「女児の体形や顔、感性にグッとくる」過去2度逮捕された小児性愛者が語るおぞましき衝動…医者からは「一生付き合っていく病気」と言われ…小児性愛者の更生プログラムとは
集英社オンライン / 2024年8月24日 16時0分
子どもを対象にした性犯罪が後を絶たない。この夏にも、習いごとに向かう途中の小学生女児や公園で遊んでいた未就学の女児に対し、成人男性がわいせつな行為に及んだ事件が起こった。こうした性加害者はなぜ、子どもを性的な対象として捉えるのか。かつて児童ポルノ提供罪とわいせつ物陳列罪などの罪で2度の前科がつき、現在、依存症治療や性犯罪再発防止の更生プログラムを行なうクリニックに通う男性Aさん(56)に話を聞いた。
小児性愛者が更生プログラムの一環で毎日書き綴っている「一行日記
16歳で小児性愛障害を自覚
都内で母親とふたり暮らしをするAさん(56)は、2006年に児童ポルノ提供罪、2019年に児童ポルノ提供罪とわいせつ物陳列罪などの罪で逮捕された。自身が「小児性愛障害(ペドフィリア)」を自覚したのは16歳のときで、成人女性との交際歴は一度もないという。
「幼い頃から私はおとなしめの性格で、性的な興奮を感じたのも遅いほうでした。今でも鮮明に覚えているのが16歳の頃に本屋でたまたま見てしまったロリコン漫画誌で、小学生くらいの女の子が楽しそうに性行為をしていました。そのとき、初めて股間が熱くなるのを感じました。
私が高校生だった1980年代には書店に篠山紀信さんの『少女館』のような未成年の女児のヌードを含む写真集などが平然と売られていたので、それ以降、毎日のように書店に通っては店主の目を盗み、それらを見る日々でした」
専門学校を卒業してIT企業に就職してからは、休日にはカメラを手に家の近所だけでなく、ときには遠方の公園や団地やマンションなど、子どもがいる場所に写真を撮りに出かけたという。
「当時はまだ小学校の運動会などには父兄でなくても自由に出入りできたし、海岸などで見知らぬ大人が子どもを撮影することにもお咎めはない時代でした。だから今以上に写真は撮りやすかった。
当初は子どもを遠景から撮ることで満足していましたが、次第に声をかけて好きなポーズをさせて自由に撮りたい願望も芽生えた。なので、いわゆるナンパをしました。
その当時は小学校低学年くらいの女の子に声をかけて写真を撮るだけでなく、女の子が嫌がりさえしなければあわよくば触りたい…そんな思いでした」
女児の親の気持ちを考えると許しがたい思いだが、そんな記者の嫌悪感を悟ったのか、Aさんは言い訳をするようにこう述べた。「自分は女の子に嫌がることは一度もしていない」と。
「私は確かに女の子を被写体にして写真の撮影はしたことはありますが、無理やり触れたり裸にさせたり、プライベートゾーンと呼ばれる部分の撮影はしていません。女の子に無理やりわいせつ行為を及ぶような性犯罪者は、小児性愛だけでなく暴力をふるうことに性的興奮を覚える人なんだと思います」
更生プログラムの内容とは
だからといって許される行為では決してない。なぜ、小学生の子ども相手に興奮するのか。その辺りの心情を聞くとこう述べた。
「私は女児の丸みを帯びた体形や愛らしい顔、たとえばマンホールを見て『お月様みたい』と言ってしまう感性にグッときてしまうんです」
しかし、Aさんは2度も事件を犯し逮捕されている。罪の意識はないのか。
「もちろん小児性愛者が問題行動をした場合は罰せられる自覚はありましたが、いかにそういう行為を実現できるかに関心がありました。でも、2度目の罪で起訴されて懲役1年執行猶予4年の刑に処されたとき、弁護士から『治療しなさい』と言われました。その後、クリニックに週1で通うなかで、それが認知の歪みであることを自覚し、その歪みとうまく付き合うための治療をしているところです」
いったいどんな治療をしているのか。
「毎週1回、同居中の79歳の母がデイケアサービスに行く間の8時50分から18時55分まで更生プログラムを受けていて、性犯罪、ギャンブル、アルコールなどの依存症の方と一緒に卓球やボクシング、和太鼓など主に体を動かしています。ただ遊んでるわけではなく、体を動かし汗をかくことで依存対象から離れることが目的です。ほかに写経したり、芸術行動療法といって絵を描いたり音楽を聴くこともあります」
参加者で円を描くように椅子に座ってトークセッションする時間もあるという。
「『こんなときにスリップ(依存行為を再発すること)しそうになりました』などのテーマをもとに挙手して話をすることもあります。発言者の言葉にただ耳を傾ける回もあれば、否定をしない意見交換を行なうこともあります。依存治療には仲間が必要だと言われており、自分の認知の歪みにまずは気づき、他人と関わることで認知が歪んだ部分をならしていき平均化していくというのが目的です」
一生付き合っていく病気と言われ…
クリニックに通ってから4年目になるというAさん。その治療は進んでいる自覚はあるのか。
「通院以外にも毎日『一行日記』を書くことも勧められており、そのノートの1枚目に自分の問題行動の“引き金”と、自分を船にたとえて、危ない方向へ行かせないための“いかりの綱”を書いています。私の引き金は小児性愛に関係する画像や動画であり、それらを探す行為を30分以上続けることがいかりの綱なので、それをしないことを心に留めて毎日を生きています」
Aさんは児童ポルノ提供罪とわいせつ物陳列罪などの罪で未だ執行猶予中の身。たとえ30分であれ、小児性愛に関する動画や画像を探すこと自体が問題なのではないか。
「私がクリニックに行った際、精神科医の先生からは『小児性愛障害は依存症の一種で治らない。いかに問題行動を出さないようにするか一生付き合っていく必要がある』と言われました。私も治らないだろうなとは自覚していたので腑に落ちました。今後は30分と決めている動画や画像を探す時間を20分、10分、5分と少なくしていくことが目標です」
一方で、Aさんは「小児性愛障害による性犯罪をなくすには我々の性質を知ることも大事だ」と言う。
「私のように小児性愛障害が認知の歪みだと自覚していない人もいるし、そういう人は子どもにわいせつ行為をするためにあらゆる手を使い手荒な行動を取ることさえある。この病気を身近な問題として知ることから始め、議論を重ねてほしいと思う」
身勝手な欲望のために子どもの心身だけでなく、その将来まで破壊してしまう性暴力は決して許されることではない。「病気」ということで処理していい問題でも決してないだろう。子どもたちが安心して暮らせる社会を築くためにも、このような更生プログラムが広く知られ、受ける人が増えることを願わざるをえない。
取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班
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