<種類多すぎ!?>意外と知らない「ばんそうこう」の正しい選び方。使い方を間違えると菌が繁殖したり、皮がめくれあがり…
集英社オンライン / 2024年9月13日 11時0分
擦り傷や切り傷の保護に用いる絆創膏。種類が増えて何を使えばいいかわからないという声も聞く。絆創膏の種類や正しい選び方、使い方を「よしき銀座クリニック」院長の吉木伸子先生に解説してもらった。
ばんそうこうの選び方とは?
ひと昔前は、切り傷や擦り傷を治すには傷口を消毒し、傷を乾かす処置が一般的だったが、2004年頃から傷口をしっかり洗浄して、傷は適度に湿った状態のまま密閉する「湿潤(しつじゅん)療法」が一般向けに普及しはじめたという。
「皮膚に傷ができると『滲出(しんしゅつ)液』という体液が出ます。この体液には傷を修復する成分が含まれていて、傷を早く治していきます。
傷口は消毒しないと化膿しないか心配かもしれませんが、消毒液は刺激が強く、傷を治すための細胞や組織を傷つけてしまう恐れがあります。まずは、水道水で異物や細菌を取り除いてしっかり洗浄し、血が出ている場合は傷口を圧迫して止血しましょう。
傷口をきれいに洗ったら、外部からの刺激や細菌の侵入を防ぐため、絆創膏で保護します」(吉木伸子先生、以下同)
ひと昔前は、パッドで傷を保護するタイプしかなかったが、現在、ばんそうこうはさまざまなサイズや種類があるため、傷口や滲出液(しんしゅつえき)の状態によって、適切なタイプを選ぶことが大切だという。
「市販のばんそうこうは大きく分けて、ガーゼなどのパッドで傷を保護するタイプと湿潤療法ができるハイドロコロイドのタイプがあります。
ハイドロコロイドとは、傷口から染み出してくる滲出液を吸収、保持して、傷を早く治すサポートをする素材です。擦り傷や切り傷で、滲出液が出ているなら、ハイドロコロイドタイプの絆創膏を使用するのがおすすめです。また、靴擦れなどに見られる表皮の一部がむけた「びらん」状態も、ハイドロコロイドタイプの絆創膏を使うことで早く治癒します」
一方、紙で手を切ったくらいであれば、従来のイメージ通り、パッドで保護するタイプのもので十分だという。
膿が出ている、水疱になっている傷はハイドロコロイドばんそうこうを使えない
基本的にはハイドロコロイドタイプのばんそうこうは切り傷、擦り傷などの外傷に使用できるというが、気をつけてほしいのがハイドロコロイドタイプの絆創膏を使ってはいけいない傷だ。
・膿が出ている傷
「ハイドロコロイドで覆うと、菌が繁殖する恐れがあります。はじめはそうでもなかったのに傷の周りが赤くなる、ズキズキする痛みがある場合は、医療機関を受診してください」
・水疱(水ぶぐれ)になっている
「火傷や靴擦れなどで水泡になった状態の上にハイドロコロイドタイプのばんそうこうは貼らないようにしてください。水疱の中の体液には傷を治す成分が含まれていて自然な湿潤療法となっているので、その上にハイドロコロイドタイプの絆創膏を貼ると皮がめくれてしまいます。
水疱はそのままにしておくか、当たらないように保護するタイプのばんそうこうを使いましょう。
ちなみに水疱がつぶれて皮は向けて赤くなっているなら、ハイドロコロイドタイプのばんそうこうを使用してもらって大丈夫です」
・傷ではないもの
「湿疹、かぶれのようにかゆみがあるもの、虫刺され、水虫、原因がわからない水疱など傷ではないものにはハイドロコロイドタイプの絆創膏を使用できません」
・出血が多い傷
「まずは止血すること大切です。出血がおさまってからばんそうこうを貼るようにしてください」
・ぱっくり大きく開いてしまった傷
「ばんそうこうで傷が寄せられない場合は医療機関を受診してください」
また、傷以外の部分も広範囲でハイドロコロイドで覆ってしまうと、皮膚がふやけてしまったり、ばんそうこうがはがれやすくなったりしてしまうので、傷の部分はハイドロコロイド、傷のまわりの健康な肌にはしっかり固定できるテープが付いたばんそうこうを選ぶのがポイントだ。
特に夏場のような多湿な時期には注意が必要。
「ハイドロコロイドタイプのばんそうこうの使い方ですが、傷口の異物や汚れをしっかり水道水で洗い流してから、水分をふき取り、消毒液やクリームを使わず、傷口にばんそうこうを貼ります。皮膚がふやけないよう、傷に合ったサイズのものを選びましょう」
ちなみに、ハイドロコロイドタイプのばんそうこうは、2~3日くらい貼り続けていても問題ないそう。
「貼ったまま2~3日経ったら1度はがして、傷口の様子を観察し、新しいものに替えるようにしてください。また、はがすときも乱暴にはがさないように注意が必要です。
皮膚をいためないように体毛の流れに沿ってゆっくりはがしましょう。貼り替える前に傷口を水道水で洗うようにするとよいでしょう」
何気なく使っているばんそうこうだが、正しく使うことで傷は早くきれいに治る。
怪我をしても慌てず、まずは傷口を洗ってから、ばんそうこうを使用するように心掛けたい。
取材・文/百田なつき
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