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〈令和「学校のプール」事情〉「炎天下のプールサイドを罰走させて火傷」「都内近郊では洗眼器や腰洗い槽が消滅」その理由を教育委員会に聞いてみた 

集英社オンライン / 2024年7月28日 11時0分

<プールの授業「日焼け止め使用禁止」で論争>「肌が弱い子がかわいそう」「使うとプールの水が汚れる」「先生は更衣室でこっそり塗っていた」教育委員会は「校長の判断に委ねてる」と話すが…〉から続く

過去に学校のプールで使用されていた「洗眼器」や「腰洗い槽」などは現在、多くの学校で廃止されている。また、最近は水着も多様化しており、ゴーグルやラッシュガードの着用を許可する学校も増えてきているとのことだ。#1の日焼け止め事情に続き、教育委員会に取材を行い、その実態を調査してみた。また、小学生の保護者を対象に街頭アンケートを行い、リアルな声を聞いてみた。「令和のプール事情」にまだまだ迫る。

プールの授業でおなじみだった「洗眼器」や「腰洗い槽」が多くの学校で無くなったワケとは?

「洗眼器」や「腰洗い槽」が廃止になった理由は?

プールサイドに目を洗うための蛇口として設置されていた「洗眼器」や、身体を消毒するために高濃度の塩素が入った水が張られた「腰洗い槽」。これらは現在、多くの学校で廃止されているとのことだ。一体、なぜ廃止されることになったのだろうか?

これら「令和のプール事情」に迫るべく、まずは都内某区の教育委員会の担当者に聞いてみた。

「昔のようにプールの前に腰洗い槽に入ることはないですが、今でもシャワーで身体を洗い流してからプールに入ることになっています。腰洗い槽がなくなった理由は、シャワーで身体を洗えば衛生的に問題ないといわれているからです。 

また、昔と違ってプール後に洗眼器で目を洗うことも推奨していません。理由は目を洗うことで、傷がついてしまう可能性があるからです」 

また、最近はプールの授業が「暑すぎて中止」になる日もあると話題になっている。これについて同区の担当者は、学校のプールでの熱中症対策をこう語る。

 「各学校に常備されている機械で暑さ指数(WBGT)が31以上になった場合は、学校での運動を禁止するきまりになっています。その際は、プールの授業や屋外での体育の授業だけでなく、休み時間の外遊びや屋外でのクラブ活動等も禁止になります」 (前出)

別の区の担当者は洗眼器についてこう語った。

「洗眼器の使用については、教育委員会から禁止はしていません。ただ、東京都が作成している『水泳指導の手引き』を通じて『必ずしも使用しなければいけないものではない』ということを周知しています。

洗眼器の水圧が強すぎると目に悪影響が出る場合もあるため、使用については適切に対応する必要があります。たとえば、プールの授業の際に『目が痛い』というお子さんがいた場合は、洗眼器で塩素を洗い流す対応も考えられます。

 また、腰洗い槽は衛生面で効果がないことが判明したため、今は基本的にどこの学校でも使用されていません。

ゴーグルやラッシュガード、プールサイドでのビーチサンダルなどの使用について、規定は定められていませんが、学校の実態に合わせて、着用や使用の仕方を工夫して安全管理を図るようお伝えしています」

炎天下でプールサイドを裸足で走らされヤケド

都内の教育委員会への取材を通して、「令和のプール事情」は学校や子どもの実態に合わせて多様化してきていることがわかった。

そんな中、熊本県人吉市の中学校で生徒たちが炎天下のプールサイドを裸足で走らされ、一部の生徒が足の裏をヤケドしたことが判明し、現在話題になっている。

人吉市教育委員会によると、今月19日、水泳の授業に一部の生徒が遅れたことから、20代の体育教諭が連帯責任として見学を含む同じクラスの生徒26人全員にプールサイドを走らせたとのことだ。

ネット上では、この対応について「時代遅れのスパルタ教育だ!」「アップデートがまったくされてない」などと批判が相次いでいる。

本件について、熊本県人吉市教育委員会の担当者はこう語る。

「その学校では、通常の準備運動として、ふだんから裸足でプールの周りを2周走らせていたとのことです。今回、授業に遅れた生徒がいたため、5周に増やしたところ、ヤケドによる水ぶくれや痛みを発症した生徒がいたと報告を受けています。いまだに痛みが残っていたり、軟膏を塗って生活していたりする生徒もいるとのことです。

暑い日はヤケド防止のために、通常はプールサイドではビーチサンダルを履かせたり、授業の前に水を撒いたりするなどの対応が取られています。また、基本的には、安全のためにプールサイドは走らないように指導しています。

県が出しているガイドラインに細かいルールは明記されていないため、年度ごとに各学校の職員会議でプールに関するルールが決められます。そのため、学校によって若干ルールに違いがあります」(熊本県人吉市教育委員会・担当者)

保護者に聞いたリアルな「令和のプール事情」 

各都道府県の教育委員会では、プールの授業について大まかなガイドラインは定められているものの、細かいルールに関しては、学校独自の判断に委ねられているケースが多いことがわかった。

そこで♯1同様に、タワーマンションが立ち並ぶ二子玉川駅周辺で、小学生の子を持つ保護者を対象に街頭アンケートを行い、学校の実態を聞いてみた。まずは、洗眼器の設置・利用についてだ。

●40代専業主婦・小2男子の母親

そもそも、学校のプールに洗眼器が設置されていないみたいです。プールの授業がある日は、水着と一緒にゴーグルを持って行くのがきまりになっています。ゴーグルで目を保護しているから、目を洗う必要はないと思います。私が小さい頃はゴーグルも禁止されていましたが随分変わりました。

●30代パート・小2男子の母親

うちの子の学校には、今でもプールサイドに洗眼器があるみたいです。校舎が古いからかもしれないですね。息子は『先生に目を洗っちゃダメって言われてないから、いつもプールのあとは友だちと一緒に目を洗っている』と言っていました。目を洗うことは強制も禁止もされておらず、洗いたい子だけ洗っているみたいです。

●40代自営業・小6女子の母親

娘からは学校のプールのときに目を洗っていると聞いたことがないので、洗眼器はないんだと思います。最近はコンタクトレンズをつけている小学生もいるし、目を洗う必要はないと思います。

次に、身体を消毒するための腰洗い槽についても聞いてみた。

●40代専業主婦・小4女子の母親

プールの前後にシャワーを浴びることはありますが、腰洗い槽に入ることはないそうです。うちの子は腰洗い槽の存在自体、知らないと思います。そもそも学校に設置されていないんじゃないかなぁと思います。 

●30代専業主婦・小4女子の母親

私が子どものときはありましたが、アトピーで入れない子がクラスに2〜3人いました。腰洗い槽がなくなったのは、そういった子への配慮だと思います。子どもの肌は敏感なので、腰洗い槽に入ったらアトピーでなくても肌荒れしてしまいそうですよね。

最後に、プールの授業で暑さ対策がどのように行われているのだろうか。

●40代専業主婦・小5男子の母親

今年はプールが中止になることが2回ほどありましたが、それは学校側が水温を測って判断していると思います。何度からがダメだとか、具体的な数値は言われていません。

●40代専業主婦・小4女子の母親

うちの子が通っている学校は、屋内プールなのでラッシュガードを着ている子も日焼け止めを塗っている子もいません。中止になることもほぼないと思います。

●40代専業主婦・小4男子の母親

ラッシュガードは着ても大丈夫みたいですけど、うちの子には着せてないです。『32度超えたらプールに入らせてもらえない』と息子は言っていました。

*************

昭和から平成、令和と時代が移り変わり、利用上のルールも変化してきた小学校のプール事情。児童の健康・安全を第一に、今後も柔軟な対応を期待したい。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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