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〈健診で下着の中を覗く〉「パンツを引っ張られて下半身を見られた」担当の70代医師は「思春期早発症の確認のため」と説明するも別の小児科医は「その言い分は通用しない」街では「昔、同様の経験をした」との声も

集英社オンライン / 2024年6月10日 18時11分

6月4日、群馬県みなかみ町の小学校で実施された健康診断を担当した70代の男性医師が、本人や保護者の同意を得ずに児童たちの下半身を視診していたことを受けて、同校は7日夜に緊急の保護者説明会を実施した。町教育委員会は「(児童の)プライバシーや心情に配慮できていなかった」と謝罪したが、男性医師は「(下半身の視診は)必要な診察だった」と説明しているといい、しばらく事態は収まりそうにない。

「下半身を見られた」と訴えている児童に対し医師は保護者会で否定し、こう説明したという

ショックを受けて泣いてしまう児童も

問題の健康診断を担当したのは、みなかみ町内の病院に勤務する70代の男性小児科医。

同町にある2つの小学校およそ100人の児童を対象に健診は行なわれたが、その翌日以降、同校や町教育委員会に対して「下着を引っ張られて下半身を見られた」などと、児童や保護者から多数相談が寄せられたという。

「下半身を見られたと訴える児童の中には、高学年の女子児童も含まれており、『下半身を触られた』と話す男子児童もいた。

さらに、この男性医師に『あなた生理きてる?』と聞かれたり、ブラジャーを持ち上げられそうになった女子児童もいるようで、4日以降、みなかみ町教育委員会には10件以上の苦情が寄せられており、保護者からは怒りの声もあがっている」(テレビディレクター)

群馬県教育委員会は、児童のプライバシーや心情を考慮しない不適切な対応があったと判断し、みなかみ町に対して、再発防止や児童の心のケアを十分に対策するよう指導。

さらに学校側も7日夜、この医師の同席の上で、保護者説明会を実施する事態にまで発展した。

集英社オンラインの取材に対して、みなかみ町教育委員会・学校教育課の担当者は、男性医師が児童の下半身を見たことを認めた上で、こう経緯を説明する。

「4日に行われた健康診断については、男性医師と女性教員、保健の先生の3人が立ち合い、聴診器で胸の音を聴いたり、腹部の触診をしたり、そうした一般的な健診が行なわれると認識していました。

ところが担当した医師が、ほとんどの児童の下着を引っ張って、下腹部の視診をしたとのことで、女子児童のなかにはショックを受けて泣いてしまう子も出たりして、保護者さんから(町教育委員会に)報告があったという流れになります。

7日夜には保護者説明会を実施し、ほぼすべての児童の保護者様に出席していただきました。こちらとしても、『(児童の)プライバシーや心情に配慮できなかった』と謝罪しましたが、質疑応答は1時間以上におよび、医師の回答に対して『そんなのないだろう』といった声や、保護者様の中には『(私に)健診を実演してみてください』と声をあげる方もいました。

児童の中には『下半身を触られた』と訴えている子もいるとのことですが、そこについては医師も否定されており、『肝臓に異常がないか、腫れていないか、おへそ周りを触診しただけ』と説明していました」

下半身を見る必要性は? 別の小児科医に聞いた

この担当者によると、町教育委員会は事前に渡される「問診票」を確認するだけで、健康診断の細かい内容については、学校の担当者に任せていたという。

今回の件に関しても「そのあたりの打ち合わせがうまくできていなかったのではないか」と話すが、そもそもなぜ男性医師は児童の下腹部を視診したのか。

「医師に言わせると、『児童の成長段階の外性器や陰毛の確認をした』とのことで、このくらいの年代になると思春期早発症という病気を発症するリスクもあるため、体の成長に異常がないか見るために視診したと話していました。

あくまで医療行為だと説明していて、当日も(児童の)下腹部に関しては1、2秒ほどしか確認しなかったそうで、実際に児童の中には『もう一回病院に行って検査したほうがいい』と診断された子もいたとのことです」(同)

この70代の医師は、昨年度から同校の健康診断を担当。今年で2回目の健診だったわけだが、去年から「下半身を見られた」といった情報はあったという。

「もともと一昨年までは整形外科の先生にお願いしていて、去年から(70代の医師に)お願いしていたわけですが、去年も児童から『(医師に)ちょっと見られた』などの声はあがっていたそうです。

とはいえベテランの小児科医ということもあり、思春期早発症など児童の発育には詳しい先生ですし、とくに大きな苦情などもなかったものですから……」

では学校健診で児童の下半身を見たり、触ったりすることはあるのだろうか? 愛知医科大学の小児科医、宮本亮佑医師はこう語る。

「学校健診において、陰部の診察をするのは一般的ではありません。健診では、身長や体重がちゃんと成長曲線に沿っているか、太りすぎてないか痩せすぎてないかなどを確認します。

あとは側弯症といって、背骨がちょっと曲がってしまうことが小学生には見られたりするので、児童にお辞儀をさせて背中の左右の高さに差がないかをチェックします」

児童の下半身を“目視”した理由について、70代の男性医師は「思春期早発症の確認のため」と説明していたが、宮本医師は「その言い分に関しては正直苦しいと思います」と話す。

「思春期早発症の初期症状として、男の子の場合は睾丸が大きくなり、女の子の場合は胸が膨らんできます。いきなり陰毛が生えるというパターンは多くありません。

ご自宅で保護者がお風呂上がりに児童の体の変化に気づくというケースがほとんどなので、学校健診で思春期早発症と疑われて病院に来ることは少ないです。

そのため、児童の陰毛の生え際を確認するのは一般的ではありません。そもそも思春期早発症は、男の子だと9歳以下、女の子だと8歳以下でないと診断されることはありませんから。

9歳以上だと、上記のように体の変化があったとしても、思春期早発症には該当しないんです。今回の件に関しても、報道だと高学年の児童も『(陰部を)見られた』と訴えているので、その言い分は通用しないのでは、と思います」

「言わないだけで同じ被害にあった子は多いはず」

今回の件に関して、現役の親世代はなにを思うのか? 取材班は7日、武蔵小杉駅周辺で、子どもを持つ女性たちを中心に話を聞いたところ、「許せない」という意見が大多数を占めた。

「子どもを持つ親として、すごく腹立たしいです。もし、自分の子どもの学校で同じようなことがあったらと考えるだけでゾッとします。医者が子どもをターゲットにする変態だった、なんて思うと最悪ですね。その医者に早く適切な処罰が下ってほしいです」(30代・女性)

「以前にママ友から『娘が保育園の健康診断で触られた』と相談され、いたたまれない気持ちになったことがあります。そのママ友はすぐに保育園に電話して、そのことを報告していました。

それで次の健康診断から女性の看護師さんか先生が帯同することになったみたいです。もし、自分の子どもが同じことをされたらと思うと本当に許せない気持ちになりますね」(20代・女性)

また、自身も「学生時代に同じような経験をした」と話す女性も複数いた。

「私が小学校高学年のとき、健康診断でかわいい女子の診察のときだけやたらと、聴診器で胸元を擦ったり、ブラをめくろうとしてきたりする医者がいました。毎年、健康診断はその先生が来ると決まっていたので、当日になると女子はみんな『今日もされるのかなぁ』『また見られたら嫌だなぁ』と言っていました。

でも、誰も周りの先生や親には相談できなかったですね。思春期だから自分がそういうことをされたって言うのもすごく恥ずかしいし、仲のいい友達以外には言いにくいじゃないですか。言わないだけで同じ被害にあった子って多いと思います」(20代・女性)

現役の中学校教諭(30代・女性)も「今回の件はありえない」と声を荒げる。

「学校の健康診断で下半身の確認をしたり、ブラジャーを持ち上げたなんて聞いたことがないです。思春期でデリケートな時期の女児に対してそんなことしてしまうと、トラウマになりかねないですよね。

学校の健康診断はあらかじめ決められた項目を検査するものなので、今回の医師の行為が必要だったとは思えないです。必要のないことはしないでほしいですね。

変な疑いにつながるし、時間がかかるとその後の時間割にも影響が出るので。学校や教育委員会はこの件をうやむやにせず、早急に対処すべきだと思います」

前出の、みなかみ町教育委員会の担当者は、「今後は学校健診の内容について児童と保護者に事前に相談するようにして再発防止に取り組む」と話しており、健診を担当した男性医師については「来年度も続けていくことに保護者の理解を得ることは難しいため、新しい校医に変更させていただく」としている。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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