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〈犯人はまさかの…?〉Googleマップの悪質クチコミで訴訟問題に。嫌がらせ・削除業者からの営業に悩まされる医院の実情

集英社オンライン / 2024年6月22日 17時0分

兵庫県尼崎市で眼科医院が、Googleマップに悪評を投稿した相手に対して損害賠償を求めた裁判の判決で、投稿の削除と200万円の賠償が命じられた。Googleマップの悪評問題は深刻で、この判決を機に無法地帯のような現状が変わることを期待されている。

【画像】ボロカスに書き込まれている歯科医院のGoogleクチコミ

Googleクチコミの削除までに3年も…

スマートフォンを持つ多くの人が使用しているアプリ「Googleマップ」。特にそのレビュー機能が重宝されている。

飲食店だけに限らず、病院、公共の施設、観光名所にまで、誰でも簡単にレビューを投稿・閲覧することができるため、今ではこのレビューが、お店選びや目的地を決める大きな要因となっている。



当たり前だが、いいレビューが多ければそれだけ来る人は増えるし、悪いレビューが多ければ足が遠のいてしまう。

「食べログ」と同じように、多くの飲食店にとってこのレビューが死活問題になっているが、実は飲食店以上に困っているのが病院だという。

株式会社ファンクション・ティの代表で、歯科医師の田尾耕太郎氏に話を聞くと、Googleマップのクチコミに悩まされる歯科医院たちの実情が見えてきた。

「まずGoogleクチコミの問題点は、誰でも自由に書き込むことができる点です。虚偽の内容や、店舗のイメージを貶めるような内容も投稿可能。店舗にとって都合が悪いクチコミであったとしても、法に抵触する場合や、Googleのポリシー違反の場合を除いては、削除ができません。

さらに、弁護士にクチコミ投稿者の開示・削除依頼をする場合、40〜200万円ほどかかるケースが多いうえ、確実に削除できるわけではないのです。開示請求が通ったとしても、クチコミ削除にかかった費用を相手方に請求できないケースもあります」(田尾氏、以下同)

今回の尼崎市の眼科医院の件でも、クチコミの削除と賠償金が判決で命じられたのだが、投稿者の特定をはじめてから判決まで実に3年も要したという。

また、たとえ賠償金の支払命令が出たとしても、その後の回収ができないというケースもあるため、「その点も歯科医院側にとってのリスクだと思います」と田尾氏は指摘する。

クチコミ削除業者のマッチポンプの可能性

Googleクチコミのやっかいな点が、誰でも手軽に書き込めるわりに、削除することがとにかく大変なことだ。投稿した本人が削除することは簡単だが、ほかの誰かが投稿を削除させることにはかなりの労力を要する。

「まず、クチコミ削除業者に依頼すると、10〜30万円ほどで削除できる場合もありますが、これをするとGoogleの規約違反によるペナルティや法に抵触する恐れがあるのです。また、仮に削除できたとしても、またすぐに書き込まれる可能性があります。

削除しても、『削除された!』『この医院はクチコミ対策をしていて卑怯だ』と書き込まれるケースなんかも……。そしてそもそも、悪質なクチコミは、削除業者によるマッチポンプである可能性もあるのです」

実際に悪質なクチコミが多く書かれている医院などには、削除業者からの営業メールや手紙が届いている。その一例を見せてもらうと、“悪質なクチコミを放置すると大変なことになります”と恐怖感を煽っている文面が載っていた。

 このような嫌がらせに耐えかねた医院の中には、Googleマップへの掲載を取りやめたところまであるというが、いまやほとんどの人はGoogleマップを頼りにして歩いているため、利用者が店舗にたどり着くのが困難になってしまう。もはやどうしようもないのが現状だ。

「このように問題点が多いGoogleクチコミですが、実際に集客に大きく影響するため、医院側としてはなかなか無視することができません。

投稿と引き換えに割引やプレゼントを行うなどでクチコミを集めている歯科医院もあり、そのような手法を推奨するコンサルタントも存在しますが、これはGoogle規約や法律に抵触します。先日初めて、消費者庁から措置命令が出ました」

嫌がらせをするのが個人だけならまだしも、それを利用してずるがしこくお金を稼ごうとする企業まで登場してしまうと、いよいよ手の打ちようがない。

ネガティブなクチコミばかり投稿する人間

「それでも、やらせクチコミやマッチポンプと思われるクチコミは全体の数パーセント。95%以上は実際の受診者によるクチコミで、どの患者が投稿したのかは、医院側は大体把握しています。

ただ、医院側が何も対策を行なわない場合、いい投稿は滅多に書かれないので、必然的にネガティブなクチコミが多くなり、平均点も低くなります」

“いいサービス”を受けた時にわざわざ感謝の電話をしないが、“悪いサービス”を受けた時にクレームの電話をする人が多いように、人はネガティブな経験をネットに書き込みがちだ。

こういった心理が、医院に悪いクチコミが集まってしまう原因になっているのだろうか。

では、我々がこれからGoogleクチコミを見る際、どんな点に気をつけて見ればよいのだろうか。

「Googleクチコミの平均点は、医院の実態を反映しているとはとても言えないので、『クチコミ高評価の医院 → 対策を行っている医院』『クチコミ低評価の医院 → 対策を行っていない医院』と考えるのが適切かと思います。

また、ネガティブなクチコミを投稿する患者はごく一部であり、不満を感じていなかったり、満足している患者は投稿を行わないことが大半であるということを念頭においてください。

あくまでも参考程度にクチコミを見ることが大切かと思います。医院がクチコミに対して返信をしている場合は、医院側の考え方や姿勢が返信に表れていることも多いので、そちらを参考にするというのもよい方法だと思います」
 

取材・文/集英社オンライン編集部

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