「AIと結婚して何が悪い?」技術革新は、変化を面白がれるオスに「ユートピア」をもたらすのか【和田秀樹×池田清彦】
集英社オンライン / 2024年8月26日 17時0分
〈「貯金ゼロ、収入ゼロでプロポーズしたっていいじゃない」未婚化が進む日本に足りない、オスの「厚かましさ」【和田秀樹×池田清彦】〉から続く
少子化・未婚化が喫緊の問題とされる日本社会。テクノロジーが進化し、男女関係を営む上で人間よりAIのほうがいいという人が一定数出てくるのも必然かもしれない。果たしてそうした社会が実現した先に待ち受ける未来とは…。
医師・和田秀樹氏と生物学者・池田清彦氏による対談本『オスの本懐』(新潮社)より一部抜粋・再構成してお届けする。
人間よりAIと結婚したい男が増える?
和田秀樹(以下、和田) AIがついた車椅子に乗って、どこへでも一人で出かけられる日がくるかもしれません。最近では車の自動運転が実用化される方向で、運転席に座っているだけで目的地に連れて行ってくれたり、道路に子どもが飛び出してきたら急ブレーキをかけて避けたりするくらいのことはできるようになりつつあります。もっと頭を柔軟にすれば、これだけの超高齢社会なのだから、その技術を車椅子に搭載したって構わないでしょう。
池田清彦(以下、池田) AIというのは、人間自身の機能を拡張させるんだよね。パソコンでいうと外付けハードディスクで、AIを利用することで人間の脳の容量が少しばかり増えるわけだから、記憶のような分野をAIにカバーしてもらえばいい。頭がボケて毎日同じ料理をつくってしまうなんて問題も、AIが「昨日もつくりましたよ」と教えてくれて、別の献立やレシピを提案してくれる。で、それをつくるためにはスーパーで何を買えばいいのかも教えてくれる。老いて一人暮らしでも困らない、そういう時代がくると思うよ。
和田 AIによって孤独な老人が減るかもしれません。すでに会話をしてくれるロボットはありますが、もっと精度が上がれば、こちらの話に寄り添ったり心安らぐことをいってくれたりするようになるでしょう。
池田 だけど、そこまでいくともう人間はいらなくなるな。昔どこかで書いたけど、いずれ人間よりもAIを搭載したロボットに恋するやつが出てくるよね。
和田 間違いないでしょうね。ロボットというとどうしても機械の体を連想しますが、3Dプリンターを使うことで人間と見た目が変わらないロボットをつくれるようになっています。美人女優や人気アイドルに姿を似せたロボットもつくれてしまうわけで、そうなれば少子化はもっと進みますね。このロボットはどんな女性よりも優しいでしょうから。
池田 何かいっても、いちいちセクハラだと怒られない(笑)。そのうちキャバクラとかホステスが接客するような店は潰れるんじゃないかね。だって、AI搭載のロボットホステスがこれまでの客の傾向を学習して、相手の好みに合わせて会話するなら客も楽しいし、そのうえ見た目も美人でしょ。しまいにセックスまでできるようになったら、「オレは人間の女よりAIと結婚したい」という男も出てくるよね。
和田 確実に出てくるでしょうね。
人間よりもAIやロボットと付き合うほうがストレスフリー
池田 セックスの面では、AIをパートナーに選ぶ男は現実に増えているようです。すでにアメリカでは「セックスボット」が実用化されているし、中国でも「AI搭載ラブドール」という精密なダッチワイフが人気だとニュースになっていた。前にセックスボットをみた時はまだそれほどではなくて、いくつかの種類の中から客が選ぶというものだった。それでもSM専用セックスボットというのもあって、驚いたけど(笑)。この流れは当然、もう少ししたら日本にもどんどん入ってくるでしょうね。
和田 日本にもそっち方面の技術はありますからね。何かの雑誌でみたのですが、かつてのダッチワイフはいかにも人形のような顔をしていたのが、今では本物の人間みたいにリアルできれい。処分できなくて家族みたいに一緒に暮らしている人もいるそうです。
池田 それにAIを組み込んだら、ほとんど人間だよね。しかも、ディープラーニングで相手の好みをどんどん学習するから、その人にとってはルックス、内面ともに魅力的で完璧なダッチワイフが出来上がるわけだ。
和田 AIの技術がそこまで進んだら、当たり前のように労働力になります。医療や介護の現場でAIが活躍し、家事もロボットとAIがこなしてくれるわけですから、家族みたいな存在になる。そうなると、今みたいなポリティカル・コレクトネスでがんじがらめになった息苦しい社会も変わるのではないでしょうか。AIロボットが相手なら、オスが輝くとかメスが輝くとか、性別を意識した話もなくなって、どんな本音をぶつけても平気という世の中になるかもしれません。
池田 現代人のストレスのほとんどは人間関係だから、AIやロボットと付き合うほうが、はるかにストレスがなくていいかもしれないですね。じいさん、ばあさんになるまで喧嘩ばかりの夫婦もいるけど、それならさっさと離婚してAIと一緒に暮らしたほうが、はるかに楽しく快適に生活できるパターンだってある。
和田 おつれあいを亡くした高齢者がAIと一緒に暮らしてみたら、「こっちのほうが断然いい」となるかもしれません。
池田 だって、ある意味ではユートピアですよね。
和田 ただ日本では、そういうテクノロジーを受け入れるかどうかで、大きな断絶が生まれそうです。やっぱりAIではなくて生身の人間じゃないとダメだとかいって、倫理や道徳を押し付けようとしたり、AIを夫や妻のようにして生活するなんてまるでディストピアだとか文句をいう人が現れそうです。
「ヘンなこと」を考えるオスが少ない社会はダメになる
池田 海外ではAIのほうがいいという話になったとしても、日本人は頭が固いからね。合理的かどうかより、とかく感情的に反対する人がたくさん出てきそうだ。でも、社会全体での話はさておき、「人間よりもAIのほうがいい」と思う人は必ず一定数出てくるわけで、その新しい変化を受け入れて楽しめる個人にとっては、やっぱりユートピアなんじゃない。
和田 結局、どんなものが生み出されるかというのは技術の範疇ではなくて、人間の想像力の範疇ですよね。今いろいろな分野で日本が世界に遅れをとっているのは、技術が劣っているわけではなくて、日本人の想像力が遠慮がちだということではないでしょうか。
池田 そうだと思います。すでに話したけど、生物の世界では、群れの中で「みんなと違う行動をとるオス」が変化を引き起こす。それなのに「ルールを守りましょう」という教育をずっと続けてきたせいで、「みんなと違う行動をとるオス」が極端に減ってしまったんだな。「ヘンなこと」を考えるオスが少ない社会は先々ダメになります。
和田 AIにしても医療にしても、世の中というのは常に進歩していくものだという前提でものを考えないといけませんね。高齢者の血圧や血糖値が高くても、10年後はiPS細胞をパラパラと動脈にまけば若返る、そんな技術ができているかもしれないのですから。
池田 できないとは言い切れないですね。
和田 大半の医者は自分が学んだ段階を起点として、医学がほぼ進歩しないことを前提に患者さんにあれこれ生活指導をしますが、これ、実際は問題だらけかもしれませんよ。
池田 デビッド・A・シンクレア(老化そのものがまとめて一つの病気であるという説を提唱)じゃないけど今の医学は「病気を治す」ことしか考えていないものの、「悪いところはリニューアル」が常識になれば、現在の常識なんてひっくり返る。そのうち120歳ぐらいまで普通に生きられるようになるかもしれないね。
和田 世界中で進められている「若返り」の研究は、いつか現実になるでしょう。
池田 人間も社会も、かなり面白いことになりますね。
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