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〈殺人未遂の元“パパ活女子”に懲役5年〉「乱交パーティの報酬をもらえなかったから…」裁判で明らかになった痴情の数々と伊藤りの被告(29)が語った切実な思い…裁判長が判決の後に付け足した“言葉”とは

集英社オンライン / 2024年7月20日 11時0分

〈獄中手記〉「誰も私を愛してくれない、誰も私に興味がない、死ぬことさえできない…」生活保護、格安風俗、売掛金の保証人、違法売春パーティ…陥った負のスパイラル。元“パパ活女子”が伊藤りの被告が今思うこと〉から続く

昨年5月、神奈川県JR平塚駅で男性Aさん(当時49歳)をナイフで刺して重症を負わせ、殺人未遂などの罪に問われている伊藤りの被告(29)の裁判が6月28日から横浜地方裁判所小田原支部で始まり、7月18日、木山暢郎裁判長は伊藤被告に懲役5年6ヶ月の判決を言い渡した。法廷内に飛び交った“異様な発言”と、裁判長が最後に付け足した一言とは。

〈独占〉伊藤被告が手紙で綴った悲痛な思いと、パパ活時代の伊藤被告の写真

殺意を抱いた理由

6月28日の初公判に現れた伊藤りの被告は犯行当時のふくよかな姿ではなく、少し痩せていた。白い長袖ワイシャツに黒いズボン、ピンクのクロックスを履き、髪はオールバックにして後ろにひとつに束ねた姿で法廷に入ってきた。

罪名は昨年5月のAさんへの殺人未遂と銃砲刀剣類所持等取締法違反、さらに一昨年7月に新宿区歌舞伎町のインターネットカフェに寝泊まりする風俗業の女性の部屋に侵入し3万1000円を窃取した住居侵入窃盗の罪もあった。

これらに伊藤被告は「記憶が薄いですが事実に異論はありません」と答えた。

弁護側は「犯罪の成立に争いはない」としたものの、伊藤被告がAさんを刺した理由について「令和5年2月5日に男性B とともにAさんが主催する乱交パーティに参加し、Aさんやその知人Cと出会い、その数日後に行われたC主催の乱交パーティで8人の男性と性行為をし、報酬としてCがAさんに渡した1万5000円をAさんからもらえなかったことから不信感を抱いた」、さらに「その数日後も被告人の知人女性やBやCらを含む心情のもつれからトラブルに発展し、Aさんを殺さなければ一生自分の身に関わられるのではないかと思い、刺すに至った」と主張していた。

法廷では初日から伊藤被告が風俗業に従事していたことや、それ以外にもインターネットを介し男性客を募って売春しその日暮らしをしていた様子、「乱交パーティ」「複数人と性交渉をする」などの言葉が飛び交った。

さらには伊藤被告とAさんによるLINEのやりとりでは「めちゃくちゃにされたい」「どんなふうに?」「優しくめちゃくちゃに」「それは矛盾」といった赤裸々なメッセージが読み上げられ、ラブラブなやり取りをしていた関係が急変し事件に至ったことに、裁判員たちも戸惑いの表情を隠せない様子だった。 

被害者が語るトラウマの現状

裁判2日目の証人尋問は遮蔽版が立てられた状態でAさんが出廷、被告人とは初めて会ったその日に男性Bから「被告人を抱いてくれないかと言われたので軽く抱きました」と証言をした。そして何度も「被告人から仲よくしようとしてきた」ことを主張。

その後の1万5000円の受け渡しについては「被告人からお金のことを聞かれたが『言う必要がない』と答えた」と説明。

「僕が好き好き言ったわけではなく、被告人の方から好き好きすり寄ってきた」と繰り返した。また「たった2回しか会ってないのに、なぜ変な恨みを買われなければいけないんだと思う。絶対に許さない」と怒りをあらわにした。

Aさんが刺された傷は肋骨骨折と肝損傷など全治3ヶ月もの重傷で、2週間ほど入院。帰宅し浴室で自分の体を見たときのことを振り返り「ひでぇ体だなって思いました…ううっ」と嗚咽した。

事件直後は「痛くて痛み止めがないと眠れなかった」、そして「今でも被告人みたいに太った人を見るとドキドキする。駅が見えるとフラッシュバックしてドキドキして吐き気がする。電車には乗れない。駅には近づかない。(略)被告人みたいに太った女性に襲われ羽交締めにされる夢をみる」と苦しい心境を吐露した。

これらの証言に対し伊藤被告は「人を刺すということは本当によくなかった」「傷痕を見たら想像以上だったので申し訳なかった」としながらも「どこでどうしたらこういう結果にならなかったのかが、まだわかってない」と言うと涙声になった。

「集英社オンライン」では#1#2(それぞれリンク)において伊藤被告との手紙のやりとりや、本人が語った凄まじい“半生”を公開しているが、手紙にはこのような記述もあった。

《私は、取り調べ、精神鑑定でも、一貫して「ほっておくと何されるかわからない程 意味不明で怖いから、刺した」と主張してきました。殺意については、「殺しでもしない限り縁が切れないのではないかと思った」と言った覚えがあります。》

裁判長が加害者へ最後にかけた言葉とは

証人尋問には伊藤被告の精神鑑定をした精神科医も出廷。#2の手記で本人が記述しているとおり、伊藤被告は20歳の頃に発達障害の診断を受けている。

精神科医は「知的障害者のIQの基準である70より少し高い85だった。一見、障害があるように思われないが、その他の数値が低く学業や仕事でもミスを繰り返したのだろう」とも話している。

7月18日に行われた判決で裁判長は、これらの伊藤被告の特性や被告をめぐる環境などさまざまな証言を鑑みて、被告人供述を採用。

理由については、被告人が最初にAさんに不信感を抱くきっかけとなった1万5000円について、被告人がAさんに尋ねた際に「言う必要はない」と突き放したことは「不自然だ」とし、犯行当日に被告人がAさんを刺そうかどうか逡巡しているときに(Aさんはこの発言をしたことを否定しているが)「刺すなら刺せよ」と挑発していたなどと述べた。

とはいえ、2回しか会ってない相手に強い殺意を抱き刺したことは「極めて衝動的、短絡的」だとし、「その偏った性格が今回は事件に繋がってしまったが、別の良い何かに繋がれば、いい個性として発揮できる。

自分の個性にとことん向き合い、把握して出てきてほしい。福祉などには躊躇なく頼ること。人の縁に恵まれればいいと裁判所一同で願います」と言葉を添えた。

裁判を傍聴していた小田原在住の60代男性は「女性の不遇な状況とAさんの出来心が相まって起きちゃった事件なんでしょうかねえ」と感想を述べ、取材にあたっていた司法記者は「ちょっと加害者、被害者どちらにも共感しづらい裁判でしたね」とコメントした。

取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班

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