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〈海外出稼ぎ風俗〉「日給30万円はカタイ」の謳い文句も、肩書やルックスがないと売れ残り…かつてはモデルやアイドルの裏バイトも昨今は飽和状態・出稼ぎ戦国時代へ(元・セクシー女優ライターが解説)

集英社オンライン / 2024年6月21日 19時53分

居住エリアを離れ、縁もゆかりもない地で体を売る「出稼ぎ風俗嬢」。最近では、その実入りのよさから、海外まで足を伸ばす若い女性も増えてきた。しかし、厳しい現実に直面するパターンも少なくないという。

海外出稼ぎ風俗嬢が滞在する宿泊施設

「海外出稼ぎ戦国時代」へ

夜の世界の「出稼ぎ」というシステムは地元を離れ、定められた期間、遠方のお店に在籍しながら賃金を得る働き方である。

一般的な出稼ぎの意味とさほど相違はないが、水商売の場合は拘束日数や勤務時間に応じて日給保証が発生。風俗店は完全歩合制のため、日給の最低ラインが確保されるのはコンパニオンにとって大きな安心材料だ。

東京から大阪、大阪から博多、時には沖縄、北海道と、高収入を目指す女性はせわしなく日本を横断する。近頃は国内だけではなく、海外にまで足を伸ばして一攫千金を狙う人が急増中らしい。



現在は世界各地に日本人女性が飛び回り、「海外出稼ぎ戦国時代」と言っても過言ではない状態へと変化を遂げた。

海外出稼ぎは今に始まったものではなく、平成中期には既に存在していた。

かつてはグラビアアイドルやセクシー女優、モデル、人気アイドル、芸能人の卵など、一部の人間の裏バイト的な位置づけだったという。

普段の生活で簡単に出会えないような女性は希少価値が高く、富裕層の外国人男性からウケがいいため、高収入を求める人々はこっそりと働きに行く。

「海外出稼ぎは15年どころか20年近く前からあって、一部の人間(仲介者)が芸能事務所とやり取りをしながら女性を派遣していたものです。僕の本業はイベンターなのですが、築いた人脈で海外のお店と事務所、時にはタレントを直で繋ぎ、仲介していましたよ」(関係者)

当時は外国の店舗へたどり着くルートが非常に狭く、海外出稼ぎそのものがあまり認知されていなかった。

それが時代の変化とともに紹介者が増え、現在は水商売専門のスカウトマンから、働くコンパニオン同士での紹介などコロナ以降はさらに間口が広がった。

“行けば稼げる”時代は終わった…出稼ぎの格差社会

こうして秘密の裏バイトから大衆化したともいえる海外出稼ぎは、働く層にも変化が起き、特別な肩書きを持たない一般人や、繁華街で活躍するキャバ嬢でさえ足繁く海外へ行くようになった。

海外出稼ぎが明るみに出てからしばらくは、“そこそこルックスがよければ”肩書きを持たずとも稼げた。

基本的に日給30万円がベースで、チップを含めればさらに上を目指すことも可能とあって、海外ならではのうま味を感じた女性たちは、次々と各地へ飛んだ。

しかし、出稼ぎを受け入れる風俗店は日本ほど多くない。母数が増えればあっという間に飽和状態となり、客は女性を選び放題。

店はリピーターに「希少価値の高い日本人女性が来た」と営業をするのだが、今となっては日本人も珍しくなくなったため、顔や系統、肩書きなど、要求がどんどん増える。

その結果、現地の客に選ばれる、選ばれないの差がコンパニオン間ではっきりと表れてしまい、誰もが海外に行けば稼げる時代は過ぎ去った。

もはや女同士の静かな戦争であり、それぞれの売値に関してもまったく違う。

自身も海外出稼ぎの経験があるセクシービデオの企画女優はこう語る。

「日給30万円はカタいよ!ってスカウトにゴリ押しされて現地へ行ったら、びっくりするくらいキレイな女の子ばかりで驚きました。

私はセクシー女優なんですけど単体じゃないし、そんなにかわいくないので……。思うようにお客さんがつかず、海外出稼ぎしたのにあまり意味がなかったです。チップも周りが言うほどもらえませんでした」

セクシー女優という肩書きを持つ女性が悲痛な叫びを上げる一方で、こんな話もある。

「私はふだん西麻布のラウンジで働いており、もっとお金がほしくて海外出稼ぎに行きました。勤務先はKTVと呼ばれる、いわば“連れ出しキャバクラ”。

お客さんたちとカラオケして、気に入られたら男性がママ(店主)へ連れ出し料を払って……という流れなのですが、日給30万なんて余裕でしたよ。

オーバーナイト(お客さんとの宿泊メニュー)のリクエストが入るとアツいですし、相手は富裕層なのでパパになってもらえる可能性も高い。今でもKTVで出会った男性と繋がっていて、いまだにお小遣いをもらい続けてます(笑)」

彼女いわく、高級KTVには有名セクシー女優や普段の生活では出会えないような美女、タレントが集うという。ハイレベルな女性のみが働ける狭い世界だからこそ、客は価値を感じてお金を落とすそうだ。

海外へ行ったのに日本と稼ぎが変わらなかった、あるいはまったく稼げなかったケースもあれば、想像以上の収入を得る“出稼ぎドリーム”を掴む人も存在する。格差が広がり、一部だけに大金が集中している現実は否めない。

出稼ぎ嬢の買い手はいつも新しいもの好き

海外出稼ぎ嬢と遊びたがる客は、現地に住む中国人がメインだが、昨今はその他にもアメリカ人、インド人、フランス人といった多種多様な男性も利用しており、必ずしも中国人富裕層ばかりに当たり、チップまみれでホクホク……なんてことはない。

彼らは日本のように、風俗店に溢れた環境で過ごしていないため、店探しは友人同士のネットワークを利用することが多いそう。店舗とのやりとりは主にWeChat(微信)やテレグラム等のメッセージアプリで行われ、女性の最新情報もこちらを経由して流れてくる。

いくら日本人女性が増えたと言えど、1店舗が抱えられる在籍数には限界がある。横同士の繋がりが濃く、ネットワークが狭いのでコンパニオンが同じ店を短期間でリピートすると、客はすぐに飽きてしまうのだ。「あぁ、この子また来てるよ」「完全に海外出稼ぎ常連組だね、珍しくない」「いつでも遊べる子は希少価値がない」と……。

かつて日本で人気を博した某セクシー女優も、過度な海外出稼ぎを繰り返した結果、値段がつかなくなった。

圧倒的な知名度を誇るにもかかわらず、現在はひと晩を過ごすのに約20万円以下の金額で取引されている。全盛期は1回100万クラスだったため、何と残酷な話だろう。

“ネットワークが狭い”というのは店だけではなく客同士も同様である。

お互いに情報交換し、見たことのない新しいコンパニオンがやってくる→それぞれで一度遊ぶ→飽きて次へ流れる…

このようなパターンが多い。超有名セクシー女優やよほどルックスがいいなどの強みがないと、なかなか個人のリピーターにはなりづらいのが現実といったところ。

海外出稼ぎを延々と続けるにはコンパニオン生命をどう延ばすかが肝となる。そのほかにも外国で働く危険性や病気、逮捕のリスクも考慮すると、命を削った労働とさえいえるかもしれない。

覚悟さえ決めたら収入が保証される、なんてのはひと昔前の話。入り口は広がっても、その先が狭き門とはなんとも悩ましい。

それでも海外出稼ぎを希望する女性が後をたたないため、さらなる格差の広がりが加速するだろう。その時はまた以前のようなあり方へと戻るのだろうか。引き続き、海外出稼ぎの動向について注目していきたい。

※「集英社オンライン」では、海外への出稼ぎ風俗について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

X(Twitter)
@shuon_news

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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