1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. カルチャー

「飲酒喫煙よりも悪質」「辞退するべき」日本代表選手が“フワちゃん越え”のやらかし口撃か…パリ五輪でアスリートへの誹謗中傷が世界中で問題に

集英社オンライン / 2024年8月23日 11時32分

〈パリ五輪女子ボクシング性別疑義騒動〉なぜ彼女たちが大バッシングを浴びたのか? 専門家によって見解が分かれる「テストステロン値とパフォーマンス」の医学的根拠〉から続く

パリ五輪をきっかけに、アスリートに対する誹謗中傷問題が過熱している。なかにはなんと、ごく近しい人や同じ種目のアスリートからネット上で“口撃”されていたことが発覚したケースもあった。

【画像】バリ五輪・ブレイキン女子で非難が殺到した選手

JOCが誹謗中傷をやめるように呼びかけ

8月11日に閉幕したパリ五輪だが、国際オリンピック委員会(IOC)の選手委員会は18日に、五輪期間中に選手や関係者に対してオンライン上で8500件を超える誹謗中傷の投稿が確認されたと発表した。

競技中にミスをしてしまった選手や、メダルが有力視されていたものの取れなかった選手など、SNS上でたくさんの批判を受けたという。

例えば、日本代表では女子20キロ競歩の出場を辞退し、混合団体に専念することを発表した柳井綾音も非難が集中した一人だ。

レースを直前に控えた7月29日に、柳井は自身のSNSで「たくさんの方から厳しい言葉に傷つきました。試合前は余計神経質になり、繊細な心になります。批判ではなく応援が私たち選手にとって力になります。批判は選手を傷つけます。このようなことが少しでも減って欲しいと願っています」とコメントを発表。

毎回、五輪のときにはさまざまな反応がネット上で飛び交うが、今回は特に深刻だった。

8月1日には、日本オリンピック委員会(JOC)が声明を発表するという異例の事態にも発展。「応援いただく皆さまへ改めてSNS等の投稿に関してお願いがあります。誹謗中傷などを拡散することなく、SNS等での投稿に際しては、マナーを守っていただきますよう改めてお願い申し上げます」とし、侮辱、脅迫などの行き過ぎた内容に対しては、警察への通報や法的措置も検討すると主張した。

こうしたアスリートへの誹謗中傷は日本だけでなく、世界的にも問題になった。なかでも大きな注目を集めたのは、ブレイキン女子に出場したオーストラリア代表のレイチェル・ガン選手だ。

「クロネコヤマト」の制服のようなユニフォームを着用し、独創性あふれる“カンガルーダンス”を披露した彼女だが、残念ながら得点は0点であえなく敗退。すると世界中のネット民たちが彼女を嘲笑い、〈彼女をアスリートとは呼ばないで。それはスポーツ選手に対する侮辱です〉〈完全なピエロ〉〈カンガルーに謝れ〉と口撃を開始。

さらに、同国のオーストラリア人からも〈国に恥をかかせた〉〈彼女がオリンピックの出場選手に選ばれ、そのために税金が無駄に使われた〉〈彼女を非難することは別にイジメではない。オーストラリア人だけど彼女を擁護しない〉と批判が相次いで収拾がつかなくなり、ついにはオーストラリアのアルバニージー首相がレイチェル・ガン選手を擁護するコメントを出すまでにいたった。

飲酒喫煙で代表辞退した選手もいたが…

夢の舞台に立つために、日々、並々ならぬ努力を重ねているアスリートを、事情も知らない外野が叩くべきではないのは言うまでもない。だがなかには、選手が選手のことをネット上で批判していたというケースもある。

パラアーチェリー選手の小野寺朝子が、パリ・パラ五輪にアーチェリー日本代表として出場予定の重定知佳から、匿名で誹謗中傷を受けていたのだ。

2021年1月5日、小野寺のブログに匿名で「いい加減もう東京パラも無理だし代表入りも無理なの気づきませんか? 悪あがきもほどほどにした方がいいですよ」「ルール違反してない? してるから言ってるんですけど。車いすに乗って競技してはいけないのに車いすに乗ってますよ」というコメントが書き込まれた。

そこで小野寺が開示請求をしてみると、なんと書き込んだのが同じパラアーチェリー選手で、小野寺よりも実績のある重定だと判明したのだ。

この投稿が名誉棄損だとして裁判を起こすと、東京地裁は8月6日、小野寺の訴えを認めて、重定に約124万円の支払いを命じる判決を言い渡した。

とはいえ、重定のパリ・パラ五輪の出場資格がはく奪されるわけではなく、28日から開幕するパラ五輪には変わらず出場予定。また、重定側は判決を不服として控訴もしている。

スポーツマンシップが理念の大前提となる五輪において、あまりにもモヤモヤするこの事件には〈少なくとも重定選手は代表入り辞退すべきではないかと思う〉〈飲酒喫煙で辞退した選手がいるのに、敗訴した選手が出場はありえない〉〈飲酒喫煙より今どきニュースとして悪質と思います〉〈フワちゃんよりも酷くない?〉といった声がネット上であがっている。ちなみに誹謗中傷を開示してみたら近しい人だった……というケースは五輪だけではとどまらない。

2022年には、プロ野球・西武ライオンズの源田壮亮の妻で、元乃木坂46の衛藤美彩がインスタグラムのダイレクトメッセージで誹謗中傷されて情報開示請求をしたところ、相手がチームメイトの妻だったことがある。

もしもネット上の誹謗中傷に悩んだら

エンタメ業界では、ネットで大人気の歌い手・まふまふに対して、ネット上で誹謗中傷を書き込んでいたのが元妻だと判明。民事で訴訟する泥沼裁判へと発展した。

また今月、タレントのフワちゃんは何度も共演経験のあるお笑い芸人のやす子に向けて、「死んでくださーい」とSNSに投稿して大問題になったことが記憶に新しい。

このように世界中で問題となっているネット上の誹謗中傷問題だが、いったいどのような解決方法があるのだろうか。

警察庁のWEBサイトでは、「インターネット上の誹謗中傷等への対応」について特集したページがあり、それぞれの場合に応じた相談先を紹介している。

その中の一つ、一般社団法人セーファーインターネット協会に話を聞いてみた。

「当協会では、誹謗中傷被害者支援の取り組み『誹謗中傷ホットライン』を運営しています。誹謗中傷ホットラインとは、誹謗中傷の被害者様からご連絡を受け、ネット上に掲載されている誹謗中傷について削除などの対応を促す通知を行なう取り組みです。

ご連絡いただいた内容については、個人対個人のトラブルに起因し、被害者の氏名や住所や顔写真を掲載した上で、人格や存在を否定する言葉で行なわれるケースが多数で、2023年は約1500名の方から、2465件のご連絡をいただきました。当ホットラインのガイドラインに基づき、該当する情報636件、907URLについて、削除等の通知を行ない、63.8%(579URL)の削除を確認しています」(セーファーインターネット協会、担当者)

ほかにも、インターネットに関する専門知識を有する相談員が、相談者自身で行う削除対応の方法などをアドバイスする違法・有害情報相談センター(総務省委託事業)。相談者自身が行う削除依頼の方法について助言を行うほか、法務局が事案に応じてプロバイダなどに対する削除依頼を行う人権相談(法務省)といったものもある。

もしもネット上の誹謗中傷に悩むことがあった際は1人で抱え込まず、まずはこれらの公的機関に相談してほしい。

取材・文/集英社オンライン編集部 サムネイル/JMPA

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください