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〈菊川・孫が祖父母と叔母を殺害した容疑で指名手配〉「サツマイモを夫婦で手入れしているのが日課だった」「娘は5年前に離婚、孫の話は聞いたことがない」執拗な切り傷、一家になにが…

集英社オンライン / 2024年7月29日 21時26分

静岡県菊川市本所の民家で7月28日午後2時半ごろ、この家に住む渋谷昭一さん(87)と妻の育子さん(81)、次女の留美子さん(52)が血を流して倒れているのが見つかり、3人とも搬送先の病院で死亡が確認された。現場には刃物が落ちており、県警は27歳の孫が3人を切りつけて逃走した殺人事件とみて男の行方を追っている。

〈画像〉職人気質で熱心な共産党員だった祖父の昭一さんと、全国に指名手配されている孫の宏一容疑者

 

祖父は工務店で大工をやっていた

渋谷さん方は長女を加えた4人家族で、事件当時不在にしていた長女が留美子さんから連絡を受け、「自宅で男が暴れている」と菊川署に通報した。男は孫の片山宏一容疑者(27)。宏一容疑者は、この日の昼ごろ渋谷さん宅を訪れて3人に襲いかかったとみられる。



「遺体には複数の切り傷があり、よほどの恨みがあったと思われる。現場には凶器とおもわれる刃物も見つかっている」(社会部記者)

現場は東名高速道路菊川インターチェンジにほど近い、古い民家と新しい住宅が混在するのどかな住宅街の一角。渋谷さんは今は引退しているが、親の代から大工として地元でも知られた存在だった。近くに住む女性は渋谷さん一家についてこう語った。

「昭一さんももう80歳を超えているので引退していますが、お父さんの代から工務店を営んでおられたお宅ですよ。今月の20日に地元のお祭りの準備があって、昭一さんともそこでお会いしましたけど、特に変わった様子もなく普段通りでしたよ。

奥さんの育子さんと最後に顔を合わせたのは26日でしたね。公民館で年配の方たちが集まるサロンがあり、育子さんが『一緒に行きましょうよ』と声をかけてくれたんです。事件当日は私は外出していましたし、ご夫婦とも家庭内のことを話すような方達ではなかったので何があったのかはわかりません」

逃亡している宏一容疑者についてはこう語った。

「お孫さんというのは、長女の方に20代くらいの息子さんが2人いるので、そのどちらかだと思います。もともと長女は結婚して静岡県内の別の町に住んでいたのですが、5年ほど前に離婚して実家に戻ってきました。その時点で息子さん2人はもう独立していたので、同居はしていませんでした。だから姿を見かけたことがないんですよ」

 渋谷さん方では庭先にサツマイモを植えていて、昭一さんと育子さん夫妻が手入れをする姿は、近所の人たちにもお馴染みの光景だった。近くに住む男性(75)は、やはり祭りの準備をしていた20日に昭一さんと最後に顔を合わせたという。

「お祭りでお地蔵さんをお参りするので、その周辺の草刈りなどをやっていただきました。昭一さんは普通の真面目な人ですよ。工務店で大工をやっていて、今はもう家を一軒建てるまではやっていないと思いますが、ちょっとした家の補修ぐらいならばやるという感じでした。

半分は引退してるような状態だと思いますが、今でも軽トラに材料を積んで走っているのをよく見かけました、恨まれるような人ではありませんでしたよ」

「留美子さんは海の近くの介護施設で働いていました」

職人気質の昭一さんは、共産党員としても熱心だったという。かつて一緒に活動していたという女性はこう振り返った。

「昭ちゃんは職人気質というかとにかく頑固で、真面目な方でした。タバコも吸わないし酒も飲まない堅物という感じですね。昭ちゃんが共産党員として活動を始めたのはもう50年以上前のことだと思いますが、とにかく自分の意見を曲げない。

こうだと決めたら押し通すので、他の意見の方と衝突することは多々ありましたよ。ただ、怒鳴るとかそんな感じではなく意見を曲げないって感じで、あくまで大人の話し合いですよ。

だから昔に家を建てた人のところでも、昭ちゃんからしても依頼者なわけですが、それでも意見を曲げずケンカになったこともあったそうです」

頑固な職人気質。しかし盆栽が趣味で、人の良さにも定評があった。女性は事件の前日にも昭一さんと顔を合わせたという。

「事件の前日、新聞を昭ちゃんの家に届けに行く用事があったのですが、朝5時30分にポストに入れようとしたらたまたま昭ちゃんがいました。『おはよー』と声をかけ合って、変わった様子はまったくありませんでした」

育子さんの方は物静かで、料理が趣味だったという。女性が続ける。

「育ちゃんは料理が上手で牡丹餅を作って持ってきてくれたり、それこそ事件の数日前には自宅の敷地でやっている家庭菜園で穫れたとモロヘイヤとゴーヤを届けにきてくれました。

これまで家庭の悩みなどは聞いたことはありませんが、5年ほど前に『長女が旦那と離婚してしまった』と涙声で電話をしてきたことはありますが、それ以外は何かあったというような話は聞いたことありません。

亡くなった留美子さんの方は、海の近くの介護施設で働いていました。ただ、私らくらいの年齢になるとみんな孫自慢ってするんだけど昭ちゃんと育ちゃんからは一度も孫の話は聞いたことがないですね。とはいえ家庭内で何かトラブルがあるようにも見えませんでしたが…」

一家に何があったのか。7月29日、静岡県警は片山宏一容疑者について公開捜査に踏み切り、全国に指名手配した。

 ※「集英社オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。

メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

X(Twitter)
@shuon_news  

取材・文/集英社オンラインニュース班

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