1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

フワちゃんはどのように“消された”? 元TOKIO山口達也を消した“映像編集者”が語る現場での苦労「あ、映っちゃってます!」

集英社オンライン / 2024年9月10日 16時0分

9月7日に放送されたバラエティー番組『有吉の夏休み2024 密着77時間in Hawaii』(フジテレビ系)で、タレントのフワちゃんの出演シーンが見事に編集で全カットされていたことが話題となっている。ネット上ではこの編集技術が大きな話題になっているが、現場ではどんな苦労があるのだろうか。かつて、元TOKIO・山口達也の出演映像を編集したという、元映像編集者に話を聞いた。

【画像】フワちゃんを消しゴムマジック? 映像編集者の華麗な技術

「完全にフワちゃんをなかったことにしてる」

2013年から10年以上続く人気シリーズ『有吉の夏休み』。2021年からは“夏休み”だけでなく、“冬休み”の放送もスタートし、現在は年に2回、特番としてオンエアされている。



内容はいたってシンプルで、有吉弘行が気心の知れた仲間たちと休みを過ごす様子に密着するバラエティー。今回は田中卓志(アンガールズ)、ビビる大木、深澤辰哉(Snow Man)、みちょぱ(池田美優)、吉村崇(平成ノブシコブシ)、そしてフワちゃんらとともにハワイで夏休みを過ごすことになった。

しかし放送前、フワちゃんがSNSに不適切な投稿をしたとして問題になり、出演シーンが急遽カットされることになった。

実際に放送された番組を見ると、ロケにフワちゃんが同行していたとはとても思えないほど、ものの見事に存在が消されていた。

一部ネット上では、ところどころ、違和感のある画角やシーンの繋ぎなどがあったという指摘もあったが、これは “フワちゃんを消している”と知っていたからこそ、感じとれたものでもあるだろう。

SNSを見ると、今回の放送には〈すごいな 完全にフワちゃんを無かったことにしてる〉〈ホンマにプロの編集力ってすごいなぁ それを可能にしたソフトを作った人達とか技術の向上に感心する〉〈編集の技術はすごい。画角がおかしいことが多々あったけどほとんど分からなかった。編集スタッフとディレクターがブチ切れながら作業している姿が目に浮かぶ〉〈フワちゃん感じさせなくてマジすごい! 画角は時々おかしいけど、こうも消せるもんなんだねびっくり〉〈フワちゃん…… 消しゴムマジックのスゴさを伝えるために 自らを犠牲にするなんて……〉など、編集者の努力をほめたたえる声があがっている。

ではいったい、この放送の裏ではどんな苦労があったのだろうか。数年前まで都内の映像制作会社に勤め、実際にこうした作業を経験したことのあるというSさんに話を聞いた。

元TOKIO・山口達也の映像をカットすることに

「6年ほど前、私は元TOKIO・山口達也さんの出演部分をカット編集する仕事をしたことがあります。山口さんの不祥事後、テレビ局の人が会社にやってきて、『ちょっと映してはいけないので……』と気まずそうにしていたのが印象的でしたね。

出演者のカット作業ですが、大まかに3つの方法を駆使しました。一つ目は一番シンプル、映っていない映像を使うこと。テレビの収録は複数のカメラで様々なアングルから撮影していますよね。編集ではそれら、ときには10個以上もの映像を同時に再生して見ながら、使うカットを選んでいきます。

そこでまず、山口さんが映っていない映像素材を探していきました。一人ではチェック漏れが起こるので、私の作業する後ろにはテレビ局の人も在中し、一緒に映像を見て、『あ、ここ映っちゃってます!』とか指摘をしあいながら作業をしていました」(元映像制作職・Sさん、以下同)

今回、ネット上では、“フワちゃんが映っているシーンはないのか?”と探すムーブメントが起こり、出演者の有吉も自身のラジオで番組を振り返り、「“フワちゃんを探せ”ということで」「フワちゃんを探したら100万円っていう」と、そのことをイジッていた。だが、誰よりも先に“フワちゃんを探せ”をしていたのは、この映像の編集を担当した人だったはずだ。

「2つ目の消し方は、画角を調整したり、映像をズームして、カットしたい出演者を画面外に追いやる方法です。これもこうしたケースでは多用されますが、やはり映像的に不自然になってしまうことが多い。特にズームをすると画質が荒くなるので、編集者のプライドとしては、あまり多用したくないですね」

今回の『有吉の夏休み』では、やたらと出演者の寄りのシーンが多かったため、この手法が多用されていたと予想される。視聴者からは〈急に不自然なアップになったり画質が荒くなったりするのおもろい〉なんて声があがっていた。

Sさんはこれについて、「ロケ番組など出演者が動き回る映像から、特定の人物が映っていない素材を見つけることは難しい。ズームを多用するのは仕方ないことです」とフォローする。

フワちゃんは“消しゴムマジック”されていない?

「そして3つ目、最後の方法は、映像にエフェクトをかけること。モザイク的な処理もあれば、最近のソフトでは、いわゆる“消しゴムマジック”のように、対象を消すことが可能です。2019年に、映像編集ソフト『After Effects』でそれに似た機能、『コンテンツに応じた塗りつぶし』が実装されました。

ただこのエフェクトは難点が多い。まず、圧倒的に時間がかかります。まったく違和感なく消すとなると、途方もない労力がかかります。映画作品ならともかく、いつも時間に追われているバラエティー番組の現場で、ここまですることはまずないのではないでしょうか。たとえ映画作品でも、後からエフェクトで“消す前提”で撮影した対象者を消すならまだしも、消すつもりがない対象者を後から“やっぱり消す”というのは非常に難しい。“後で消す”場合には、やはりそれなりの撮り方がありますからね。

具体的には、人と人が重ならないように撮影する、カメラを固定、あるいは動かすにしても一定の間隔にして、背景をしっかりキレイに撮影するなど。となると、ロケ番組で動き回るフワちゃんを、この手法で消したとは考えにくいわけです」

Sさんは当時、1分の映像をカット編集するのに、数時間を要していたという。今回放送された『有吉の夏休み』は、約2時間の特別番組のため、「これを編集しろと言われたら、頭を抱えてしまいますね」と苦笑いする。

しかしプロの編集技術と編集ソフトは日々、進化を続けている。リアルタイムで“消しゴムマジック”ができる未来が、すぐそこまでせまっているかもしれない。

取材・文/集英社オンライン編集部

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください