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カリスマ的人気を誇る夫婦コスプレイヤーの夫が心臓の病気を公表しても、「最期までコスプレをしていたい」と語るワケ。背景には一緒に活動する妻と子どもの存在が

集英社オンライン / 2024年8月3日 12時0分

昨年、動員数22万人を超え、世界最大のコスプレイベントとして知られる「世界コスプレサミット」が8月2日より3日間開催。2022年度、2023年度のポスターに掲載されたのが、夫婦コスプレイヤーの「みかんぱっく」だ。2人は名だたるイベントに参加する有名コスプレイヤーで、2023年10月には写真集を上梓するなど、夫婦としての活動が注目されている。そんな「みかんぱっく」の夫・みかんくん氏(@xmikanpapax)が、持病の慢性心不全を公表した。持病公表の意図、今後の活動やコスプレへの思いについて聞いた。

【画像】SNSでは、ジブリの人気キャラにコスプレする様子も

「人生の最期までコスプレをしていたい」

──心臓に持病があるとの公表、率直に驚きました。病気発覚から考えてきたことについてうかがえますか。



みかんくん(以下同)
 私はコスプレイヤーとして活動しながら、平日はIT系の企業で会社員をしています。3〜4年前に会社の健康診断を受けた際に、心臓超音波(心エコー)で異常が発見されました。当時も今も、息苦しいとかだるいという症状がなく、突然のことで戸惑ったほどです。

心機能が落ちると全身に血液を送ることが難しくなり、左室駆縮率(LVEF)という値が下がってきます。ちょうど不整脈なども出てきていたこともあり、カテーテルアブレーション(心臓カテーテル)を行いました。洞結節という部位を焼くことで機能低下を防ぐねらいがあったのです。

ところが洞結節を焼いてもLVEFの低下は止まらず、医師からは「この数値で息切れとか症状は出ないの?」と心配されるほどになってしまいました。結局、さまざまな検査をこれまで行ったのですが、なぜ心機能が低下したのかは不明なんです。

──現在、慢性心不全の自覚症状はないとはいえ、今後が不安になると思います。不安とはどのように折り合いをつけているのでしょうか。

そうですね。医師によると心不全は徐々に進行していくようで、気づかないうちに心臓の「しんどさ」に身体が慣れてきている可能性もあります。もしそうだとすると、いずれ現在のようにはコスプレ活動ができなくなるのではないかとも思います。

また、心臓カテーテルが奏効しなかったので、投薬治療を主体としなければならないのですが、薬には血圧を下げてしまう副作用があるため、もともと低血圧である私にとっては日常生活への支障が大きくつらいです。

ただ、光明がないわけではありません。暗い気持ちになるときもありますが、前向きな発言ができるようになりました。たとえば活動を応援してくれる人のなかには、さまざまな持病を抱えて人生を楽しんでいる人もいます。そうした人たちを勇気づける存在でいられたらと思っているんです。

それに、仮に活動が制限されたとしても、コスプレがまったくできないわけではありません。“宅コス”といって、自宅でコスプレを楽しむ方法もあります。心機能が低下していくなかでも、人生の最期までコスプレをしていたいという気持ちは、むしろ強まっています。

それから、やはり子どもの存在は大きいですね。いつまでも元気なお父さんでいたいなと思えるんです。

妻との出会いは「世界コスプレサミット」だった

──そもそものみかんくんさんのコスプレの原体験はなんだったんですか?

幼いころ、バイブルのように読んでいた漫画がありました。そのなかのキャラクターがとにかく好きで、親に衣装を作ってもらったのが初めてのコスプレ体験です。あのときのうれしい気持ちは今でも鮮明ですね。

最近、アニメ好きの子どもがハマっているのが奇しくも同じ作品で、この前はそのキャラクターのコスプレをしたいと言っていました。子どもがやりたいと思えるキャラに出会えたとき、私たちのこれまでのコスプレイヤーとしての経験が生きるので、感慨深かったですね(笑)。こうして家族でコスプレを楽しめるのもうれしいです。

──手作りの衣装はうれしいですね。比較的幼少期のころから、みかんさんはコスプレには親しんでいたのでしょうか?

アニメはずっと好きだったのですが、コスプレを始めるまでには結構時間がかかりました。学生時代に、アニメに詳しい女子に「あなたにピッタリのキャラクターがいるから、イベントでコスプレしてほしい」と言われたのがきっかけでした。ただ、当時の私は、キャラクターに扮して人前に出るのがどうしても恥ずかしくて、乗り気じゃなかったんです。

けれどもイベントに参加してみると、アニメを介してさまざまな人たちと交流ができるし、どの人もみんな作品やキャラクターを愛していて、居心地のいい空間でした。それからはわりと頻繁にコスプレのイベントに参加するようになりました。

妻と出会ったのも、2015年の「世界コスプレサミット」なんです。イベントのことは当然知っていましたが、私は初参加でした。お互いにSNSはフォローし合っていたのですが、そのときが初対面でした(笑)。

──SNS時代の出会い方ですね! 夫婦コスプレイヤーならではの喜びなどがあれば聞かせてください。

コスプレの醍醐味は、長く続けていると「本物そっくりです」などの反応をいただく機会がたまにあることでしょうか。コスプレするキャラクターには心酔しているので、喜びもひとしおです。そういう交流をさせてもらうことで心が暖かくなりますよね。

夫婦でコスプレをすると、自分だけではなく、最愛の妻がほめてもらっているところに立ち会えるんですよ。お互いが好きなコスプレをして、お互いが称賛されている場面に出会えるのは、やはり励みになりますよね。

また、最近では私たちの活動を見てくれている人たちから「私もコスプレを始めました」「パートナーと一緒に、私もコスプレに挑戦してみました」という報告をいただく機会も増えて、改めてコスプレを楽しむことの原点に立ち帰れます。

今の目標は、夫婦の「好きな作品100」をすべてコスプレすること

──これからのご夫婦にとっての目標、とくに慢性心不全が明らかになってから考えたことなどに絡めて、ご自身の展望などについて教えてください。

妻は他人の立場になっていろいろなことを考えてくれる人で、感受性が豊かなので、検査に引っかかった段階では「ちょっと心臓があんまりよくないかも」くらいの話しかしていませんでした。さすがに慢性心不全の診断をされたときは話をしましたが、あまり悲しませたくない思いもあるんですよね。

なにより私自身が一番、これで終わるとは思っていないんです。私は現在37歳なのですが、やはり加齢とともに見た目も変化していくので、トレーニングジムで有酸素運動をするなど、体型維持に努めています。バランスのよい食生活を心がけていて、お酒もまったく飲みません。病に負けるイメージはまったくないですね。

私たち夫婦は現在、自分たちの「好きな作品100」を紹介するため、2人でコスプレをして写真撮影をしています。現在、その「好きな作品100」の半分にようやく手が届きそうなところまで撮影しました。

現実にはさまざまな困難がこれからもあるのだと思いますが、同時にそれ以上に負けられない理由と目標もあります。そんなとき、自分たちのこれまでの写真をふと見ると、思い出を形に残すことのできるコスプレというものに出会えてよかったなと思うんです。



アニメや漫画に登場するキャラクターを愛し、多くの称賛を集めたコスプレイヤーに突然襲った病魔。全身に血液を行き渡らせる無二の臓器が機能低下に陥るなか、みかんくん氏はコスプレの活動を続ける。

取材の最後、みかんくん氏は「これまでと変わらず力強く前進していきます」と明言した。アニメや漫画の世界観に自らを同化させ、フィクションの魅力を謳歌すること。たとえ病に冒されていても、楽しむことを諦めない。エンターテイメントに傾ける拍動は止まらない。


取材・文/黒島暁生 写真/みかんくん氏提供

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