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<蓮舫氏、気になる大惨敗の後遺症>党内からは「3位では次の衆院選で公認を出せない」「むしろ負けてよかった」の声。「立憲は選挙のやり方を忘れてしまったのでは」との指摘も。

集英社オンライン / 2024年7月8日 19時53分

7月7日に投開票された東京都知事選で、3選を果たした小池百合子氏。彼女の“対抗馬”と目されていた元立憲民主党参院議員、蓮舫氏が危ぶまれていた大失速が現実のものとなった。前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏にも後れを取る3位の大惨敗を喫した。流ちょうな訴えで演説会は大盛り上がりだったが、ネット時代の民意は街頭では見えないことも鮮明になった。

〈画像で振り返るカオスすぎた都知事選〉“ほぼ全裸”のポスターを貼る元アイドルと、ビリビリ破かれたポスター、「ヘイ、ヘイ」と街宣車で回るつばさの党など

当初、石丸氏は眼中になかったが…

「蓮舫さんは前回の都知事選でも出馬を求められていました。野党陣営で最も知名度がありますからね。前回出馬を固辞した知事選に今回出たのは、小池さんに勝てる可能性があると踏んだからです」



6月20日の告示前、立憲民主党関係者はこう述べ、首都の首長決戦で現職の小池百合子氏を破り政局の主導権を握る夢を描いていた。

実際、立民は5月の衆院補選にて3選挙区で全勝し上げ潮ではあった。裏金問題で退潮が明らかな自民党と、小池氏が一体だと印象づければ小池氏にも逆風が吹き、変革への期待の声が蓮舫氏に向くと計算していた。

「石丸氏は蓮舫氏より前に知事選に名乗りを上げましたが、地方で議員を派手に攻撃する姿がSNSの一部で人気を博していた程度。石丸氏がどれくらい力を示せるのかまったく未知数で、立民は眼中にも入れていなかった。小池対蓮舫の一対一の闘いにいかに勝つか、しか考えていなかったでしょうね」(政界関係者)

“エロポスター”の掲示騒動などで騒がしかった選挙戦序盤から6月末ごろの中盤までも、蓮舫氏の選対は、小池氏にいかに追いつき追い越すか、しかアタマになかったとみられる。

「6月末までの報道各社の世論調査の結果はすべて、小池氏が1位、蓮舫氏がやや差をつけられ2位、その後ろを石丸氏が追ってくる、との構図を示していました。蓮舫陣営や支持者は努力次第で小池氏の背中が見えてくると信じていたことでしょう」(社会部記者)

駅前に多数の聴衆を集めた街頭演説会で、蓮舫氏は優れた演説技術を見せ、どの会場でも熱気を帯びた反応があったことが理由の一つとみられる。

「蓮舫氏の演説は問題点の指摘と改善のための具体的な政策を抑揚をつけて訴え、聞く側を引きつけるうまさがありました。聴衆の反応はよく、都政を変える可能性を感じて自発的にプラカードを持って駅で蓮舫氏支持を訴える『ひとり街宣』のムーブメントも起きました。

選対によれば約3000人がこの運動に参加し、延べ700以上の駅でひとり街宣が行なわれたといいます」(社会部記者)

日に日に大きくなる石丸氏の足音

しかし、こうした光景からはうかがえない“異変”が7月に入って感知され、急拡大していった。

「マスコミ各社の世論調査が出そろった後です。期日前投票の出口調査と支持率調査で石丸氏が蓮舫氏に並び、追い抜きつつあるとのデータが現れてきた。

7月3日ごろには一部の社が、得票の2位は石丸氏になることを前提に取材・報道体制の変更を行なったとの話もあります。この傾向は日を追って鮮明になりました」(社会部デスク)

6日の選挙戦最終日の夕方、蓮舫氏は豪雨が去った後に新宿駅東南口で最後の演説を行った。告示日の夜と同じ演説会場には、告示日を上回る聴衆が詰めかけ、蓮舫氏は大歓声に送られて選挙戦を締めくくっている。

だが、演説会の熱気と全体の支持動向は相関しなかったと言わざるを得ない。

7日夜、東京都内の蓮舫氏陣営の開票センターでは開票が始まる前から蓮舫氏の選挙を中心になって支えた、立憲民主党の長妻昭東京都連会長や、辻本清美参院議員が硬い表情で関係先との連絡に追われていた。

午後8時ちょうどにNHKが開票率0%で小池氏の当選確実を報じると、集まった立民や共産党の議員らからは当初、「えっ」「えっ」と、承服できない意思を示すかのような小さな声が上がったが、蓮舫氏が小池、石丸両氏に次ぐ3位に沈んだ出口調査のグラフが画面に出ると声はまったく上がらなくなった。

当選した小池氏と選挙戦を「成功」させたともいえる石丸氏のインタビューがNHKの画面に現れた後、開場に現れた蓮舫氏は、第一声で「失意泰然だと思います。ただ多くの方に、本当に温かい言葉と応援をいただき、そして私も、思いを本当に心から訴えることができた、そういう戦いだったと思います」と口にした。

疲れた表情を印象づけないようはきはきとした声で答えたが、その目は充血していた。

惨敗の要因の一つは共産党との共闘

結局、選挙の得票は小池氏291万8015票(得票率42・77%)、石丸165万8363票(24・30%)、蓮舫128万3262票(18・81%)と石丸氏にも大差をつけられる結果となった。
原因の一つに挙げられるのが“共闘”だ。

「今回、共産党は蓮舫氏の立候補表明直後から全面的支持を打ち出し、蓮舫氏の写真を入れた自前のポスターまでつくって組織をフル回転させました。

これで共産党嫌いの連合や国民民主党が離れ、蓮舫氏と並んで演説に立つのは立民と共産党幹部が目立ち、打ち出した“無党派”は掛け声だけになったと受け止められたでしょう」(政界関係者)

7日の開票センターには共産党の小池晃書記局長も姿を見せ「蓮舫さんは最強の候補者だった」とねぎらいハグまでした。共産党としては立民との共闘を失敗とは決して総括できない状況だ。

投票率が前回より5.62ポイント上がって60.62%になった今回選挙の蓮舫氏の得票数は、投票率が56.55%だった2022年参院選の東京選挙区で蓮舫氏と共産党の山添拓参院議員が獲得した計約135万5000票より7万票以上少ない。

これについて立憲民主党の若手議員は「共産色が強くなったのも敗因ですよね。『共産と組むのはあまりよろしくない』というのも今回わかったんじゃないですか? そういう意味では負けてよかったんだと思っていますよ」とまで言う。

「蓮舫さんが浮動層からの支持を逃したことは明らかです。立憲と共産党の共闘の限界が見えたことは、今後の国政選挙の構図に大きな影響を与えるでしょう」と社会部デスクも分析する。

党内からはより大きな敗因として「やはり一番は思っていた以上に蓮舫が嫌われていたんですよね、ここまでキツイ女性と世間からみられていたのは想定外でした」(立憲民主党のベテラン秘書)との指摘も。さらに選挙演説に関する戦術にも疑問の声あがっている。

「立憲は選挙のやり方を忘れている」

今回、蓮舫氏は内容と話術に工夫を加えた演説で聴衆を引き付けた。

「私は演説を一回一回バージョンアップしました。夜中に自分の演説を聞き直し、内容を足したり引いたりしました」とも述べ、内容で勝負をしたとの思いを敗戦後も語っている。

だが、質が高くとも演説は1日に1~3回と限られたものになった。これに対し石丸氏は17日間の選挙戦で200回以上の演説をこなし、28万人がチャンネル登録をしているYouTubeチャンネルやSNSを駆使して拡散を続けた。

開票センターでは、この点について記者から「演説が石丸さんより大幅に少なかった」「少なすぎるという批判はどう受け止めるのか」と質問が飛んだ。この批判を受け付けない蓮舫氏は「私は1回1回の演説に自分の渾身の思いを込めて訴えました。やり切ったと思ってます」と正面から反論している。

居並んだ議員らは大きな拍手を送って蓮舫氏の考えを支持したが、党のベテラン秘書は、蓮舫氏と、最大の後ろ盾で選対を取り仕切った手塚仁雄衆院議員のとった戦術はおかしいと批判する。

「戦術でいうと手塚さんのやり方が間違っていたと思います。立憲が選挙のやり方を忘れている。例えばですが、空中戦と、それこそ思いつきの街宣ばかりで地上戦ができていなかった。組織を締める。個別の地方議員に泥臭く頼み込む。そんなやり方ももう忘れている。

小池さんはもちろん、石丸さんの参謀も地上戦が得意な人で、議員をまとめ口コミもどんどん広げさせた。蓮舫さんはそのあたりがまったくできていなかった」(ベテラン秘書)

落ち目の岸田首相を追い詰め、政権交代を一気に引き寄せようとした立民の内部では、情勢悪化が伝えられた時から「蓮舫氏が3位なんかになったら次の衆院選で公認を出せないぞ」との声も上がっていた。その事態が現実になった。

首都決戦大惨敗の後遺症は重く、党の混乱は続きそうだ。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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