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〈福井県・“かみつきイルカ”で17人負傷〉珠洲市の“伝説のイルカ”すずちゃんと同一個体? 名づけ親が語る悲しい胸中「人が多くて興奮してるだけ、帰ってきてほしい」

集英社オンライン / 2024年8月20日 11時0分

福井県内の海水浴場にイルカが姿を現すようになったのは2022年のこと。イルカは人間との親和性が高く、海で溺れかけた人間を助けるなどの事例が数多く報告されているが、このイルカは同一個体の可能性が高く、8月19日までに計17名の人間にかみつくなどしてケガを負わせたことから“かみつきイルカ”と恐れられている。じつはこのイルカは、2020年8月以降に石川県珠洲市で『すずちゃん』として親しまれていた野生イルカの可能性が高いという。すずちゃんは2022年9月に福井県坂井市の東尋坊付近での目撃情報を最後に、その姿は確認されていない。

子どもと戯れている、珠洲市にいたころのすずちゃん

“すずちゃん”とかみつきイルカの特徴が一致

これまでのかみつきイルカによる被害について敦賀市観光課の担当者が語る。

「小学生の男の子がイルカにかまれて手の指を20~30針縫うケガを負ったのをはじめ、敦賀市内の海水浴場ではこれまで13名(8月14日時点)の遊泳客が被害を受けています。

指をちぎられるほどの被害は今のところ出ておりません。現在、イルカを見かけても絶対に近づかないようポスターを貼るなどして注意喚起をしております」

かみつきイルカに襲われた状況について担当者が続ける。

「シュノーケリングや遊泳中にイルカに触ろうとして襲われたケース、突如現れたイルカに驚いて手で追い払おうとしてかまれたケース、さらには避難しようとしたら攻撃されたケースなど、さまざまです。

イルカの種類については不明ですが、海水浴場にイルカが現れるときは群れではなく決まって一頭で現れるということもあり、同じ個体の可能性が高いとみています」

こうした“かみつきイルカ”のニュースが流れるたびに肩を落としている人物がいる。かつて石川県珠洲市で愛された野生イルカ“すずちゃん”の名づけ親である寺家歴史研究会会長の出村正幸さん(48)だ。出村さんによると、“かみつきイルカ”と“すずちゃん”は同一個体であるという。

 「すずちゃんは背びれの後ろ部分が数ヶ所、特徴的に欠けているのですが、福井県の美浜町の海水浴場で撮影されたイルカの背びれもまったく同じ場所が欠けていました。

すずちゃんは2020年8月に珠洲市の海岸に現れ、2021年までは石川県内で目撃されていました。2022年9月に福井県で野生のイルカの目撃が相次いだのですが、石川県からやってきたすずちゃんではないかとメディアで報じられてます。

単独行動をとっているのもすずちゃんの特徴ですし、私はかみつきイルカはすずちゃんだと確信しています」

なぜ人懐っこいすずちゃんが豹変した?

2020年8月に初めてすずちゃんが現れたのは珠洲市三崎町寺家近くの海岸で、そのすぐそばには須須神社があった。その須須神社には古来から9月の秋祭りや祝いごとの際に神社前の海岸にイルカが姿を現す「いるかの三崎詣り」という伝説があった。すずちゃんはまさに伝説どおりに珠洲市に現れたというわけだ。

出村さんが当時を振り返る。

「ある日、窓から海岸を眺めていて見つけたのがすずちゃんでした。伝説は知っていましたが、まさかイルカが本当に現れるとはと思って、カメラですずちゃんの記録を始めました。

すずちゃんは人懐こいイルカで、触ったり、抱きついたり、またがる人もいましたが、かみつくことも怒ることもありませんでした。

それどころか、すずちゃん自身も人間が好きなのか、子どもを見つけると自ら近寄ってクルクル回って遊びたがり、石川県内の遊覧船と並行して泳いだりもして、すぐに地元の人気者になりました。縁起がいいとされる神の使いの出現で、実際に遊覧船の売上も上がりました」

能登半島地震の発生後、およそ25分で珠洲市三崎町寺家は津波に襲われたが、死者は出なかった。そもそも、すずちゃんがいる間は大きな地震もなかったと口にする人もいるという。これも神の使いのおかげだったのか。

現在、福井県内の海水浴場で多くの人をケガさせてしまっているイルカがすずちゃんだとすれば、いったい何があったのか。この変化について、出村さんはこう見ている。

「2020年に石川県内の海に出現した当初、調査にきた大学教授などが、すずちゃんは2歳のバンドウイルカではないかと言っていました。とすると、今は6歳になり、成長とともに性格が変わってしまった可能性もある。

ですが、私はすずちゃんはかまってほしくてただじゃれて遊んでいるだけではないのかなと思っています。そうはいってもイルカは300キロ近くの筋肉の塊みたいなものですから、人間はケガしてしまう。

 それに環境の変化もあるかもしれません。珠洲市の海岸は海水浴場ではなく、泳ぐ人の数も近所の人たちが集まってきてもせいぜい数十人。ですが、福井県の海水浴場となると規模が違うでしょう。それで興奮してしまっているのかもしれません」

出村さんは、かつてすずちゃんが落ち着いて暮らすことのできた珠洲市に戻ってきてほしいと今でも願っているという。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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