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「とっておきを1つ」話すよりも「3つ」用意して伝える…相手との距離感が縮まる話し方のコツ

集英社オンライン / 2024年7月12日 8時0分

会話を通じて相手との距離感を詰めるには、とっておきを1つ伝えるよりも選択肢を3つ用意するのがコツ。

【イメージ】誰もが知ってるものが会話の糸口になりやすい

明治大学教授の齋藤孝さんが40年にわたって続けてきたコミュニケーション講義のエッセンスを紹介した『「考えすぎて言葉が出ない」がなくなる』より一部抜粋、再構成してお届けする。

話す時は最大1分で面白いことを3つ

新しい情報を適度に提供してくれる人は、相手によい印象を与えます。

何も、教養あふれる話題を提供せよと言っているのではありません。「こんなお店がおいしい」「サブスクだとこのサービスが便利」といったような、日常生活に役立ちそうなちょっとした情報でいいと思います。



仕事関係の相手であれば、業界の情報など、仕事に役立つ話題は相手も関心があるでしょう。

また「何かおすすめの映画はありますか」と聞かれたとき、「たくさんありすぎて……」と返してしまうのでは、次に話が続きません。

相手は「何か教えてほしい」と言っているのだから、「『ショーシャンクの空に』はよかったですよ」とか「インド映画の『RRR』は絶対おすすめです」など、何らかのタイトルを出したほうが、話は続きやすいでしょう。

おすすめの情報は、2つか3つ

おすすめを聞かれて困る人は、一つに絞り切れないということがあるのではないでしょうか?

そのときは自分の「ベスト3」を挙げてみましょう。

すると、相手は自分の好きなものを選びやすいですし、相手が気に入るかどうかを気にしすぎることもなく、紹介するほうも気楽です。

それでも「こんな映画を推したら、マニアックな人と思われないかな」「ちょっとこのシーンは好みが人によって分かれるな」というようなことがあれば、おすすめのポイント別に提案してもよいと思います。

映画の話の続きで言うなら、「みんなが感動するものは○○、過激なシーンを避けたいなら○○、サスペンスが好きなら○○」のように、おすすめのポイント別に提案できるとベストです。

「なんでもベスト3」をつくっておく

話せる話題を広げるには、どの領域においても「おすすめ」を3つくらいつくっておくとよいでしょう。私はこれを「なんでもベスト3」と呼んでいます。

自分が興味のある分野や、よく知っている分野について、あらかじめ「ベスト3」をつくっておきます。

どんなジャンルでも結構です。

たとえば「マクドナルドのメニューベスト3」「好きなポケモンのキャラベスト3」など。音楽に詳しいなら「ショパンのピアノ曲のベスト3」「歴代の優れたドラマーベスト3」など、特定のジャンルの限られた領域のベスト3でもいいでしょう。

また、話題を広げたいのであれば、あえて自分があまり知らないジャンルについて「ベスト3」をつくることに挑戦してもよいと思います。

あまり洋楽を聴かないのであれば、あえて「自分の好きな洋楽ベスト3」を見つけてみる。ユーチューブで少し探せば、すぐつくれます。

今まで洋楽について振られて、「いや、知らなくて」と返事をしていた人も、「最近、聴いたのですが、◎◎というバンドがいいですね」と話せると、それだけで会話ができる人が増えていきますね。

1つはひねったものを入れる

「ベスト3」を出していくと、自分の中の価値判断の基準がわかってきます。

私は以前、ゲストで呼ばれたラジオ番組の企画で「松田聖子さんの曲のベスト10を出してください」と依頼されたことがあります。選んだ曲を番組でかけてくれると言うのです。

これを考えるのは、結構楽しかったですね。「第何位から考えようか、みんなが知っている曲ばかりだと少し意外性がないかな」などと考える時間は、聖子さんの曲に対する自分自身の捉え方を見直すことにもつながりました。結局第1位にはアルバム収録曲の「ハートをRock」を入れました。

ベスト1ではなく、ベスト3まで考えることで、「シングル曲以外のものを入れる」ような、ややひねったチョイスも加えることができます。

たとえば「好きなマンガ家ベスト3」を言うとき、「井上雄彦、尾田栄一郎、つげ義春」と答えると、「えっ、つげ義春?」と、少し面白味が出てきますよね。

誰もが知っているものに一般的ではないものを忍ばせる、というのも、情報提供の一つの技術。コミュニケーションでは「えっ?」と思わせることも必要なのです。

なお、相手におすすめの情報を聞いて紹介されたものは、素直にそれを試してみましょう。映画であれば、サブスクなりレンタルなりで観て、簡単にでも感想を伝えることで、次に相手と会話をする糸口ができます。

聞いておいて観ないというのは失礼ですし、誰かのおすすめを知ることで、自分の情報の幅も広がります。そうして「あの人はなんでもよく知っている」と思われると、会話の接点もまた広がるでしょう。

情報を持つことが求心力になる

なお「この分野なら任せて」という自分ワールドを持っている人は、それが個性につながります。

大学の授業で「4人一組になり、LINEを交換して友だちになろう」という課題を出したことがありました。そのとき、あるグループにラーメンに詳しい学生がいて、みんなでラーメン店に行くという企画を実行したのです。

単にラーメンに詳しいというだけなのですが、それでも、グループ内のまとまりをつくるのに、とても役立っていました。

そのほか、「スライドの作成は任せてほしい」「マンガに詳しい」「Webビジネスは詳しい」など、ある程度の情報を持っていることも、魅力の一つになるし、相手に覚えてもらいやすいでしょう。好きなことについては、とことん掘り下げるのもよいと思います。

説明は15秒CMで

好きなことについて話したり、とっておきの情報を話すときは、どうしてもテンションが高くなって、あれこれ教えたくなります。

ですが、たくさん話す必要はありません。重要なのは、「短く話す」ことです。何かを説明するときも、1分、2分ではなく、15秒CMのつもりで話すのです。

たとえ、それほど面白い話でなくても、それが短ければ、聞く側は何とか耐えられるわけです。しかし1分を超えると飽きてきます。話は短いほうがいいのです。

たとえば最近はじまったテレビドラマの話題であれば、どこが面白かったかを、番宣のように15秒とか30秒程度で軽く紹介すれば十分です。

大事なのは、内容よりも「3つ」ということ

このときのコツは、おすすめポイントを3つ入れること。「なんでもベスト3」に続き、ここでも「3つ」で勝負です。話の中に根拠が3つあれば、相手も納得しやすいのです。

私が勤務する「明治大学」を例に、ちょっとやってみましょう。

「私は明治大学をおすすめします。何がいいかというと、長い伝統があり卒業生がとても多いので、どこに行っても知り合いやOBがいます。NHKの朝ドラ『虎に翼』のモデルになった三淵嘉子さんも卒業しています(根拠1)。また、本の街の神保町が近いので、大学の周りが知的な雰囲気です(根拠2)。そして何しろ学生の元気がいい。『前へ』というスローガンを共有しています(根拠3)。そこが一番です。よろしくお願いいたします」

こんな具合です。うまくつなげずに延びたとしても、1分以内で収めることを目標にしましょう。

おすすめポイントを何にするかは、あまり気にする必要はありません。内容よりも、三つという数にこだわりましょう。そして手短に話す。これを意識してください。


写真/shutterstock

「考えすぎて言葉が出ない」がなくなる(サンマーク出版)

齋藤孝
「考えすぎて言葉が出ない」がなくなる(サンマーク出版)
2024/6/26
1,650円(税込)
256ページ
ISBN:978-4763141187

自然と人間関係が自由自在になる「話し方」の極意

「こんなことを言うと、どう受け取られるだろう」「これを質問したら、引かれるかな?」「こんな話をして、嫌われたかもしれない」「すぐに言葉が返せなかったけれど、ノリの悪い人だと思われているだろうな」「へんなことを言っちゃった気がする——。どうしよう」

人間関係は、考えすぎると疲れますね。すると会話も億劫になります。しかし、多くの「こんなこと言って嫌われたかも……」は、思い過ごしであることも多いです。さらにいえば、思い過ごしで会話が億劫にならないための「コツ」があるのです。

●齋藤孝先生の100%効果がある伝説の講義のエッセンスを書籍化!
本書では、40年にわたって続けられた齋藤孝先生のコミュニケーションの講義のエッセンスを紹介! 学校の先生やプロのアナウンサーになった方も受けられたその内容は、100%効果があるといわれています。上手に人間関係をつくれるようになりたい、コミュニケーションで悩まないようにしたい方のための、仕事や生活、婚活まで、様々なところで活用できる内容です。

【目次より】
第1章 
コミュニケーションの悩みは思い過ごし
ぐいぐいコミュニケーションしてくる人になりたいですか?
なぜ、他人と話すと疲れるの?
ビジネスでも「仕事以外」の話が必要な理由
「話が苦手」は性格の問題ではありません など

第2章 
初対面でも話が続く人、途切れる人
「休日は何をしているんですか?」と聞かれたら、どちらが話が続く?
会話で「知らない」は暴力です
忙しくても人間関係をつくれる「10秒雑談」 など

第3章 
また会いたいと思ってくれる人の「聞く技術」
人間関係をつくるのに「話し上手」である必要はあるか?
面白い話は「会話」ではなく「リアクション」で成り立つ
「すごいインタビュアー」を自分に降ろしてくると、質問がしやすくなる など

第4章 
相手と距離を縮める話し方
「中距離」の人間関係が人生を豊かにする
人間関係が続くかどうかは、勇気のある人がいたかどうか
「次の機会」をつくれる人の情報交換 など

第5章 
広い人間関係をつくる
知り合いは多いほうがいいですか?
最初に声をかけるときは「あいまい」がいい
せっかく会ったのに、人の顔と名前が覚えられない…… など

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