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〈悪質押し買い業者のヤバすぎる手口〉「不用品なんでも買い取ります」のウソ…ツーブロックのヤカラが来訪、日用品には見向きもせず「貴金属かブランド品ないですか?」買い取るまで帰らず消費者庁も注意喚起

集英社オンライン / 2024年9月17日 11時0分

「ご自宅にある不用品なんでも買い取ります」という謳い文句で家を訪れ、貴金属やブランド品などを安く買いたたく押し買い業者。東京都消費生活総合センターによると、押し買いに関する相談は過去5年間で4000件以上にのぼるという。そして今狙われているのは、高騰している不動産を狙った押し買いだ。実際にマイホームを安価で買いたたかれるケースが首都圏で多発している。悪質な押し買い業者の手口とは、いったいどのようなものなのか。

〈注意〉横行する悪質押し買い業者。金や貴金属だけじゃない、彼らが狙うクーリング・オフも適用外なモノとは

家にズカズカ上がってきて「ブランド品があれば買い取れますよ」

8月中旬、首都圏在住のAさん(30代主婦)はポストに投函されていた1枚のチラシを手に取った。チラシにはでかでかと「ご自宅にある不用品なんでも買い取ります」と書かれており、ちょうど近々引っ越しする予定だったAさんは、ものは試しとチラシの買い取り業者に電話をしてみたという。

「リサイクルショップでは売れないようなノーブランドのベッドや洋服、子どものぬいぐるみなどでも買い取ってもらえるのか尋ねてみました。捨てるのもお金がかかりますし、少額でもお金になるなら、と思ったんです。

買い取り業者からは『ノーブランドのベッドだとしても、マットだけなら買い取り可能な場合もありますし、服やぬいぐるみも買い取り可能なので、査定だけでもいかがですか?』と言われました」

無料査定かつ自宅まで出張してくるとのことで、手間もかからないだろうとAさんはその業者に依頼することに。後日、2人の若い男性が自宅を訪ねてきた。

「ツーブロックの黒髪短髪の男性と、体格のいい作業着の男性で、予想以上に強面というか怖い印象でした……。脅されたわけではないのですが、『物はどれですか? 部屋入りますよ』と私の返事も待たずにズカズカ上がっていき、その時点で嫌な予感がしました」

当初予定していたベッドを査定してもらった際も、Aさんには違和感しかなかったという。

「ベッドを見るために寝室に案内すると、部屋の入口からベッドをチラ見して『どちらで買いました?』と尋ねられました。ネットだと答えると、『それは買い取れませんわ。IKEAとかで使用感がなければギリギリ買い取れるって感じですわ』と明らかに興味がない様子でした。

ぬいぐるみと洋服も同様で、買い取れないと言われました。正直、最初の話とだいぶ違うなと思いましたが、もう売りたい物もないので帰ってもらうよう告げました」

突然自宅を訪問し、脅してくる極めて悪質な業者も 

業者の男性らは「ネックレスとかの貴金属類とか、使ってないブランド品があれば買い取れますよ』と言い出し、帰るどころか勝手にリビングに移動したという。

「ギョッとして慌てて追いかけましたが、短髪男性は『あそこの一眼レフみたいなカメラなら買い取れますよ』とか『あのハンドバッグはブランド品ですか? それなら買い取れます』などと繰り返していました。私が何度も『もういいですから』と言っても、帰ろうとはしませんでした。

冷静さを欠いた私は、失っても一番惜しくない一眼レフを売ろうとさえ思い始めていました。運よく旦那が仕事から帰ってきたので売りませんでしたが、あのままだったら言い値で売っていたと思います……」

Aさんの夫が帰ってくると、業者の男性らは「売りたい物もないようですし、帰ります」と言って引き上げていったが、Aさんはあわや一眼レフカメラを手放すところだった。これは典型的な押し買い業者の手口だと、東京都消費生活総合センターは解説する。

「チラシやネットのほかに、突然自宅を訪問する業者もいます。『いらないお皿でも、なんでも買い取ります』などと言って家に上がり込むと、長時間居座り、『(貴金属や宝石を)見せるだけでも見せてください』と言って持ってこさせます。

なかには18金のアクセサリーを1000円で、ブランド腕時計を3000円などの安価で売ってしまったという方もいます。何も知らなそうな高齢者ならより安価で買い取るなど、価格は人を見て判断しています」

ほかにも、売ると言ってない貴金属を持ち帰られた窃盗事件や、業者に脅されるケースもあるという。

「今まさに家に居座られ、怒鳴られたり、机を叩かれたりしているということでしたら、業者から見えないところに行って、すぐに警察に通報してください。こうした押し買いは特定商取引法違反にあたります。もう売ってしまったという方は、センターに相談していただくのが一番早いです。訪問購入も8日以内であればクーリング・オフできますので、そういった相談にも乗っています」

しかし、クーリング・オフですべての商品が戻ってくるわけではないというのが現実だそうだ。

「たとえば、業者側が10点買い取ったのに7点だけしか返さず、残りの物はないと言い張る場合もあります。また、警察に逮捕された場合でも業者が『品物はもうない』と言い張ってしまうと、取り返すことは現実的には難しいです。とにかく悪質業者を家に入れないことが大切です」(同前)

高齢者が住む古いマンションを狙った不動産の押し買い

ここ数年で増加傾向にあるのは、金同様に高騰している不動産を狙った押し買いだという。都内の不動産に関する押し買いは、2019年には30件だったが、2023年には122件に増加。そして2024年は8月までに51件起きている。

「特に都心の築30年以上の古いマンションが狙われることが多いです。品川区、港区、世田谷区などの古いマンションに住んでいる高齢者のもとを訪れ、『マンションの老朽化が進み、価値が下がっていく』『老朽化によるマンション全体の大改修で、負担金として住民も100万円以上払うことになるから、そうなる前に売ったほうがいい』などと持ちかけて不安にさせ、相場の半分ほどの値段で買い取っています。

ひどい場合は、相場4000万円のマンションを2000万円で買い取り、リースバックとして売った人がそのまま住む際には、4000万円の価格から算出した家賃を払わせるなどのケースもあります」(同前)

リースバックとは、自宅を業者に売った後、その業者から自宅を借りて、そのまま住み続けられるという仕組みだ。適正な買い取り価格と家賃であれば、手元にまとまったお金ができるというメリットはあるが、悪質業者は、自宅を安く買い叩いたうえ、さらに法外な家賃をふっかけてくるというのである。

あとから安価でマンションを売ってしまったと気づいても、不動産売買になるとクーリング・オフは適用外だ。それだけでなく、警察に行っても法律的に違法となるケースは少ないという。

「不動産売買に関しては、契約と同時に手付金が業者から支払われます。手付金を受け取った後に契約解除をすると民法では『手付倍返し』があるため、たとえば50万円の手付金なら、その倍である100万円を業者に払わなければいけません。そうすることで、業者は家が買えなくても、手付倍返しで違法性なく儲かるんですよ。

持ち主が高齢者で認知的な部分に疑いがある場合は、弁護士を立てることで契約成立直後でも取り戻せることもありますが、その場合は費用も時間もかかります」(同前)

悪質な業者は様々な手でお金を騙し取ろうとしてくるので、十分気をつける必要があるだろう。

※「集英社オンライン」では、悪質な押し買い業者にまつわる情報を募集しています。下記のメールアドレスかXまで情報をお寄せください。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

X
@shuon_news  
 

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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