

それによって、教育や指導、声のかけ方が自ずと変わってきます。

早期離職を防ぐためには、入社からできるだけ短い日数で4段目(小さな成功体験、周囲からの承認)まで登らせましょう。このステップを誰もが確実に登れる環境を整えておくことが大切です。


図/書籍『中間管理職無理ゲー完全攻略法』より
写真/shutterstock

中間管理職無理ゲー完全攻略法 (CCCメディアハウス)

中谷一郎
中間管理職無理ゲー完全攻略法 (CCCメディアハウス)
2024/3/4
1,870円(税込)
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今、中間管理職が辛い。いくらあっても足りない時間、いくらやっても終わらない業務、入れれば抜けていくチームメンバー。労働人口が減っていき、労働基準法により、より短時間成果を出すことを求められるようになるこれからの時代、もう「長時間労働」にも「マンパワー」にも頼れない。彼らが取り組んでいるのは、クリア困難な「無理ゲー」だ。

本書では、マクドナルド、ドトールコーヒー、松屋、31アイスクリーム、スギ薬局、ゴルフパートナーなど、名だたるチェーンストアの中間管理職員の動作分析を通じて、収益・生産性改善に寄与してきた オペレーション調査会社の社長である著者が、これら無理ゲーの攻略のためのTipsを、Q&A形式でわかりやすく紹介する。中間管理職の無理ゲー攻略の鍵は、思い込みや企業・業界の慣例に捉われずに、客観的・定量的な着眼点を身につけること。そして誰もが等しくゲームクリアできるような仕組みを作ることにある。

「フリーアドレスだから会話が弾む」は間違い。上司と部下のコミュニケーションが活発化する最もシンプルな方法とは?〉へ続く

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