定年後、一番しんどい思いするのは団塊ジュニア世代⁉︎ 2040年に日本で1100万人の人材供給不足予測でも、シニアの生存競争は激化する
集英社オンライン / 2024年8月20日 8時0分
〈〈定年4.0時代到来〉中高年が知るべき労働市場の4つの変化…「人材不足の分野の仕事しか高齢者には選択肢がない」現状に抗う術はあるのか?〉から続く
昨今の少子高齢化、人手不足を背景に定年退職の年齢を引き上げる企業が増加し、シニアに頼らざるを得なくなっている日本。しかし、実際の求人では働ける職種は限られており、中高年が直面するリアルな課題になりつつあるが、いったい何が起きているのか。
『中高年リスキリング これからも必要とされる働き方を手にいれる』(朝日新書)より、一部抜粋・再構成してお届けする。
少子高齢化と人材不足
2023年12月にマンパワーグループが発表した「2024 Global Talent Shortage」によると、世界的に人材不足が広がっています。日本の組織の85%が人材不足で、この割合は調査した国の中で1番高く、世界平均の75%と比較してもより大きく顕在化している課題だと言えます。
ここからは、この人材不足と中高年の雇用の関係について見ていきます。
リクルートワークス研究所が2023年3月に発表したレポート「未来予測2040労働供給制約社会がやってくる」でも、2040年に日本では1100万人の人材供給不足になると指摘されています。
この情報だけを見ると、AIやロボットの進化によって仕事が自動化され、失業してしまうという心配はしなくてもよいのではないかという気もしてきます。
究極の売り手市場で、前途有望な若者であれば、誰でも働きたい人は働ける、そんな安心で薔薇色(?)の未来が待っているというシナリオもあるのかもしれません。
しかし、シニア世代がそうした未来を実現するためには、自らも変化していく必要があり、そのために欠かせないのがリスキリングであるというのが、これからお伝えしていきたいことです。
60代、70代の求人情報のリアル
リクルートワークス研究所の研究員、坂本貴志さんのベストセラーとなった著書『ほんとうの定年後「小さな仕事」が日本社会を救う』(講談社現代新書)では、データを元に定年後の実態について紹介されています。
私自身、「老後資金2000万円問題」という報道に接して以来、本当に不安でしたが、この本を読んで、給与は下がってしまうものの、実は高齢者向けの仕事そのものはある、という事実を知り少し安心したことを記憶しています。
ただ実際に、現在の一般的な求人を検索してみると、60代、70代の方々に求められている年齢不問の求人案件は、社会インフラの維持を担う、いわゆるエッセンシャルワークが圧倒的に多いのが特徴です。介護、清掃、警備、建築、調理、販売・接客等の職種は、多少の地域差があるものの、全国的に多くの求人情報が掲載されています。
一方で、こうした職種で働くための必須条件は、体力があることです。机に向かって椅子に座っている仕事ではなく、一日中立ち続け、ときに重たいものを運び、下半身に負担のかかる仕事は、慣れていない人には体力的にとても厳しい仕事です。
一般的に、加齢とともに体力が低下している60代、70代に求められているのが体力を必要とする仕事というのは、本当に厳しい環境がこれから待ち受けていると言わざるを得ません。そのためにも、自分の健康年齢を維持するための努力をしておく必要があります。
団塊ジュニア世代の定年後に起きる、新たな雇用獲得競争
団塊ジュニア世代とは、昭和46(1971)年〜昭和49(1974)年の第二次ベビーブームに生まれた世代を指します。特に、昭和48(1973)年の出生数は約209万人と、人口ピラミッド(世代別人口)の中で最も人数が多い世代です。
実は、私がまさに1971年生まれの団塊ジュニア世代の52歳(2024年現在)です。熾烈な受験戦争、バブル崩壊後の就職氷河期の第一世代でもあります。生まれてからいつの時代も常に競争を強いられてきたのではないかと思います。
そして、このボリュームゾーンである団塊ジュニア世代が、これから役職定年や定年を迎えていきます。この人口分布はしばらく変化がないものとすると、定年後でさえ限られた雇用機会を獲得するための熾烈な競争が待っているのではないかと考えています。
もちろん、年齢性別に全く関係なく、スキルレベルに応じて平等に採用されるような世の中が今後実現できていれば、少しは楽観的な将来を描けるのかもしれませんが、年代別に用意されているポジションが従来と変わらないままであれば、おそらく私たちの世代は人数が多いがために、定年後も仕事に就くための生存競争にさらされるのだろうなと覚悟しています。
文/後藤宗明 写真/Shutterstock
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