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〈フジテレビドラマに異変!〉TVer歴代最高再生の月9『海のはじまり』ほか、原作なしのオリジナル路線のみ放送のなぜ?

集英社オンライン / 2024年8月28日 17時0分

現在放送中の月9ドラマ『海のはじまり』(フジテレビ系)が、TVerの歴代最高再生回数の記録を塗り替えるほどの大ヒットとなっている。なぜ、これほどまでにこのドラマが話題になっているのだろうか。そのカギは、他局とは異なるフジテレビ独自の戦略にありそうだ。

【画像】「海のはじまり」の考察ポイント! たった1話にこれだけの気になる点

すべてがオリジナル作品のフジテレビドラマ

フジテレビドラマが今期、他局とは異なる大きな試みをしている。1日で最も視聴者の多い時間帯であるプライム帯で放送している『海のはじまり』『マウンテンドクター』『新宿野戦病院』『ギークス~警察署の変人たち~』『ビリオン×スクール』の5本、すべてが原作の存在しないオリジナル作品なのだ。

他局と比べると、ここ最近ドラマが絶好調のTBSは『西園寺さんは家事をしない』『笑うマトリョーシカ』『ブラックペアン シーズン2』と、プライム帯で放送している3本すべてが原作付きだ。

日本テレビは『GO HOME〜警視庁身元不明人相談室〜』『マル秘の密子さん』がオリジナル、『降り積もれ孤独な死よ』が漫画原作で、3本中2本がオリジナル。

テレビ朝日は『科捜研の女 season24』のみオリジナルで、『スカイキャッスル』が韓国ドラマのリメイク、『南くんが恋人!?』は往年の名作漫画『南くんの恋人』の男女逆転版だ。

フジテレビがオリジナルに力を入れている理由のひとつに、局が公募している脚本コンテスト『フジテレビ ヤングシナリオ大賞』がある。こちらは、新人脚本家を発掘するためのコンテストで、すでに35年以上もの歴史があり、第1回の大賞受賞者は坂元裕二、第2回は野島伸司と、日本ドラマを代表する大御所が世に出るきっかけとなった。

その後も、『結婚できない男』の尾崎将也、『アンナチュラル』の野木亜紀子、『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』の黒岩勉など、今のドラマ・映画界を担っている売れっ子を続々輩出。さらに、3年前に大賞を受賞した生方美久は、その直後に『silent』を書いてメガヒットを飛ばすと、その翌年も『いちばん好きな花』を書き、今期は『海のはじまり』を書いて、3作連続のヒットを記録中だ。

新人脚本家が生方のようにいきなりプライム帯ドラマのオリジナル脚本を単独で書かせてもらえることはほとんどないが、フジではその翌年も、同コンテストで大賞を受賞した新人・市東さやかを月9の脚本に抜擢し、オリジナルドラマ『真夏のシンデレラ』を制作するなど、積極的に若手にチャンスを与えている。

オリジナル作品と原作つきの違い

フジテレビのような脚本コンクールは、民放キー局ではテレビ朝日も2000年から20年以上、「テレビ朝日新人シナリオ大賞」というコンテストを実施しているのみ。長年、フジとテレ朝だけが新人発掘を担っているような状況であった。しかし昨年、ついにTBSと日本テレビも脚本コンクールを始動させ、民放キー局すべてが脚本家コンテストをやりはじめることになった。

脚本コンテストの狙いはやはり、原作に頼らない“オリジナル作品”を作ることで、民放各局が書き手を探している。

というのも、ここ数年、テレビのドラマ枠はどんどん増えており、2023年の秋時点で、ワンクールの連ドラ枠は39枠。20年前の倍ほどに膨らんでおり、もはや原作の供給が追い付いていないような状態なのだ。

「テレビ局では “人気”や“結果”が出やすそうな原作付きドラマが好まれる傾向にあるのではないでしょうか?」と語るのは、チャンネル登録者約4万人、ドラマ考察情報などを発信するYouTube「ごちそうさまです。エンタメ君 CHANNEL」を運営するすけまるさんだ。

「原作つきドラマはすでにファンが多数いて、さらに脚本の展開もある程度担保されていることから、局内で好まれやすいのでは? と思います。一方で、オリジナルドラマはそういった担保がないからこそ、チャレンジングな内容で勝負する傾向が強いとも感じます。もちろん、安定志向なオリジナルドラマも結構ありますし、チャレンジ要素の強い原作つきドラマもあるので、一概には言えないかもしれませんが……」(すけまるさん)

その代表例としてまさに挙げられるのが、今期の大ヒット作『海のはじまり』。いま、一番ノッている男性アイドルSnow Man・目黒蓮を“子持ちにする”というチャレンジングな設定。月9とは思えないほど、暗くて重く、苦しい展開。フジテレビ以外ならば、企画の段階でハネられてしまいそうな要素がてんこ盛りだ。

だがこれで勝負をした結果が大成功。今期ナンバーワンとまでの評価を得ることになった。成功の理由のひとつに、ストーリーが面白いことは言うまでもないが、もう一つの大きな要素として“考察”がある。

『海のはじまり』の考察はなぜバズる?

2021年、日本テレビ系のサスペンスドラマ『あなたの番です』が記録的大ヒットをしたが、その理由は“考察”だった。『あなたの番です』は原作のないオリジナルドラマという性質から、最終回まで犯人がわからず、SNSでは考察合戦が加速。視聴者はリアルタイムでドラマを見ながら、あーでもないこうでもないと推理しては感想を共有し、結果的にドラマとSNSが巧みに連動。回を重ねるごとに盛り上がりが増していった。

以後、考察ドラマはリアルタイム視聴率に苦戦する地上波ドラマの光明となり、『真犯人フラグ』『最愛』『VIVANT』などの高視聴率ドラマが作られていった。

だが、『海のはじまり』は前述の作品のように人が死んだり、事件に巻き込まれるようなシーンはない。もちろん、犯人探しといった考察要素もない。どんな考察が人気を博しているのかというと、登場人物の何気ない所作や言葉、行動理由、そして伏線に関する考察だ。

ほかのドラマでは見過ごされてしまいそうな些細な行動でも、「こんな意図があったのでは?」「実は過去にこんな経験があったからでは?」などと考察されている。

なぜこのドラマはここまで考察が熱心にされているのだろうか。

「まずドラマにおいて、考察が流行る理由として『今後の展開がとても気になる』ことが大きなポイントだと考えます。さらにこの『今後の展開がとても気になる』には大きく2つのパターンがあると分析します。

1つ目は、制作者側が、次の展開が気になるように仕向けているパターン。次回へ向け驚くような仕掛けや、犯人予想など。いわゆる考察ドラマとされるものがこれに該当すると思います。

2つ目は、シンプルに面白すぎて、視聴者が勝手に次の展開や意味を考えてしまうパターン。丁寧に作られているドラマほど、何気ないシーンに深い意味があるなど、後から見直すと“伏線”とも取れるようなポイントも多く、結果的に考察されているのが『海のはじまり』や『silent』だと思われます」(すけまるさん)

現代において、地上波の連続ドラマがヒットするためには、SNSでの盛り上がりは不可欠。『海のはじまり』は、上手にそこをついた作品になっている。

この先、さらにドラマ枠が増えていけば、テレビ局はますます、多くのオリジナルドラマを制作しなければいけなくなる。フジテレビはそれを見据えて、準備を着々と進めているのかもしれない。

取材・文/集英社オンライン編集部

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