「匂いを嗅いだり自分で着用した」「制服をコレクションするのが趣味だった」CAのエプロンを盗んだ34歳エリートピアニストが逮捕「パリやベルリンに留学、山梨が生んだ次世代スター候補だった」
集英社オンライン / 2024年6月17日 20時58分
2011年、東京藝術大学音楽学部を卒業後、パリ国立高等音楽院やベルリン芸術大学に留学し最優秀で卒業。その後は国内で活躍していたピアニストが、ANA便のCAが着用するエプロンを盗んだとして窃盗容疑で逮捕された。この齊藤一也容疑者(34)を知る人物らは「まさか彼がそんなことをするなんて」と驚きを隠せない。
コンサートは今回の件ですべて中止
東京国際空港内にある警視庁東京空港署は6月14日、航空機内で客室乗務員のエプロンを盗んだとして、ピアニストの齊藤一也容疑者(34)を窃盗容疑で逮捕したと発表した。
「齊藤容疑者は4月25日午後3時頃、沖縄県の新石垣空港に駐機中だった羽田空港行きのANA便で、客室乗務員が出入りするギャレーと呼ばれる厨房設備内に侵入し、5000円相当の客室乗務員のエプロン1枚を盗んだとされています。
調べに対し齊藤容疑者は容疑を認め『女性の制服をコレクションするのが趣味で、匂いをかいだり、自分で着用していた』と供述している」(社会部記者)
同署は同容疑者の自宅から客室乗務員のエプロンだけでなく、看護師の制服なども押収している。斎藤容疑者を高校生時代から知る音楽関係者は語る。
「彼は数々のコンクールで賞を受賞し、演奏者だけでなく作曲家としても認められる実力のあるプロ。私が彼の演奏を初めて聴いたのは2006年の第4回東京音楽コンクールのときで当時16歳でした。その年齢の割になんと思慮深い演奏をするものだと感心したものです。
ただ前年度に北村朋幹という強烈な天才がこのコンクールで1位と審査員大賞を取ったインパクトが強かったため、この年、1位不在で彼は最高位の2位を得たのです。そういう経緯もあって、強烈な人の影に隠れる堅実な2番手という印象タイプでした」
また、この音楽関係者は「彼は公務員の親御さんのひとり息子で堅実な両親の元に育った」と語る。
「南アルプス山麓の山梨県韮崎市の出身で、ピアニストとしては同じ山梨県出身の故・中村紘子さんの次なる“スター”と言われるほど地元では支援者も多かったようです。
公務員のご家庭から、パリやベルリンなどに留学へ出すのは大変なことで、ご両親は定年後も働いていたとのことです。
この夏に向けていくつか予定していたコンサートは今回の件で中止となり、親御さんは方々にお詫びをしていると聞きました」
夫婦でデュオのリサイタルも開催していたが
齋藤容疑者はXの更新をかなりマメにしており、逮捕前の6月10日にもアップ。昨年の7月にはANA便を利用しているとの投稿もあった。前出関係者は「さすがにエプロンの話にはならなかったけど」と容疑者とこんな話をしたことも覚えていた。
「彼は移動と言ったら必ずANAを使ってたようで、マイルの貯め方や使い方のコツをいろいろと教えてくれたものです。ここ1、2年の話でしたかね」
エプロンを好むなどの性癖が見え隠れする一面はあったかと聞くと、「それはまったく感じなかった。パリ留学時代は女性と交際もしていたようだ」と振り返る。
「パリ時代は何人かの女性と付き合ったと話してましたよ。だけど2年前に『ようやく僕も落ち着くことになりました』と、プロのヴァイオリニストさんとご結婚されたんです。
最近では夫婦でデュオのリサイタルを開いていますが、新婚当時、彼女は東北で活動することが多かったので、一緒に暮らす機会はなかなかなかったようです。そういう意味では孤独を募らせていた部分もあったのかもしれない」
齋藤容疑者の2022年のXの投稿では、妻とともに仲睦まじくツーショットでの写真をのせた年賀状も投稿されていた。齋藤容疑者を大学時代から知るイベント関係者は報道に対し「まったくもって信じられない」と言う。
「朗らかで愛嬌もあって、芸術家にありがちなプライドの高さや気難しさもなく、バランスの取れた青年でした。お酒も好きでワインと日本酒をよく飲んでいました。
地元愛が強く、山梨の『七賢』という日本酒もよく飲んでいましたよ。だからといって酒癖が悪いなどは一切なく、ただ飲み続けて音楽の話とか次やるコンサートの話とかを延々と楽しくするようなタイプでした。
奥さんと打ち上げの場にご一緒することもあったけど、サバサバとした女性で対等なご夫婦という感じでした。はたして奥さんはこのことを知っていたのかどうか。彼だけでなく奥さんの今後の活動を思うといたたまれない」
CAの持ち物は厳密に管理されているのになぜ
齋藤容疑者は警察の調べに対し「何度もやっている」と供述をしている。仮に「何度もやっている」のが飛行機内のギャレーなのだとしたら、そんなに何度もやれるほど侵入しやすい場所なのか? ANAの元客室乗務員に話を聞いた。
「齋藤容疑者が石垣空港で乗ったのは報道によれば15時台の便で、機種繰りはその日により変わるので断言できませんが、おそらく中型機だと思われます。そうした場合、齋藤容疑者が侵入したギャレーは前方と後方の2箇所にあったはずです。
お客さまをご案内し、お飲み物をお出しするときはギャレー内は客室乗務員はいなくなっているはずなので、そのタイミングで侵入したのではと思います」
しかし、ギャレー内にはエプロンは常に置いているものなのだろうか。
「ギャレーにはいくつもの戸棚があり、空いている戸棚に乗務員たちの化粧ポーチやエプロンをしまっていることはあります。ただエプロンに限らず、制服も含めすべてバーコードで厳密に管理され、そのバーコードを照合すれば誰の持ち物であるかわかります。
このように厳密に管理されているので、たとえスカーフのような小さい物でもなくなれば空港警察署に被害届を出します。また、見つからなければ客室乗務員は買い取ることになるので、これまで何度かなくなっていたエプロン代は持ち主である客室乗務員が買い取っていたはずです」
余罪はまだまだありそうだ。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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