【BTSのJIN効果も】韓国の若い女性にテニスが爆発的人気の理由「カワイイ」「テニススクールはおしゃれなバーやカフェみたい」「ファッションも楽しめる」一方日本は……
集英社オンライン / 2024年8月23日 16時0分
60年代のミッチーブーム、70年代の『エースをねらえ!』、そして2000年初頭の『テニスの王子様』など、日本では何度かテニスブームが起きた。また、錦織圭、大坂なおみなどトッププロが国際大会で成績を残せばニュースにもなる。だが、年々競技人口は減っており人気スポーツとは言いがたい。対照的に韓国ではいまテニスが盛り上がっているという。その理由とは?
「ミッチーブーム」と『エースをねらえ!』
「テニス」と聞いて何を連想するだろうか? 日本においては世代によって抱くイメージに大きな違いがあるスポーツだろう。
「ミッチーブーム」「テニスコートの恋」などのフレーズがパッと思いついた人は、昭和の高度経済成長期のどまんなか世代だろう。「ミッチー」とは、現上皇后の美智子さまのニックネームだ。
民間人の美智子さまがときの皇太子と軽井沢のテニスコートで出会い、自由恋愛を経て結婚に至った現代のシンデレラストーリーは、たちまち女性たちを虜にした。ミッチーと言えば、テニス。テニスと言えば、軽井沢。軽井沢といえば、おしゃれで上品でキラキラしている——。
そんなイメージが日本全体をすっぽり覆ったのが、1960年前後の時代の空気感だった。
その後、70年代中盤から80年代にかけて再び大きなテニスブームが訪れる。火付け役となったのは、大ヒット漫画『エースをねらえ!』だ。さらに1975年ウインブルドンで沢松和子がアン清村と組みダブルス優勝したことで人気に拍車が掛かった。
大学生たちはラケットを手に、男性はVネックセーター、女性は白いワンピースをまとってコートへ向かう。テニスといえばオシャレで開放的……そんな時代があったのだ。
それから時は流れて、2020年代——。
日本のテニスコートから若い女性たちの姿が消えてしまった。1979年にテニススクールとして開業した、総合スポーツクラブ『ルネサンス』の岡本利治代表取締役は、次のように述懐する。
「我々がテニススクールをオープンしたころ、80年代は圧倒的に若い女性が多かったんです。それが最近では、日中は中高年の女性が中心。夜になると仕事終わりの男性が多くなりますが、若い女性は少ないですね」(岡田利治 ルネサンス代表取締役社長)
かつては一世を風靡したテニスブームだが、1990年代中盤から人気が下火になりはじめた。
『テニスの王子様』人気
その後、2000年代初頭の『テニスの王子様』人気や、2010年代の錦織圭・大坂なおみらの活躍もあったが、その時期の『ルネサンス』の客層はどうだったのか?
「『テニスの王子様』のときは、男の子を中心にジュニア選手が増えました。錦織選手のときも会員は増えたのですが、若い人というよりも、社会人になって一旦テニスを離れた男性たちが戻ってきた感じでした」(岡田利治 ルネサンス代表取締役社長)
つまり競技人口が増えるタイミングはいくつかあったが、若い女性は少なかったという。
もはやテニスは人気がないのか? 実際世界的に見ればそんなことはない。
全豪・全仏・全英・全米、4大大会が行われる国々ではサッカーに匹敵するほどの人気。世界の競技人口は1億人を超えており、間違いなく人気スポーツなのだ。先日も37歳のジョコビッチがパリ五輪で金メダルを獲得、史上5人目となるゴールデンスラムを達成したことが話題になった。
では4大大会などもない、アジア人の文化やライフスタイルにテニスは合わないのだろうか?
それがそんなことはない。
現在空前のテニスブームが訪れている国があるという。それがお隣の国、韓国だ。しかもハマる人の多くは若い女性。どうやら韓国では、テニスは「かわいい」スポーツとして人気を博しているようなのだ。
雑居ビルの中にテニスコート
日本にも韓国での人気に目をつけ、活動している人物がいる。元プロ選手でもあり、現在はテニスインフルエンサーの宇野真彩さんに話を聞いた。
「韓国のスポーツショップに行くと、こんなに可愛いウェアやアクセサリーがいっぱいあるんですよ!」
そう言うと身を乗り出し、宇野さんはスマホ内の写真を次々にスクロールした。映し出されるのは、パステルカラーのポロシャツや、ギンガムチェックのスコートなどをまとったマネキンたち。ショップのディスプレイもテニスコートがコンセプトで、韓国でのテニス人気の高さが一目で伺えた。
9歳の頃にテニスに出合い、18歳から国内ツアーを転戦するも20歳で引退した宇野さんは、「自分にしかできないテニスの普及活動」をすべく、2018年に『テニス女子サークル』を立ち上げた。「テニスをオシャレに楽しく」をコンセプトに活動している。
そのような活動に取り組むなかで耳にしたのが、「韓国でテニス人気が高まっている」との情報。そこで3年前に実際に韓国を訪れ、衝撃を受けたという。
「韓国では、雑居ビルの中にもテニススクールがありました。それも、カラフルなネオンや照明があって、おしゃれなバーやカフェみたいなんです。インストラクターたちも、男性も女性も美容師さんみたいにスタイリッシュ。
わたしが日本で見てきたテニススクールでは、女性は日焼けを気にしてロングスリーブにレギンスが多いし、夜は会社帰りの男性が中心。テニスコートに若い人が少ないのに、韓国のテニスコートには若くてオシャレな女の子たちがたくさん居るんです。『これは何でだろう⁉』と驚いたし、日本でもこういう写真をインスタに投稿したら、そういうのが好きな子がいっぱい集まるんじゃないかなと思ったんです」(宇野真彩さん)
その後も韓国に足を運ぶたび、宇野さんはテニス人気の高まりを感じてきたという。
「現地でテニスをしていく中で、どんどん人脈が広がっていったんです。その中には、元プロ選手や有名な俳優さんもいました。
新しく雑居ビルにスクールをオープンした人にも会ったのですが、オーナーは私と同じくらいの年齢の子なんです。テニスコートは半面で、ゴルフの打ちっぱなしのような感じ。基本はマンツーマンレッスンで、きれいなフォームで打てるようになりたい人たちが来るので、そんなに広いスペースは必要ないんです」(宇野真彩さん)
この方式ならスクールのオープン資金も安く済むし、レッスンを受けるほうにしても、気軽に通うことができる。日焼けも人目も気にせずに、好きなファッションで伸び伸びとボールが打てるのも利点。そんな好循環が巡りに巡り、韓国ではテニスブームが生まれているようなのだ。
BTSとSNS
では何がきっかけで、テニス人気に火がついたのか?
理由はいくつかあるが、一つは、著名人にテニス好きがいたことが大きいようだ。特に世界的人気アイドルグループBTSのメンバーで、パリ・オリンピックの聖火ランナーもつとめたJINのテニス好きは有名。
彼が、ルイヴィトンのスポーツウェアを着てテニスする姿をSNSにあげたことなども、若い女性の間で話題になった。
この例にも見られるように、若者間での人気上昇にファッションが果たした役割は大きい。本社が韓国にあるFILAは、次々に女性向けのテニスラインをリリース。ヨネックスの韓国代理店は、本社とは異なるデザイナーと契約し、韓国限定のウェアやアイテムを販売している。
加えてコロナ禍が追い風になる。テニスは壁打ちなら一人でできるし、ソーシャルディスタンスを維持して試合もできるからだ。
さらには、テニスに先んじて人気を博したゴルフのプレイ料金が、物価高によりあまりに高騰したために(韓国では週末のラウンドは4~5万円かかるそう)、若い人たちがテニスに流れてきたともいわれている。テニスなら遠出の必要もないし、ゴルフに比べれば用具代も安く済む。
それら一連の人気拡散の一翼を担うのが、韓国のSNSカルチャー。昨年まで韓国のトッププロであるパク・ソヒョンのツアーコーチを勤めていた西岡靖雄氏は、「韓国の選手は見られることへの意識が高い」と証言する。
「SNSにあげる写真も、表情やポージング、構図にも拘っています。コートに行っても、練習前にまずは写真撮影タイム。僕が撮っても何度もダメ出しされました」と、西岡氏は苦笑した。
2010年代後半からドラマや音楽、ファッション、コスメなど韓国発信のブームは日本に到来してきた。特に若い女性たちがそれらに惹きつけられてきたことはもはや語るまでもないだろう。
「テニスといえば、かわいい、おしゃれ、そして楽しい!」というイメージが日本に輸入される日もそう遠くないかもしれない。 そしてその先にきっと、老若男女問わず楽しめる、テニス本来の姿の実現がある。
取材・文/内田暁
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