「的確すぎて逆にキモい」ブサイクキャラの芸人くじらが、今では月50本の恋愛カウンセリングをこなす“恋愛強者”に… 提唱する“勝つ恋愛よりも負けない恋愛”とは?
集英社オンライン / 2024年8月29日 17時0分
『とんねるずのみなさんのおかげでした』の『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』で、釣りやビリヤード界の有名人を真似たマニアックなネタで注目された、お笑い芸人のくじら。Twitter(現・X)での恋愛相談が「的確すぎる」とバズり、現在はフリーで芸人を続けながら、婚活相談と並行して月に50本の恋愛カウンセリング(利用者の9割が女性)も行っている。そんなくじらに、「負けない恋愛」の実践テクを聞いてみた。
女性のことを自分とは違う“生き物”として知りたくなる
──そもそもモテ男でもないのに、恋愛相談を始めたきっかけは?
くじら(以下同) オレは子供の頃から女友達の話を聞くのが好きでした。で、大人になって、恋愛話を芸人同士でしゃべっていたら「Twitterで恋愛相談とかやってみれば」って勧められたのがきっかけ。
だから最初は「ブサイク芸人が上から目線で恋愛を語ったら、ギャップでウケるかも」ってお笑いのノリです。でもふざけたらつまらないと思って、100の熱量で答えていたら「意外といいこと言ってる」って反響があって。「的確すぎて逆にキモい」ってタイトルのまとめサイトもできたりして(笑)。そこから相談者が増えて、お笑いよりカウンセリングがメインになっていったんですよ。
──現在は結婚相談所とそれとは別の恋愛相談事業、2つの窓口でカウンセリングを行っていますが、相談者に合わせて的確なアドバイスができるスキルはどうやって磨いたんですか?
スキルかどうかはわからないけど、オレは女性のことを自分とは違う“生き物”として知りたくなってしまうところがあるんです(笑)。
というのも女性って結構メンタルが揺れ動くじゃないですか。うちの奥さんもそうで。オレ自身はメンタルが安定しているタイプだから、女性特有のアップダウンが不思議で「なんでこうなっちゃうんだろう?」って思い、自分なりに勉強するうちにいろんな知識が身についていったんですよ。
──多くの男性は「女性特有のアップダウン」を面倒くさがりますけど、くじらさんは興味が先だった?
そうですね。不安定なところを「怒りっぽい」とか性格として捉えちゃうのは、ちょっと違うなと。単純に体にストレス耐性がないというか。恋愛ってすごく刺激的でストレスがかかるものだから、身体が弱い人だと耐えられなくなって関係性が壊れてしまうことがある。つまり性格や能力の問題ではなく体質の問題です。
結局、心って脳で、脳は体の器官の一部だから、身体が弱いと脳も反応してブレやすくなるんです。カウンセリングで、恋愛がうまくいかなくて悩んでいる人に「性格の問題ではなく、身体があまり強くないんだと思いますよ」って話をしたら、本人もびっくりして“気づき”になることもよくあるんですよ。
芸人になるまで自分がブサイクだとわかっていなかった
──くじらさんからは、劣等感や引け目をまったく感じないです。そもそもがポジティブな性格だったんでしょうか?
そこは母親のおかげ。すごく愛情深く育ててくれて否定された記憶も一切ないので、自然に自己肯定感みたいなものが強くなったんだと思います。
そのせいで、芸人になるまで自分がブサイクってこともわかっていなくて。最初のお笑いのオーディションで「君はおもしろい顔をしてるのになんで顔を使ったネタをやらないの?」って言われて「オレっておもしろい顔なの?」って、そこで初めて気づいたんですよ(笑)。
──くじらさんの話を聞いていると、ルックスとか関係なく「人間」としてのたくましさ、頼もしさを感じて、ちょっとイケメンに見えてきました(笑)。
いや、それはないと思うけど(笑)。ただ、男性のたくましさに女性が惹かれるっていうのは婚活相談でもすごく感じます。「結婚相手として条件はいいけどなんか好きになれない」って女性側からの相談をよく受けるんですけど、このパターンで結婚に至ったケースは1人もいない。
おそらく女性は相手の男性に「弱さ」を感じると、本能的にオスとして惹かれないんでしょうね。だから「一途で優しい人がいい」と言いつつ、「いい人」は「いい人」止まりになってしまう。そこは女性の本質的な部分なのかもしれません。
──そんな「いい人認定」されやすい男性たちへアドバイスをするなら?
まず相手がどうであろうと自分は機嫌よくいること。そしてフラれ上手になること。例えば、合コンでオレを見た瞬間、女の子はテンションが落ちるわけです (笑)。
でも、そこでめげないで「この時間は君の人生の大切な2時間なんだから楽しくすごそうよ」「オレらの知り合いにいい男がいるかもしれないじゃん」って明るく言っちゃう。で、「付き合おうよ」ってあえて口説くと「やだよ」「一番ムリそうなのがくるか」とか向こうも軽くツッコんでくれて、それはそれでおもしろくなって盛り上がるんですよ。
しかも、その後も「やっぱりなんとかなりませんかね」ってネタにしていたら、合コンの後も連絡を取り合うようになって、最終的に付き合えたことも。僕は「勝つ恋愛より負けない恋愛をしよう」ってよく言っています。
フラれても気まずくしないのが鉄則
──「負けない恋愛」を繰り返せば大逆転があると。
そのためには、フラれても気まずくしないのが鉄則。「フってもこの人、全然気にしてない」と話しやすい空気を作っておけば、次につながってなんかのタイミングでうまくいくことも十分ありえます。
そもそも恋愛も婚活も確率の問題だとオレは思っていて。10人アプローチして9人からOKをもらえる人もいれば、10人中1人だけって人もいるじゃないですか。オレなんかは顔がポケモンキャラみたいなもんですから、確率は100人中1人ぐらい。
でも1000人にいけば10人の中から選べるわけです。だったらとりあえず、いろんな人に好意を表現して分母を増やすしかない。その場で付き合えなくても、楽しい人だなって思ってもらえれば次に違う女友達を連れてきてくれるかもしれないし、長期的に見れば恋愛チャンスって意外とあるんですよ。
──自分の確率とキャラを見極めた上でアプローチをして成功率を上げると。それは女性にも言えることですか?
女性も同じです。ただ男と女には大きな違いがあって、女性は自分がオンリーワンになることを求めるけど、男性はナンバーワンになりたがる。なので、女性は好きな男性を振り向かせたいなら、あえて誰かと比べるといいです。
例えば「この間、別の人とデートしたけど、しんどかった。でもあなたはすごくしゃべりやすくて楽しい」とかさりげなく優劣をつけてやる。すると相手の男はうれしくなって、ほぼ100%の確率で「その男ってなにがしんどかったの?」って聞いてきます(笑)。
僕は婚活のアドバイスでも「騙されたと思って他の男の話題を出してあげましょう」って言っているんだけど、そうすると相手の男が豹変して「急にアプローチしてきました」ってケースが多いんですよ。
──最後になにかアドバイスはありますか?
やはり相手の心を動かす要は、相手との共感よりも違いをおもしろがることですかね。つまり、相手の存在を肯定した上で関心を持つことです。意見が合わないとショックを受ける人もいますが、違いがあるからこそ、相手のことを理解するために考えたり、向き合ったり、その結果、互いに心が揺れ動いたりするわけです。それがオレの「負けない恋愛」のコアな部分ですね。
取材・文/若松正子 写真/わけとく
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