〈初公判・横浜女子大生ストーカー殺人〉「オマエ、俺と別れたら知らねえからな」「必ず刺さないと。未遂で捕まったら(被害者)がハッピーなだけ」元交際相手を殺害したツーブロック男の暴力と執着、家庭環境…
集英社オンライン / 2024年6月11日 16時5分
〈〈横浜“元子役”女子大生ストーカー殺人〉SNSのアカウント名を被害者女性の名前にして復縁を迫ったDV男の今。友人も「もう二度と会うことはない」…求められるDV防止法の改正〉から続く
昨年6月、横浜市鶴見区のマンションで、当時18歳の女子大学生を刺殺したとして殺人罪などに問われている元交際相手の伊藤龍稀(はるき)被告(23)の裁判員裁判の初公判が6月10日、横浜地裁で行なわれた。伊藤被告は裁判長から起訴された内容に間違いはないか問われ、「ないです」と起訴内容を認めた。
〈画像〉お調子者だった中学時代、ドヤ顔の伊藤被告。サッカー部でのポジションはキーパーだった。SNSではアカウント名を変え復縁を迫り続けていた
弁護側は「包丁は被害者を脅すためで突発的だった」と主張するが…
起訴状によると伊藤龍稀被告は、昨年6月、横浜市鶴見区で当時18歳の元交際相手の女子大生の首や胸などを包丁で突き刺し殺害したなどの罪に問われている。
「冒頭陳述によると、女子大生は伊藤被告から暴力を受け昨年6月に別れを決意。伊藤被告は『繰り返し復縁を迫ったが断られたため殺害した』と供述していた。
検察側は、凶器を入手するために車で量販店に向かう際、伊藤被告が『必ず刺さないと。未遂で捕まったら⚫︎⚫︎(被害者の名前)がハッピーなだけ』などと独り言をいっていたドライブレコーダーの記録を証拠として提出しており、強い殺意があったことを主張。
いっぽうの弁護側は、『伊藤被告は別れを告げられ、人生の全てを捧げたのに全てを失ったと思い犯行に至った』『包丁は被害者を脅すためで突発的だった』とし『背景には被告の発達障害がある』と主張している」(全国紙社会部記者)
集英社オンラインでは昨年6月と12月に事件を取材、複数の関係者から証言を聞いている。
中学時代の同級生は伊藤被告の印象をこう話した。
「ハルキは中学2年の初めくらいに転校してきました。栃木県のほうから引っ越してきたはずです。部活動は複数掛け持ちしていたような気がするけど、サッカーに本腰を入れていました。運動神経はかなりよくてサッカーも上手で、ポジションはキーパーだったと思います。
社交的で誰とでも仲よくなるタイプで、少年院に入っちゃうような子とも仲がよかったんですよ。本人はまったく悪いことはしてなくて、いいヤツすぎるぐらいだったんですけどね。
だから校内では結構な人気者でした。マジックに凝ってるときもあって、何かの集まりで校長先生たちにマジックを披露して大盛り上がりしたこともありました」
しかし、数年後に偶然再会したかつての「人気者」は、見る影もないほど「ヤンチャ」になっていた。グレた背景には家庭環境も影響していたようだ。中学時代の親友は当時の取材でこう答えていた。
「ハルキの家は中学のころから母子家庭でした。宇都宮のほうから引っ越してきたときにはもう母親だけで、妹と弟のほかに一時期不良っぽい感じの義理の父親という人もいました。
ハルキは中学時代から『家にいたくない』『親といたくない』という理由で週に2〜3回は家を飛び出しては近くの公園に寝泊まりしてました。それで警察沙汰になり、余計に母親から冷たくされていたんです。
17歳で高校を中退したんですけど、ちょうどそのくらいの時期に母親が山形に引っ越すことになったんです。弟と妹は連れられていきましたが、あいつは置いていかれました。母親は再婚していたので、その関係かもしれませんが、詳しい理由はわかりません。
あいつはそれから一度、山形に行って、『母親に冷たくされた』と帰ってきたことがありました。親から愛されてない感じはしましたね」
「インスタグラムのアカウントを何回変えても毎回メッセージがくる」
高校を中退し、ひとり取り残されたハルキは夜の街に生計を立てる術を見出した。
「ハルキは最初、鶴見駅の立ち飲み屋でバイトしていました。『建築関係の職場に修行しにいく』と宇都宮に出て行ったこともあったんですが、『仕事がきついから辞めた』とあっという間に戻ってきて、蒲田でボーイをしたり、横浜のキャバクラでもボーイをしていました。最近は内装業みたいなこともしていたと聞いたことがあります」
女性に対する“執着”は昔から異常なものがあったという。
「ハルキって女を好きになると思いつめる傾向があって、“俺のものだから”って感じになる。中学時代に付き合っていた女性にフラれたときも、LINEのタイムラインに自殺するだの、もう死ぬ、とかメンヘラっぽいことを投稿してました。そういう一途な部分があるんです。
Aちゃん(殺害された女子大生)と付き合うようになると、男友達の誘いを断ったりするようになりました。仲間に『家賃が払えないから』とお金を借りて、そのお金でAちゃんにネックレスを買った挙句、金を返さないようになりました」
交際期間中、伊藤被告は女子大生に度々暴力を振るっていたようだ。伊藤被告が住んでいたアパートの近隣住民は、部屋で物が壊れる音や「痛い」「やめて」といった女性の悲鳴を聞いていた。女子大生の同級生も当時の取材でこう証言した。
「彼女とは小学校のときに同じクラスでした。すごく明るくて活発な女の子でした。足が速くて確かリレーの選手にも選ばれていたと思います。憧れの存在でした。
彼女と最後に会ったのは1ヶ月前です。友人らと何人かでお店で話をしましたが、そのときに彼女は、彼氏とはもう別れたと言っていました。でも、インスタグラムのアカウントを何回変えても毎回メッセージがくるから怖いと訴えていました…。
つい最近も、『オマエ、俺と別れたら知らねえからな』と脅されていたようです。警察には4回くらい相談していたけど、まったく動いてくれないと言っていました…」
初公判では「大切で愛する娘を殺した犯人を許せない」と愛娘を失った母親の供述調書も読みあげられた。途中、伊藤被告は涙を流し身体を震わせる仕草もみせていたという。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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