「お母さんとご飯でちゅかー?」アラフォー男性が婚活で出会った“失礼女”たち…低年収・実家暮らしのシビアすぎる婚活事情
集英社オンライン / 2024年8月11日 17時0分
経済的な事情や将来への不安、親の介護問題など、さまざまな理由で結婚したくてもできない人が増えている。日本の婚活事情において「低年収」や「実家暮らし」は苦戦を強いられることが多く、ときにはひどい扱いを受けてしまうことすらある。
【画像】アラフォー・年収300万円台・実家暮らしながら40歳で結婚したヨシオさんの現在
アラフォー・年収300万円台・実家暮らし男性の婚活事情
近年、「結婚したくてもできない人が増えている」という話をよく耳にする。
内閣府管轄の男女共同参画局が公表している『男女共同参画白書』の令和4年版によると、結婚について「現在、予定はないが是非したい」「現在、予定はないができればしたい」と答えた男性の割合は、20代で合わせて49.9%、30代で44.1%。
一方、同白書では「積極的に結婚したいと思わない理由」も調査しており、「結婚生活を送る経済力がない、仕事が不安定だから」と答えた男性は、20~39歳で36.0%、40~69歳では40.9%にものぼっている。
また、女性側のデータを見ても、国立社会保障・人口問題研究所が23年8月に公表した「第16回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」によると、女性が結婚相手の条件として経済力を「重視する」と答えた割合は91.6%。
こうした統計を見ても、結婚において“経済力”が重要な要素であることは、はっきりと示されている。
「実際に婚活してみて、年収が大きなハードルになることを身にしみて感じました」
そう振り返るのは、低年収、実家暮らしのもと、4年間の婚活の末に40歳で結婚した会社員・ヨシオ(@yoshiokonkatsu)さんだ。現在では妻と子ども1人の家庭を築き、自らの婚活経験をもとに結婚相談所を運営している。
静岡県出身のヨシオさんは、国立大学の理系大学院卒という高学歴でありながら、就職氷河期の影響で思うような会社に入社することができなかった。それでも大学卒業後は名古屋で一人暮らしを続け、一時はフリーターも経験。35歳の頃に転職し、勤務先の職場に近かったことから実家に戻る決断をした。
婚活をスタートさせたのは、転職から1年ほど経った36歳の頃。だが、ここで待ち受けていたのは、「アラフォー」「低年収」「実家暮らし」が直面するシビアな現実だった。
年収が低いと結婚相談所の登録すらできず
「最初の1年半ほどは婚活パーティーに通っていたのですが、うまくいかなかったので結婚相談所に登録することにしました。当時の年収は350万円ほどでしたが、とある大手結婚相談所へ面談に行った際、年収欄を見られた瞬間に時が止まったのを覚えています。
職員からの第一印象はよく、話し始めてもニコニコして、私の学歴欄を見ても『努力されたんですね!』と笑顔で褒めてもらったんですが、いざ年収の話になると……。歓迎ムードもしぼんで、やんわりとお断りを受けました。この年収ではなかなかお見合いが組めず、満足いく活動もできそうにないので、入会金や会費ばかりもらうことになって申し訳ないからと入会をお断りされてしまったのです」(ヨシオさん、以下同)
この厳しい仕打ちには、結婚相談所に登録する男性が“高年収”であることも影響している。ヨシオさんによると、相談所を利用する男性は年収が高い傾向にあり、年収550万円でも普通ランクの部類なのだという。東京はそれが特に顕著で“1000万プレイヤー”も珍しくなく、地方では中央値の年収でも「入会は普通に断られる」という。
その後に登録することができた別の相談所では、月に30件のお見合いを申し込み、成立するのは1~2件。運良くお見合いが成立しても、女性から “塩対応”を食らうことが日常茶飯事だった。
「地方では自動車は欠かせませんが、当然、年収が低いと高い車は買えません。私は国産のコンパクトカーに乗っているのですが、これが婚活女性からは大不評だったんです。ある婚活パーティーでは、車種を聞かれ、私はコンパクトカー、もう1人の男性が高級ミニバンのヴォクシーに乗っていると回答したところ、私を無視してその男性とだけ会話をする女性がいました。
また、他の女性と公園で花見デートをした際にも、私のコンパクトカーを見て『どこのメーカーかよくわからないですね(笑)』と嫌味っぽく笑われました。その女性はその後、私から距離をとるように早歩きで前を行き、デート後には案の定フってきました」
こうした “失礼女”たちと、ヨシオさんはその後も次々に遭遇していく。ときには、年収だけでなく“実家暮らし”があだになることもあった。
実家暮らしなだけでマザコン扱い「お母さんとご飯でちゅかー?」
「あるパーティーでマッチングした2人の女性に自分の画像を送るとき、間違えて母の背中が写り込んだ画像を送ってしまいました。これは、たまたま母と食事に行ったときに撮ったのですが、女性からは『お母さんとご飯でちゅかー? 良かったでちゅねー』というメッセージが来て、その後ブロックされました。もう1人の女性も、デートの約束をしていたのですが、前日に『会うのキャンセルで! もう頭の中がメチャクチャで!』と言われてしまい、音信不通になりました。
ちなみに『ご飯でちゅかー?』の女性とは、後に別のパーティーで奇跡的(?)に再会しています。こちらがあいさつしても『え? お会いしたことありましたっけ?』などとシラを切っていましたね」
当時のヨシオさんが実家に住んでいたのは、転職に伴い、実家から通勤するほうが効率的だったためだ。それ以前は15年以上のひとり暮らしもしており、決して親のすねをかじっていたわけではない。それでも、 “実家暮らし”というだけで女性たちから一気に敬遠されてしまうようだ。
ここからさらに1年ほど経った頃、ヨシオさんは婚活アプリにも登録。業者ばかりで退会を考えていた頃に現在の妻と出会い、40歳でゴールインを果たした。失礼な女性たちとの出会いも経験値として活きたことで、妻との縁に結びついたのだという。
「結婚できたのは、交際経験を積んでから妻と出会えたことが大きいです。それまでは年収や実家暮らしなどを理由に嫌な思いもたくさんしましたが、それでも自分と向き合ってくれる方と交際していくうちに、会話や気遣い、デートプランなどで成長できました。もうひとつは、やはり相性のよさでしょうか。
妻は無理してかっこつける男性よりも、不器用で弱いところがあっても打ち明けるような、信頼できる男性を探していました。私もかっこつけず『勉強は頑張ったけど大した人間ではない』『結婚生活も、平凡でもいいから日々の小さな幸せを一緒に感じて生きていきたい』などと正直に話したのですが、これが好感を得たようです。やはり交際経験を積むと成長しますし、その中で相性のいい異性と出会えれば、結婚までたどり着く可能性は高くなると思います」
条件によってはとくに男性は厳しい戦いを強いられる婚活市場だが、辛い経験をするのは日常の恋愛も同じ。人と出会って成長していくことで、自分にとっての本当の幸せをつかみ取れるはずだ。
取材・文/集英社オンライン編集部
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