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〈遂に不信任案可決〉“議会解散”か“失職”か…四面楚歌、ボッチだから「斎藤知事の意中が全く漏れてこない」維新は「せっかく手にした席を1年でなくすのはイヤや」自民も戦々恐々と…

集英社オンライン / 2024年9月19日 21時33分

<兵庫・斎藤知事はなぜ辞めない>「冬のボーナス欲しさ?」「百条委消滅による疑惑解明作業の終結狙い?」県議全員の辞職要求でも知事職に居座るワケ〉から続く

パワハラやタカリ、公金不正支出にこれらを告発した幹部職員に不当な人事報復を加えた疑いもある兵庫県の斎藤元彦知事。知事に対する不信任決議案が9月19日、県議会で全会一致で可決された。就任から3年、選挙で推した維新や自民党の一部議員も含む86人の県議全員からの辞職要求だ。10日以内の県議会解散か失職の選択を迫られる斎藤知事は弱気な言葉も漏らし始めたが、議会解散に打って出るとの見方が消えたわけではない。問題は、斎藤知事に相談する相手が全くいないことだ。



<決定的瞬間>不信任決議案が全会一致で可決された瞬間、前を見据える斎藤知事と賛成の白票だけになった投票箱

 

次の焦点は知事が失職を受け入れるか、それとも議会を解散するか

19日午前に開幕した県議会の冒頭、斎藤知事は今回の問題について「多くの県民の皆様にご心配をおかけしていること、改めて心よりお詫びを申し上げます」と述べて一礼をしたが、続けて県政改革に注いできた自身のこれまでの努力を強調した。

その上で「調査に誠実に対応し、県民の皆様への説明責任を果たしていくこと、そして、反省すべき点、改めるべき点をしっかりと受け止め、日々の仕事に活かしていくことが県政を前に進めていく上で大切であるという風に考えております」と述べ、辞職する意向はないことを改めて表明した。

この日、知事が議場で今回の問題に触れたのはこれだけ。夕刻になり、最大会派自民党の議員が全議員を代表して不信任決議案の提案理由を述べたのに続き、他会派や無所属の計6人が賛成討論を続けた。
「組織のトップとして、政治家として(知事には)事態の収拾に努めなければならない責任があった」

「知事の側近の前総務部長は告発者の個人情報を持ち歩いていたとの情報もある。組織として最悪の事態だ。ガバナンスが崩壊している」

1時間以上にわたり行政の責任者として失格だという厳しい言葉を聞かされる間、斎藤知事は両手の指を組み正面を見据えながら、感情の乱れを見せるようなことはなかった。

結局86人の議員全員が賛成票を投じ、現行憲法下で5例目となる不信任案可決が現実のものに。次の焦点は知事が失職を受け入れるか、それとも議会を解散するか。過去4回の知事の不信任案可決の事例ではいずれも知事が失職を選んでいる。

自分を非難する討論と採決の間、一言も口を開く機会がなかった斎藤知事は、閉会直後、記者団の取材に応じたが、その場で今後の選択を明言することはなかった。

「(不信任案可決は)大変重い議会側の選択で、私にとっても非常に重い。しっかりと考えることが大事です」(斎藤知事)

 「私は無所属で出さしていただきました」

一方で斎藤知事は、このような事態になった理由をどう考えているのか、と心境を問う質問に「こういった状況になった結果責任は(私に)ある」と、自身の責任に触れる発言も始めた。これを聞いた記者団には、知事は失職に傾いているのではないかとの見方が広がったが、知事はこうした考えを認めることはなかった。

一方で目を引いたのは、今後の選択を相談する相手はいるのか、との質問に「この問題は政策ではなく、知事としての対応の一番大事な政治的な話になるので、ここはやっぱり私が自分の中でしっかり判断していくことが大事です」と答えたことだ。実はこれが、現在の兵庫県議会関係者が一番頭を悩ませている部分だ。

「身内っていうことがどういうことかって、私はちょっと分かりませんけども、前回の選挙で私は無所属で出さしていただきました」

大阪府の吉村洋文知事は斎藤知事の今後について「職を辞して信を問うべきだ」と表明している。このことについて前日の18日午後、記者が斎藤知事に対し「身内である維新からこのように言われていることをどう思うか」と尋ねると、自分は無所属で勝ち上がってきたと強調し、吉村知事の指示に従ういわれはないとばかりの答えを返している。

「せっかく手にした議員の席を1年ちょっとでなくすのはイヤや」

総務省から大阪府財政課長に出向して吉村知事の下で働き、そのまま3年前の知事選で維新の推薦を受け兵庫県知事に当選した斎藤知事にとって、吉村知事は「上司」のような存在。

兵庫県知事就任後も、吉村知事に合わせた上京日程を組んだり、全国知事会議の際に一緒に食事をしたいと言ってスケジュール変更を周囲に強いたりしたといった逸話もある。その吉村氏を代表とする維新は、斎藤知事の疑惑を調べる兵庫県議会の調査委員会(百条委)に反対するなど最後まで斎藤知事をかばってきた。

しかし百条委でパワハラやタカリが次々と明るみになり、守り切れないと見た維新は手のひらを返した。9月9日に他会派に先駆けて知事に辞職要求を突きつけ、火の粉を振り払うのに必死だ。

「維新は昨年の統一地方選で県議席が4から21に増えました。ところが斎藤知事の問題で、最後まで擁護したことに加え、県内が地盤の比例近畿ブロック選出の掘井健智衆院議員が、知事の疑惑を告発した後、人事で報復されるなどして自死した元県民局長Aさん(60)の個人的な情報とされるものを有権者にペラペラしゃべっていたことが発覚しました。

世論の強い批判が党に向いています。知事が失職でなく議会解散を選べば、1年生県議の多くは落選するとみられ、『せっかく手にした議員の席を1年ちょっとでなくすのはイヤや』とパニック状態ですね。だから知事には何としても解散はやめろと圧力をかけています」(県OB)

実は、自民党も事情はあまり変わらないという声がある。

「議会解散、県議選となれば維新の議席の多くは自民党のものとなり、結果の見通しはそれほど暗くないでしょう。しかし、実際には自民党にこそ斎藤知事の“製造者責任”があるとの見方も根強いです」と話すのは野党系の県議だ。

「自民党は3年前の知事選で、井戸敏三前知事が後継指名した候補を支援すると県連が決めました。しかし県議11人がこの決定に造反する形で斎藤氏を担ぎ、斎藤知事誕生につながったんです」(県政界関係者)

当時は歴史的に不人気な菅義偉内閣の下で、自民党が選挙で負け続けていた時期だった。

「兵庫の知事選で負けると政権は目も当てられないことになる状況でした。井戸前知事の後継者と目された当時の副知事は官僚としては優秀なのですが、政治家としては押し出しが弱いという印象があり、必ず勝てるという空気ではなく心配する声がくすぶっていたようです。そこへ維新と関係の深い菅総理と、二階幹事長から『斎藤で行け』という指示と選挙資金がどーん、と降りてきたんです。県連の決定が東京にひっくり返され、分裂した自民の中で維新と組んだ一派が本物の県政与党となったわけです」(県関係者)

“牛タン倶楽部”も離れ県職員ともコミュニケーションがない状態 

実は斎藤知事は「自民党と維新の期待に応えられなくて泣いた」と評判になった9月11日の記者会見で、声を詰まらせながらこんなことを言っている。

「申し訳ないという思いですね…。3年前に会派を割って、本当に重い重い、重い決断で当時石川先生や内藤兵衛先生らですね。若手も含めて重い決断を頂いた。今百条委の委員長の奥谷先生もそうですけど。その先生方の重い決断の中で、私に対して出馬要請をしていただいたと…」(斎藤知事)

ここに名が挙がった石川憲幸、内藤兵衛、奥谷謙一の各県議はいずれも県連から造反して斎藤候補を推した11人組の一角だ。自民会派の重鎮である内藤氏らの名をわざわざ口にしたのは、自分を見限ったことへの恨み節と自民党は受け取っているという。

「内藤氏や石川氏らは個別に斎藤知事に電話をかけるなどして辞職するよう求めているという話が自民党の中では回っています」と党関係者は話す。

だが、維新と自民の双方とも最大限の圧力をかけながらも、斎藤知事が言うことを聞くのか、逆ギレして解散を宣言するのか、いまだに見通しをつけられないのだという。

「知事からは今や、片山安孝元副知事(7月末に辞職)ら“牛タン倶楽部”と呼ばれた側近らも離れ、他の県職員ともコミュニケーションがない状態です。完全な四面楚歌で相談する人もいないので、何を考えているのか情報の漏れようがないといった感じです」(県関係者)

解散か辞職か。これだけの混乱の着地点が本当にたった一人の意中で決まる。その結末が近付きつつある。

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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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