〈総裁選で候補者乱立⁉〉「慎重すぎる石破」「人望なしの茂木」「派閥を抜けない河野」“漁夫の利”で岸田総理再選の可能性も…新リーダーとして推される小林鷹之氏とは?
集英社オンライン / 2024年7月13日 8時0分
小池百合子氏の圧勝に終わった東京都知事選の陰で同日、自民が惨敗を喫したのが、8選挙区で候補者を擁立していた都議補選だ。自民は2議席の獲得にとどまり、党内に衝撃が広がった。「岸田総理のもとで選挙は戦えない」との認識がますます広がり、総裁選は候補者乱立の様相を呈してきた。
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石破氏、茂木氏、河野氏…3者の総裁選への思惑
マスコミ各社の世論調査の「次の首相」ランキングで1位常連の石破氏は、「煮え切らなさ」が際立つ。
「石破氏は7月1日に菅義偉氏、武田良太氏らと会食しましたが、その場で自分から総裁選出馬への協力を求めることはしなかったようです。
石破氏は前回の総裁選前に二階氏と面会したときも、推薦人集めの協力を求めることはせず、二階氏が『石破は何をしに俺に会いにきたんだ』とぼやいたほど。とにかくはっきりしないのです」(全国紙政治部記者)
はっきりしない背景には、石破氏が党内で仲間を失ってきた経緯がある。
「石破氏は麻生政権が低支持率にあえいだときには退陣を求め、安倍政権が森友・加計問題で追及を受けていたときには、安倍氏批判を繰り広げた。その行動は国民から支持されたが、党内からは『背後から矢を射る』と不評を買った。
今回も総裁選への出馬意欲を早々に表に出しすぎて、『岸田政権が苦境のときに、自分が総裁になりたいからと行動している』とみられることを懸念しています。
ですが、同じ党内でも厳しく政権を批判してきたからこその石破氏の国民人気。バランスに苦慮しています」(自民党関係者)
裏金問題をめぐる逆風にあえぐ自民党内からは「衆院選で勝てる総裁を」との声が高まっているため、国民人気の高い石破氏はかつてないチャンスを迎えているが、頼みの綱としたい菅氏は岸田氏から首相の座を奪われて以来、自身も側近議員たちも目立った役職につけず「次こそは絶対に主流派になりたいので、勝てる候補を慎重に見極めている」(菅氏周辺)という状況だ。
一方、首相を支えるはずの幹事長の立場にある茂木敏充氏は「首相になってやりたい仕事がある」と述べるなど、総裁選出馬への意欲を隠さないが…。
「茂木氏はパワハラがひどく人望はない。茂木派の議員も、茂木氏が派閥トップになる前の『平成研』に所属してきたという意識が強く、茂木氏を積極的に支えたいという議員は少ない」(自民党関係者)
河野太郎デジタル相はすでに所属する麻生派トップの麻生太郎副総裁に総裁選出馬の意欲を伝えた。
前回は「小石河連合」を結成し、石破氏や小泉氏の支持を受け、菅氏にも推された河野氏だが、今回は石破氏の出馬が濃厚で、「脱派閥」を掲げる菅氏も派閥を抜けない河野氏と少しずつ距離が生まれているため、戦略の練り直しが必至だ。
野田氏、高市氏 2人の女性首相候補は
2021年の総裁選に出馬した野田聖子氏も、推薦人集めに向けて動き出しているが、順調ではないようだ。
「野田氏本人は近い議員に『今回もまた、推薦人集めをよろしくね!』と頼んでいるが、前回の総裁選で推薦人になった議員に対して、その後なんのフォローもない。今回もまた20人の推薦人を集めようなんて、虫がよすぎるのでは」(野田氏周辺)
前回、数人の推薦人を出した二階派も辛らつだ。ある議員はこう話す。
「推薦人が集まらず困っている野田氏に二階派が手を差し伸べたから総裁選にも出られたのに、その後、岸田政権で非主流派になった二階派への遠慮もなく、自分は喜々として大臣になった。今回は絶対に支えない」(二階派議員)
同じく、前回の総裁選に出馬した高市早苗経済安保相も、苦境に立たされている。
「高市氏の後ろ盾となっていた安倍晋三元首相が亡くなり、高市氏の求心力も一気に低下しました。高市氏も野田氏と同様、『前回推薦人になったのに、その後の恩返しがない』と議員から不評を買っています」(自民党関係者)
若手擁立で刷新アピール?
都知事選では蓮舫氏が惨敗し、石丸氏が2位につけたことを受け、党内では「既存政党への忌避感が明らかになった。新しいリーダーを立てないといけない」(自民党関係者)と小林鷹之前経済安保相を推す声も広がる。
その小林氏とはどんな人物なのか。
「東大卒の元財務官僚という超エリートで旧二階派。当選4回にしてすでに経済安保相を経験していますが、その際二階派は当選回数が多いベテランの入閣待機組を閣僚に推薦したので、いわば岸田氏が非主流派である二階派に『ヒビ』を入れるために小林氏を利用した側面もありました。
小林氏は経済安保政策に明るい麻生派の甘利氏とも近く、麻生氏としては小林氏の擁立で、再び旧二階派にヒビを入れることもできると考えているのでは、とささやかれています」(自民党関係者)
一方、「小林氏は頭脳明晰だが、話してみると面白味に欠け、淡々としている印象。総理になれるような人望があるとは思えない」(全国紙政治部記者)との評もあり、その擁立はあくまで「自民党のイメージをよく見せるために利用されるだけで、本当に総理にしようという動きにはなっていない」(同)という状況だ。
ほかにも、党内の若手・中堅議員からは福田達夫元総務会長、小泉進次郎元環境相らを推す声も上がり、自民党に次世代の政治家が多くいることをアピールしたいという思惑がはたらく。
候補者乱立で、岸田首相が漁夫の利状態となれば再選ということにもなり得るが、果たして。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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