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〈公約達成に疑問もなぜ圧勝?〉小池百合子が都知事選3選で「日本終了」「東京終了」がトレンド入り「政策目標9割達成」強調も「絶望しかない」

集英社オンライン / 2024年7月8日 11時23分

選挙掲示板ジャックや猥褻ポスターなど、さまざまな話題を呼んだ東京都知事選挙。結果は現職の小池百合子氏の圧勝に終わり、自身でも勝因を「政策目標の約9割は達成」と分析した。しかし、Xでは「日本終了」がトレンドになるなど反発も強く、選挙結果と世論が乖離している印象も見受けられる。

猥褻ポスターや脱衣政見放送などカオスな都知事選のなかで台風の目となった人物

Xでは「日本終了」「東京終了」がトレンドに

7月7日に投開票が行われた東京都知事選挙は、56人の候補者が乱立する中で、現職・小池百合子知事の圧勝で終わった。これで“小池都政”は3期目に入り、満了まで勤め上げると12年もの長期政権になる。

全体の投票率は前回を5ポイント以上上回る60.62%で、小池知事の得票数は約292万票と、2位の石丸伸二氏に120万票以上もの差をつけた。



にもかかわらず、SNSでは〈百合子に東京は任せられんて…。もう東京いや、日本が終わったな…〉〈この国の未来に絶望しかない〉〈東京終わったやろ…なぜ学ばないのか?〉〈頑張って投票行ったのに何にも変わらなかったじゃん。東京終わったなって思った〉といった声が噴出し、一時は「日本終了」「東京終了」なるワードが同時にトレンド入りする事態にまで発展した。

実際、選挙期間中の演説でも「小池やめろ」といったやじが相次ぎ、小池知事も当選後の共同インタビューで「脅迫を受けたり、やじや大合唱があったり、今まで経験したことがないような選挙戦でした」と振り返っている。

これは、小池知事が多くの支持だけではなく、不信や反発も集めていることを示しているといえる。さらに、蓮舫氏や石丸伸二氏など、対抗となる候補者も出てくる中で、それでも3選を果たせたのはいったいなぜか。選挙事情に詳しい選挙ウォッチャーちだい氏に話を聞いた。

 ちだい氏がまず指摘したのは、蓮舫氏と石丸氏による“反小池票”の分散だ。特に選挙序盤、対抗馬と見られていた蓮舫陣営にとっては「読み違えがあったのでは」と分析する。

「左右の軸でいえば、石丸さんは蓮舫さんより小池さんの票を食う計算でした。しかし実際には、石丸さんが獲ったのは無党派層の票という結果になっています。蓮舫さんとしては、支持者に加えて無党派の票も獲ることが勝利のパターンだったので、これは大きな誤算だったといえるでしょう」(ちだい氏)

「政策目標の約9割は達成」という小池知事だが…

ちだい氏はさらに、今年と昨年だけで48億円もの予算をかけ、費用対効果が疑問視されている都庁のプロジェクションマッピング事業を挙げながら、業界団体が「小池続投」に動いたと指摘する。

「小池さんは、お金をバラ撒くところにはバラ撒くんです。一般市民からしたら都庁のプロジェクションマッピングなんて見ないし、得することもないし、やめちゃえばいいと思いますが、委託会社や関連会社からすると、これらがなければ大きな売上が飛ぶことになりますよね。そうなると当然困るわけで、売上のことを考えれば、業界団体としては小池知事に続けてほしく『今回も小池さんで』となるわけです」(ちだい氏)

小池知事は1期目の初当選時に「7つのゼロ」を掲げたが、これには以前から「達成できていない」との批判が根強い。

一方、本人は3選当確後、NHKの質問に対して「私は2期8年にわたって、政策目標の約9割は達成、そしてまた推進してまいりました。実際にそのことを感じていただいているからこそ、今回の私への投票につながったものと、そのように確信しております」と胸を張っている。

しかし、この発言は「政策」の達成ではなく「政策目標」である上、「推進」という曖昧な表現も用いられている。

「まずみんな、『公約を達成できたか』をそこまで気にしていない。どうしても『言ったもん勝ち』という部分があるんですよ。多くの人はどれだけ達成したかまでわかりませんから、嘘でも『9割達成しました』と言えば、それを信じちゃうと思うんです。のちのち検証されますけど、そこでもなかなか本当のことは伝わっていきません。

また多くの人は、どの公約が達成できてどれができていないかまで、検証できていないと思います。望ましいのは、選挙前にどれだけ達成できたかを検証すること。新聞などでは報じているんですが、最近は新聞を読む人も少ないので、多くの有権者に伝わらないところはあります」(ちだい氏)

最後と見られる3期目の“レガシー”は

今回の都知事選は当初、小池知事と蓮舫氏による事実上の“一騎打ち”と目され、対立の構図が盛んに報じられていた。しかし、蓋を開ければ蓮舫氏の得票は約128万票で全体3位に終わり、石丸氏が約165万票で2位につける善戦を見せた。

この躍進はちだい氏も予想外だったようで、安芸高田市長時代の石丸氏が地元でも賛否の激しい政治家だった点に言及しつつ、両候補の明暗を分けた要因にネットでの反響を挙げた。

「石丸氏は安芸高田市民から必ずしも支持されていたとは言えず、実際には都知事選で批判の声も多かったです。しかし、YouTubeで石丸氏を取り上げる動画が大量に出回るなどして、こうした声がかき消されていったように感じています。逆に、蓮舫氏は過去の答弁などをめぐる批判的な書き込みが広がり、マイナスなイメージが広がってしまいました」(ちだい氏)

当選したが反発も多い小池氏、市長時代に批判も多かった石丸氏、思ったほど支持が広がらなかった蓮舫氏。三者三様の上位3名だが、得票率42・7%(前回は59・7%)での当選となった今回の都知事選には、過半数の人の失望が透けて見えてくる。

今回の当選で新たに4年の任期を手にした小池知事だが、任期満了時には75歳を迎える。高齢や多選の観点からはこれが最後になるとの見方が強い。

次期都知事選に出馬しない場合、必然的に当落も関心から外れ、自身が推進したい政策を強引にでも進めることが考えられる。これまで「レガシー」を繰り返し発してきた小池知事は、“小池都政のレガシー”に何を遺すのか。

「ひとつ心配されているのは、すでに宮城県では行われている水道の民営化。もうひとつは再開発で、神宮外苑をはじめ、日比谷公園、杉並の商店街、築地などを進めていきたいと思っているのでは。小池知事は再開発に関しては積極的なので、今後もハコモノや不動産は動かしていくのではないでしょうか」(ちだい氏)

この4年間、小池知事はどのような都政を運営していくのか。都民のさまざまな期待と不安を浴びながら、3期目が幕を開ける。

取材・文/集英社オンライン編集部

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