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〈元自衛官の孫が祖父母ら3人を刺殺〉“2世帯住宅”を巡って家同士がトラブル「爺さんが建てた家が家族をバラバラにした」と逆恨みか?ベランダでタバコをポイ捨て、ご近所トラブルも…

集英社オンライン / 2024年8月1日 15時52分

〈菊川・元自衛官の孫が祖父母と叔母を刺殺〉指名手配され確保された無職の孫は「おとなしいタイプ」離婚した両親は歯科医療関係者、父はすでに他界〉から続く

静岡県菊川市の民家で元大工の渋谷昭一さん(87)ら一家3人が刃物で刺されて殺された事件。片山宏一容疑者(27)は殺人容疑で指名手配後に鳥取市内で確保された。腹を自傷し入院中の元自衛官は、なぜ祖父母や叔母に凶刃を振るったのか。関係者への取材でその遠因が浮かび上がってきた。

〈画像〉「一番の宝物は…金」と書いた片山容疑者の卒業文集、家を建てた後トラブルになっていた、職人気質で熱心な共産党員だった祖父の昭一さん

「あの家を建てるまでは渋谷家と片山家の関係も良好だったんだ」

片山容疑者は歯科技工士の父と、亡くなった渋谷昭一さんの長女である母、兄の4人家族で菊川市の西隣の掛川市内で育った。♯2でも報じたように、木造3階建ての住宅は大工だった昭一さんが長女一家のために建てたものだが、実はこれが渋谷家と片山家を分かつ原因になっていたことが親戚の証言でわかった。

二世帯住宅の利便性を考慮して設置したエレベーターに不具合があり、補償問題にまで発展。同居していた義父母と折り合いが悪くなった長女は片山容疑者を連れて離婚、父と兄と離れ離れに暮らすことになったという。

「あの家を建てるまでは渋谷家と片山家の関係も良好だったんだけどな……」

昭一さんの遠戚にあたり、交流の深かった男性はため息まじりに両家の確執を語り始めた。

「もともと昭ちゃんの長女の娘が片山家に嫁いで行ったんだけど、家には舅と姑もいた。その片山の家が区画整理の関係で新しく建て直すっていうんで建てたのが今の3階建の家だ。長女の嫁ぎ先ってこともあって、まぁお金的にも昭ちゃんは引き受けたんだと思う。

それで家を建ててから何年か経ってから、欠陥が見つかったんだ。3階建てにした関係で取り付けたエレベーターに不具合があったんだな。片山家は昭ちゃんに対して補償を請求してそこでゴタゴタになった。

お金の面でどう解決したのかまでは聞いてないけど、片山家と昭ちゃんが揉め始めてから、一番辛い思いしてるのは長女だったんじゃないかな」

「片山宏一は渋谷家に引き取られ、兄は片山家に残るってことだった」 

登記簿情報によると、3階建ての2世帯住宅が建てられたのは約21年前。義父母と実父の板挟みで長女たる片山容疑者の母親が苦しんだことは想像に難くない。

「舅、姑との関係が、そのうちに悪くなっていったんだろうな。昭ちゃんが『娘が可哀想だ、早く帰ってきた方がいい』なんて数年前に言っていた。離婚の理由は夫の病気での生活苦じゃないかって? そうじゃねえよ。建てた家の不具合に起因して始まった片山家と昭ちゃんのゴタゴタに巻きこまれたんだ。

それで結局離婚することになるんだけど、俺が聞いた話では今回事件を起こした片山宏一は渋谷家に引き取られ、宏一の兄は片山家に残るってことだった。でも、報道を見ると『片山』のままだから姓は変えてなかったんだな」

そして遠戚は、「ここからは推測だけどな」としながら、事件の動機につながる片山容疑者と「渋谷家」の埋め難い溝について、こう語ってくれた。

「そういうゴタゴタがあったから、もし宏一が菊川の家に戻ってきたとしても、今回の事件のあった昭ちゃんの家には住ませなかったような気がするんだ。あの家の敷地内には古い母屋みたいのが残ってて、そこに『1人で住め』みたいなことがあったんじゃねえかなって。

それで、その爺さんが建てた家のせいで家族がバラバラになったみたいなことを思ってたとしたら、不思議ではないなってな。だから今回の事件を聞いて、ふとエレベーターの不具合のことを思いだしたんだ」

 可愛い娘とその家族のために職人として腕をふるったことが仇になったとしたら、こんなに悲しいことはない。しかし孫としてそのとばっちりを受けたとしたら、宏一容疑者と兄が鬱屈とした思いを抱えたとしても不思議ではない。片山兄弟と同世代の息子を持つ女性が、取材にこう語った。

「ウチも子供が男の子だったから片山君は小さい頃にお兄ちゃんと一緒に何度か遊びにきてましたよ。ウチではゲームしたりしてみんなで仲良く遊んでいましたね。私は小さい頃しか直接は知らないけど、ちょっと感情の起伏が激しいという印象はありました。

何かで目立つという感じでもないし、ものすごい明るいとかではないのですが、活発ではあって運動も勉強も普通よりちょっとできる、そんな印象の子でした。中学を卒業してからは県内の高校に進学したことは知っていますが、その後のことはわからないです」

「不動産屋が『売れない』と嘆いていたのを覚えています」

近くの商店主によると、片山兄弟は自宅でタバコの吸い殻を外に投げ捨てるようなマナーの悪さが目立ったという。

「何年か前にお父さんが亡くなってからは息子さんたちを見かけることはなくなりましたが、それまではたまに自宅を出入りするところを見かけたりもしました。兄弟が2階か3階のベランダの窓からタバコを吸っているのもよく見かけました。

その窓に隣接する月極駐車場にタバコの吸い殻が捨てられていて問題になったことがありました。お父さんは話すと気さくな方でしたが、あの家族自体があまり近所付き合いをする方ではありませんでしたね。

お父さんが亡くなってからは、あの一軒家を売るだかなんだかで弁護士やら不動産屋が出入りしましたが、不動産屋が『売れない』と嘆いていたのを覚えています」

主人を失った空き家からは「いわく付き」の匂いが漂っているのかもしれない。しかし孫の凶刃に倒れた昭一さんは、間違いなく腕のいい大工であり、人情味に溢れた職人だった。前出の遠戚はこう肩を落とした。

「昭ちゃんと最後に会ったのは今年の初め頃だったな。誤解がないように言っておくけど、昭ちゃんはすごくいい人だ。大工としての腕もいいし、俺が住んでるこの家も昭ちゃんに建ててもらったんだ。

年賀状だって毎年マメに送ってきてくれた。でも、そういうゴタゴタがあって孫に何か影響があった可能性もあるんじゃねえかって思ってる。葬儀のことについては何も聞いてないんだ。ほんとは昭ちゃん家に尋ねて行って状況を知りたいんだけど、でもなぁ……。今はちょっとそれはできねえや」

 ※「集英社オンライン」では、今回の事件について、情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(Twitter)まで情報をお寄せ下さい。

メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

X(Twitter)
@shuon_news 

取材・文/集英社オンラインニュース班

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