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〈高級マンションで宅配業者イジメ?〉「配送バッグが建物の景観を損う」「警察に通報します」と貼り紙…その真意は? 管理会社を直撃、住人からは「厳しさのおかげでキレイが保たれる」同業者からも意外な声

集英社オンライン / 2024年8月28日 7時0分

東京都渋谷区の高級ブランドマンションで、ある配達業者を“狙い撃ち”にした嫌がらせともとれる貼り紙がSNSにさらされ、話題になっている。「配達員を虐めすぎ」と題して投稿された貼り紙は既に撤去されていたが、デジタルタトゥーは拡散され、炎上はしばらく収まりそうもない。

“炎上”の現場となった高級マンションと、炎上後に貼り紙が“はがされた“エントランス

「ルールを守らない配達員がいる」

8月24日、X(旧ツイッター)に投稿された「貼り紙」の文言はあけすけだった。

「〜Amazon宅配業者へのお知らせ〜 建物の美観を損なう恐れのある『角バッグ又は籠等』を使っての館内配達は禁止です。損傷の恐れある行為として警察に通報します。※防犯カメラ作動中」という文章の最後に、マンション名とともに「管理室」と記してあり、エントランスのインターフォンの上に貼られていたようだ。

この貼り紙がSNSにさらされると、すぐに炎上。話題になっている。たしかに住民が頼んだ荷物を配達しただけで警察に通報されたのでは配達員もたまったものではない。

SNSをみた都内在住の宅配員は怒り心頭だった。

「景観を損なうってスーツを着ろってことでしょうか(苦笑)。僕は大手の業務委託をうけている個人事業主なんですが歩合制なんですよね。

1個でも多く荷物を配らないと金にならないし、仕事ではカートやでかいバックがないとスムーズに宅配ができません。朝から夜まで何百個も荷物を運んで、なんとか家族で生活できている。この貼り紙は上から目線でバカにしていますね」

同マンションは東京メトロ広尾駅や表参道駅から歩ける高級ブランドマンションだ。大通りに面してパーキングメーターも多数あり、付近には多くの芸能人やスポーツ選手が住む高級マンションが林立している。

取材に訪れた8月27日午後、貼り紙は「現場」から既に撤去されていた。エントランスから出てきた住人に事情を聞いてみると、こんな答えが返ってきた。

「実際に宅配業者がカートで乱暴に配達して高級な石の床を傷つけたことがあって、いまでも傷が残っているんですよ。それで管理室がこんな注意書きを作って、もう1年以上前から貼られていたと思います。

ここには賃貸の入居者もいるけど、分譲の方たちも結構住んでいるので、そういう人たちから苦情があったのかもしれませんね。

籠とか角バッグというのが何を指しているのかわかりませんが、ウーバーとかで態度の悪い人もいたり、エレベーターが狭くてバッグがガチガチあたるからからそれがイヤなときもありますね。ただ、この貼り紙の書き方は、ちょっと問題ある気もします」(30代男性)

近くで配達中の宅配業者の20代男性が取材に応じてくれた。

「ここのマンションの管理人さん曰く、ドンッて荷物を置いたり台車を引きずったりして下のタイルとかが傷つかないようにしたいそうなんですね。本当は僕らも台車とかあった方が楽なんですけど。

まあ、ここに来ていた一部の配達員さんはルールを守らない人が多いんですよ。思い切りドアを閉めて宅配ボックス壊しちゃったりとか、他のマンションに誤配して、さらにそこのボックス開けられなくしちゃったり。

そういう配達マナーの悪い人のせいで、ああいった貼り紙とか配達ルールが生まれちゃうんですよね。あれだけ見ると管理人さんが悪く見えちゃいますけど、同業者の僕らから見ても仕方ない部分はあるし、ふだんはすごく優しい方です」

マンションの管理人を直撃すると…

ではやっぱり宅配業者が悪いのだろうか。入居者の40代の女性にも話を聞くことができた。

「炎上の件は知りませんでしたが、この貼り紙は前からずっとありましたよ。ここは結構キレイに管理してるので、タイルの傷とか気にしてたんじゃないでしょうか。

自分はクレームは入れてないですけど、ここは家族の入居者が多いのもあって、結構厳しい管理だなと思って見てました。出入りに関しては、床を傷つけるから台車も使えなくて、使うなら養生カバーをしないといけません。引っ越しの時も全部そう。

台車も使えないなんて、Amazonの方も可哀想だと思いますが、そういう厳しさのおかげで中がキレイには保たれてるから、そこは住人としては嬉しくもあります。

貼り紙はさっきはがされたけど、ただはがしただけなのか、バッグや籠の利用が解禁されたのかはわからない。たぶんはがしただけでしょうね。高いマンションだから、ある程度仕方ない気もします」

取材中、“現場”のマンションでは、ひっきりなしに宅配業者が出入りしていた。

荷物を運ぶ配達員はみなカートを利用することもなく手で荷物を持っており、ウーバーイーツや出前の配達員もバックをおろし気をつかっている様子だった。

同マンションの管理会社のスタッフに声をかけるとバツが悪そうにこう答えた。

「ごめんなさい、私、管理会社の者なんですけど、うちの広報センターを通していただかないと。入居者の方で答える方はいらっしゃるかもしれないですけど、管理会社としては広報を通してしかお答えできないので。私としては、何もお答えできる立場にありません」

どういう経緯で貼り紙をし、それをはがしたのか管理会社に問い合わせてみると、こんな答えがメールで返ってきた。

<弊社コメント>
お尋ねの「宅配業者向けのお知らせ」につきましては、配送業者が荷物を配達する際に用いるプラスチックダンボールなどでマンション内の壁紙や床が傷つく事案があり、注意を呼び掛けるために約2年前から掲示していたものです。

今回、不適切な掲示ではないかとのご指摘があったことから、あらためて確認したところ、注意を促すという趣旨から逸脱した表現があったことから、掲示はすでに撤去いたしております。今後は、注意を促す際にも掲示内容に十分留意しながら、配送業者の皆様に理解と協力を得てまいりたいと考えております。

さらなる”宅配業者イジメ”が起きないことを祈りたい。

※「集英社オンライン」では、宅配業者や運送業に関するトラブルについて情報を募集しています。下記のメールアドレスかX(旧Twitter)まで情報をお寄せ下さい。

メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

X(旧Twitter)
@shuon_news

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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