〈立ちんぼ・新宿に異変〉「ハウマッチ?」新宿の“TACHINBO”が観光名所となって客もグローバル化。「日本人のおっさんよりいい」「私たちにとって格好のカモ」シャワー中に金を抜き取られても”泣き寝入り”する外国人が続出
集英社オンライン / 2024年7月1日 18時0分
「Excuse me.How much?」――。うす暗い路地で繰り広げられる男女の会話。やがて交渉がまとまると、2人は近くのラブホテルに消えていく。一見すると、海外の売春地帯のように思われるが、これは新宿・大久保公園で、もはや日常となりつつある光景だ。インバウンド需要が復活した今、日本を訪れる外国人観光客にとって、大久保公園は”立ちんぼ”を買えるナイトレジャースポットとして人気が高まっているという。現地でその実態を調査した。
立ちんぼが観光名所化⁉ “TACHINBO”となってグローバル化する客
海外YouTuberによってグローバル化した立ちんぼ
JNTO(日本政府観光局)によると、2024年5月の訪日外国人の数はおよそ304万人となり、前年(2023年)同月比では60.1%増加。コロナ前の2019年5月のおよそ277万人を30万人近く上回り、3ヶ月連続で300万人を突破した。
そんな外国人観光客たちに今、ナイトレジャースポットとして注目を浴びているのが、「立ちんぼの聖地」として知られる新宿・大久保公園なのだという。歌舞伎町ウォッチャーの仙頭正教氏はこう語る。
「もともと大久保公園に立ちんぼを買いにくる外国人の数は少なく、それも日本に住んでいるアジア系の男性がほとんどを占めていました。
ところが、昨夏ごろから、外国人の数は増加。週末の夜になると、大久保公園には日本人を含めて100人以上の男性たちが押し寄せますが、全体の10分の1ほどは外国人が占めるようになりました。
欧米系からアジア系まで国籍はさまざまで、立ちんぼを買わずに見物するだけの外国人観光客も少なくありませんが、昨今の盛り上がりはピークといっていいでしょう」
大久保公園を訪れる外国人のなかには、一言も日本語を話せない男性も珍しくない。その場合、英語で立ちんぼに話しかけたり、Googleの翻訳アプリを使って交渉する外国人もいるというが、なぜ大久保公園はここまで外国人に人気になったのか。
「一番大きな理由にあげられるのが、海外YouTuberの存在でしょう。実際に『立ちんぼの聖地』として大久保公園が注目を浴びはじめた昨年春ごろから、スマホで自撮りしながら歩いている配信者風の外国人男性の姿をよく見かけましたし、YouTubeで『OKUBO PARK』などと検索すると、海外に向けて配信されたその手の動画が見つかります。
そうした影響もあり、日本のナイトレジャースポットとして海外で広く知られるようになったのでしょう」(同)
翻訳アプリで交渉
6月24日午後9時すぎ。記者が大久保公園を訪れると、この日も多くの女性たちが立ち並んでいた。見たところ10代後半~20代がメインで、ゴスロリ風のミニスカートに厚底ブーツを身に付けている”地雷系ファッション”の女性が多い。
大久保病院とは反対側の路地と、そこからホテル街へ向かう路地には、20人近くの女性たちが客待ちをしていて、それを品定めするかのように男性たちが歩いている。
その多くが中年のサラリーマンや、冷やかし目的で訪れたのであろう若者グループだが、なかには外国人と思しき男性の姿もポツポツと目に入る。
3人組の南アジア系の男性たちは、立ちんぼにしきりに近づいていき「Excuse me.How much?」と声をかけている。また、欧米系の外国人たちは缶チューハイ片手に、日本人男性が立ちんぼと交渉する姿を見て笑っている。
その一方で、東南アジア系の外国人は、立ちんぼの一人に近づいていき「look look(見て見て)」と言いながら、自らのスマホ画面を指さしている。
すると女性は、なにやら文字が書かれたスマホ画面を男性に見せて、顔色をうかがう。しばらく経つと交渉がまとまったのか、2人はラブホテル街へ向かって歩いていった。
この状況について、立ちんぼ歴5年のサキさん(仮名・20代)はこう語る。
「去年くらいからかな? 明らかに日本語がわからない外国人観光客が増えたから、ああやってGoogle翻訳アプリで交渉してきたり、『How much?』とか英語で話しかけられるようになったんですよ。
実際に私も、外国人とやり取りする機会が増えたからちょっとだけ(英語を)話せるようになりました。
でも、欧米系の人たちは冷やかし目的ばかりで、本当に買ってくれるのは中国やフィリピン、インド系の人たちが多いかな。こういうのもアレですけど、大久保公園ではグローバル化が進んでますよ(笑)」
立ちんぼからカモにされる外国人たち
外国人男性が提示する金額の相場は、日本人と同じくホテル代別の1.5万円。現在では、立ちんぼから声をかけにいくほど外国人男性は人気の存在だというが、その理由はなんなのか。
「私服警官の可能性がないので安心して引けるし、言葉もわからないからホテルでも話す必要がないからです。
それこそコロナ前までは、外国人といえばクスリでパキッて目が血走ってるヤツとか、平気で5千円に値切ってくるヤツもいてケチで危ないイメージだった。
でも、今はそんな人ほとんどいないし、片言の日本語で『タオル、イリマスカ?』とか言ってくる親切な人も多いから、面倒くさい日本人のオッサンよりも全然いいんですよね」(同)
だが、集英社オンラインが6月17日、大久保公園にまつわる記事を配信したあとに、編集部のメールアドレス宛に、日本に観光で訪れたという中国人男性からこんなトラブルを報告するメールも届いている。以下が、翻訳アプリを通して要約した内容だ。
「6月中旬に、大久保公園の立ちんぼと2万円でホテルに行きましたが、シャワーを浴びたあとに、いきなり『1万円を追加で支払わないと次(本番行為)に進めません』とスマホの翻訳アプリを見せられました。
仕方なく1万円を渡して挿入を試みましたが、彼女はベッドに横たわるだけで、わざと『痛い、痛い』と言って体をそらしたり乱暴な言葉をつかってきました。これを5、6回繰り返すうちに、女性は時計を指さして『時間がない!』と言いだして帰りました」
その後、この男性がSNSで被害について報告すると、この女性から同じ目にあった中国人男性が複数人いたことが発覚。
メールの最後には「この件を公にしないと、日本の海外における良好な名声が失われてしまう」と書かれているが、前述の女性は「そんなのまだマシな方ですよ」と笑う。
「私はそんなヒドイことしないけど、立ちんぼしてる友達のなかには、外国人がシャワーを浴びてる隙に財布から金を抜いて逃げたりする子もザラにいますよ。
そういうトラブルが起きても、外国人観光客は日本語を話せないので対処できない。警察に行ったところで相手にされないから、外国人は私たちにとっては格好のカモなんですよ」
大久保公園は一大観光スポットへ
時刻は深夜1時すぎ。このくらいの時間になると警察のパトロールも減るからか、人通りの多い大久保病院側の路地には、6、7人の女性たちが並んでいる。
そうした光景をジロジロと見る男性たちのなかには、しきりに立ちんぼに話しかける欧米系の外国人グループや、冷やかしたからか、立ちんぼに怒鳴られている南アジア系の外国人たちの姿もあった。
そんなカオス化する大久保公園を歩いていると、ガードレールに寄りかかりながら立ちんぼたちを眺めている、フィリピン人男性2人組を発見。そのうちの一人は少しだけ日本語を話せるようで、記者の問いかけに対してこう答えた。
「観光で日本にきて、数日前までは大阪にいて、今日は東京スカイツリーを見に行きました。ここ(=大久保公園)はYouTubeで知ったので行ってみたいと思ってたんです。まだ日本の女の子とは遊べてないけど、歩いてるだけで楽しいね」
多くの外国人観光客が訪れることが予想される今年の夏。なにか大きなトラブルが起きる前に、警察は立ちんぼ浄化に本腰を入れるべきだろう。
※「集英社オンライン」では、路上売春について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com
X(Twitter)
@shuon_news
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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