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「ボコボコにして現金を奪ってこい」「金持ちは偽物でも欲しがる」横行する強盗、さらには詐欺も…ロレックスはなぜ狙われるのか? 進化するコピー商品「デイトナはダントツ人気」出所はあの国から…

集英社オンライン / 2024年9月14日 11時0分

スイスの高級時計「ロレックス」を狙った強盗や詐欺が後を絶たない。9月9日には、偽物のロレックスをSNSで売却し、現金を騙し取ったとして会社員の男性が逮捕された。なぜ「偽物時計」の被害は一向になくならないのか。その背景を探った。

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横行する高級時計「ロレックス」を狙った犯罪

今年1月に宅配業者を装った少年らが東京都新宿区内のマンションに押し入り、住人を刃物で切りつけ、高級腕時計「ロレックス」などを奪った事件で、9月13日、警視庁は新たに指示役と見られる米重友己弥容疑者(住所不定・職業不詳)を強盗致傷と住居侵入の疑いで逮捕した。

米重容疑者は、実行役の少年らに対し、秘匿性の高いチャットアプリ「シグナル」などを使い、「ボコボコにして現金を奪ってこい」「太ももを何回か刺せ」などと指示を出していたという。

昨今、ロレックスを狙った犯罪が後を絶たない。昨年5月には、東京都中央区銀座にあるロレックス専門店に仮面姿の男らが押し入り、腕時計など74点(約3億円相当)が奪われる事件が発生したことも記憶に新しい。

また、強盗だけでなく、ロレックスを対象とした詐欺事件も急増している。

9月9日、偽物の高級腕時計「ロレックス」をSNS で売却し、現金を騙し取ったとして、会社員の伊藤大起容疑者(30)が詐欺の疑いで警視庁西新井署に逮捕された。

「伊藤容疑者は今年3月、青森県黒石市の20代男性に対して、偽物の『ロレックス』を本物と偽り『いま売ると1500~1800万円になる』と信じ込ませて、170万円で売却。その後、腕時計を購入した男性が質屋で鑑定したところ、偽物と判明したようです」(テレビ局社会部)

クオリティの高い偽物が出回る「素人では、見分けることが困難」

高級腕時計に関わる詐欺事件は、今回に限った話ではない。昨年7月、フリマアプリで偽物のロレックスを正規価格の30分の1の値段で販売した会社員の男が、商標法違反の疑いで富山県警に逮捕された。

また同年12月には、質店で偽物の腕時計1点を本物であるように装って買取りを申し込み、現金140万円を騙し取ったとして、イベント会社の男が宇都宮東警察署に詐欺の疑いで逮捕されている。

「こうした詐欺行為をはたらく者たちは、『ロレックス』を中心に偽物を集めますが、近年爆発的に価格が高騰した『パテック・フィリップ』や『オーデマ・ピゲ』なども扱っています。どれも素人では見分けることが困難なほど、精巧に作られています」(時計商)

コロナ禍以降、右肩上がりだった高級時計市場。一次流通が品薄になることで、二次流通のブームをもたらし、価格も上がり続けた。しかし、近年価格は下がり、高級腕時計バブルの終焉を予期させている。

それでも、いまだになくならない「偽物時計」の売買。その背景には何があるのだろうか。

「偽物の高級腕時計を使った詐欺は昔から横行していますが、近年は偽物のクオリティを少しでも上げるために、本物を解体して(時計の)構造を研究する人たちがいる。その結果、よりクオリティの高い偽物が増産されており、海外のインターネット通販で気軽に購入することができてしまいます」(同前)

偽物の時計を扱う中国のインターネット通販サイトでは、より本物に近い時計から「N級」「S級」「A級」とランクごとに販売されており、誰でも容易に購入することができるという。

N級のなかには、技術の進化により、買い取り屋でも中を開けないと本物か偽物かまったくわからないほど質の高いものも存在しているそうだ。

 消費税の還付を利用した詐欺も

高級時計の購入先は、もちろんネット通販だけではない。韓国では、あちらこちらに偽物の時計やカバン、財布などが販売されている。近年の韓国ブームも相まって、詐欺ではなく個人で使用するために、金額的にちょうどよい偽物を買う観光客も増加しているようだ。

今年3月24日、韓国関税庁(KCS)が2018年〜2023年の5年間に押収した偽ブランド品を公表。それらを正規品の価格にすると、約2兆1000億ウォン(約2400億円)に達することがわかった。これらは韓国で販売されているものだが、製造ルートを調べてみると、中国産が約1兆8000億ウォンと大半を占めるという。

韓国・東大門にあるデパートの一角で偽ブランド品を販売する店の店長A氏は、「日本人の中でも、意外な人が買っていく」と語った。

「コピー商品は、一般的に高級時計が欲しくても買えない学生やフリーターなどが購入すると思うでしょうが、意外とお金持ちのお客さんも多いんです。うちの場合、時計は3万円から、高くても10万円しないくらい。ロレックスの『デイトナ』はダントツ人気で、あとはパテック・フィリップ『ノーチラス』、オーデマ・ピゲ『ロイヤルオーク』などは定番で売れますね。

さらに、うちは自社工場で作っているハイクオリティな時計やカバンも扱っています。そのぶん、ほかの偽物と比べて値段は倍以上するのですが……。銀座でスナックを経営するママさんが来店した際に、『偽物でいいのか?』と聞いてみたら、『もう本物のエルメスのバーキンを2個ほど持っているから、あとは偽物でもいいかな』と、いくつか買っていきました」

さらに、高級時計を使った詐欺は、偽物の売買だけでない。時計商は、次のように語る。

「高級時計は、消費税の還付を利用した詐欺に使われていることが多いです。簡単に説明すると、国内から海外に商品を輸出すると、仕入れ時の消費税は全額還付されます。その制度を利用し、日本で仕入れた高級腕時計を香港の関係会社に輸出して還付を受けます。
しかし、その後、実際には現地では販売せず、密輸入で日本に戻すんです。もっと悪質なのは、時計屋が修理品として預かった第三者の時計を、海外に勝手に送ることもある。こうしたことが、ざらに起きている界隈なのです」

先述のとおり、技術の進歩により、本物と偽物の見分けがつきにくくなっているというロレックス。大きな損害を被らないよう、購入の際には詐欺や強盗に十分に注意してほしい。

取材/文 集英社オンライン編集部ニュース班

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