<新紙幣発行スタート>「めっちゃ偽札感ある」の声も専門家は「偽札をつくるのは間違いなく不可能です」世界最高峰の偽造防止技術とは?
集英社オンライン / 2024年7月3日 18時40分
7月3日より、新紙幣の発行がスタートした。約20年ぶりとなる日本銀行券の刷新には多くの注目が集まり、SNSでもこの話題一色だ。一方で、デザイン面に関しては賛否両論があがっている。
【画像】「え、ダサくない?」賛否が割れる世界最高峰の3Dホログラム技術を使った新紙幣のデザイン
「子どもが紙でつくる偽札みたい」
慣れ親しんだ福沢諭吉、樋口一葉、野口英世の顔が刷新され、1万円札には渋沢栄一、5000円札には津田梅子、そして1000円札には北里柴三郎が採用された新紙幣。新たなデザインの中で特に目を引くのは、表面に印刷されている金額をあらわす文字が、漢字からアラビア数字に変わったことだ。
さらに裏面を見ると、右上に記載されているアラビア数字は従来の紙幣よりも何倍もの大きさになっている。この変更はユニバーサルデザインとのことで、国立印刷局の公式サイトには〈年齢や国籍を問わず多くの人になじみのあるアラビア数字による額面表示を、旧券よりも大きくしています〉と説明されている。
これによって、日本銀行券に慣れていない外国人観光客などにとっては確かに視認性が高まったと思われるが、旧デザインに慣れている多くの国民からは、否定的な声も多数。
ネット上では、〈やっぱり新紙幣おもちゃのお金みたいに見える。デザインがイマイチ〉〈数字表記がデカくなって人生ゲーム感あるよね〉〈デザインダサすぎてもうキャッシュレスしか使うなって言われてる気がしてきた…〉〈新紙幣めっちゃ偽札感あるよね〉〈子どもが紙でつくる偽札みたい〉といった声があがっている。
だが、一見すると“偽札っぽい”この新紙幣の偽札をつくることは、ほぼ確実に不可能だという。その理由について、都内の印刷所勤務の男性に話を聞いた。
「世界的に見ても日本の紙幣の印刷技術は極めて高く、正直、今までの紙幣でも偽札をつくることは不可能だと思っていました。さらにそこから20年分の技術進化があり、偽造防止の技術がより洗練されたので、偽札をつくるのはまず間違いなく、不可能になりましたね」(印刷所勤務の男性、以下同)
今回取り入れられている偽造防止技術の中でも、特に注目するべきは3Dホログラムだ。
宝くじの偽造防止技術とはレベルが違う
ストライプ型3Dホログラムを新たに採用し、3Dで表現された肖像が回転する。この最先端技術を銀行券に採用するのは世界初となっている。
「ホログラムの印刷技術に関しては、特にレベルが違うと感心しました。人の顔が精細に描かれており、これを3D化するのは普通はできない。日本紙幣のレベルの高さについては以前からも言われていましたが、今回の新紙幣を見て改めて、あらためて世界最高峰の技術だと思いましたね。
宝くじも偽装防止技術がいくつが使用されていますが、はっきり言って紙幣と比べると全然レベルが違うかと」
新紙幣に使われている偽造防止技術の中で、今までから継続して採用された技術は、札を傾けることで文字や光沢が浮かび上がる「潜像模様」「パールインキ」、普通のカラーコピー機では再現が不可能な「マイクロ文字」、触るとざらざらした感触を生み出す「深凹版印刷」、紫外線を当てると発光する「特殊発光インキ」などがある。
そして新たに採用されたのが、「3Dホログラム」と、現行の「すき入れ」にさらに手を加えた「高精細すき入れ」だ。
7月3日、新紙幣をさっそくゲットするために三井住友銀行の本店営業部を訪れると、15分ほど列に並んだが難なく手に入れることができた。同じく列に並んでいた40代男性に感想を聞くと、「これ偽札みたいですけど大丈夫なんですかね?」と少し困惑していたが、偽造防止技術を伝えると、3Dホログラムを動かして感心していた。
また、同日に三菱UFJ銀行上野中央店など複数の店舗を訪れてみたが、こちらではまだ新紙幣を発行しておらず、7月4日からの取り扱いになるという。同支店の警備員の男性に話を聞くと、どうやら今日、何度も同じ問い合わせを受けているようで、すらすらと明日、新紙幣をどうやって入手するかの手順を教えてくれた。
「キャッシュレス時代だから必要ない」だの、「デザインがダサい」だのいろいろ言われているが、なんだかんだやはり、新紙幣の発行は国中が注目する一大イベントとなっているようだ。
取材・文・撮影/集英社オンライン編集部
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