〈ディズニー値上げ論争〉大スキすぎて舞浜周辺に引っ越してきた“ガチ勢”は「値上げ」と「年パス廃止」をどう思うか?「もともとお金のかかる趣味で高所得者向けですから」と話すもホンネは…
集英社オンライン / 2024年9月23日 10時0分
多くのファンを抱えることから、ネット上でも常に注目を集めている東京ディズニーリゾート。しかし、昨今では入園料の値上げや複雑なシステムの導入など、何かと賛否を招くことも多い。先日も「若者のディズニー離れ」といったワードが、Xのトレンド入りして大きな話題になったばかりだ。
高額チケットで若者が敬遠?
発端となったのは、ニュースサイト「ピンズバNEWS」 が9月13日に配信した《若者のディズニー離れが進む 10~30代の利用者は約10%減 TDR知識王が語る分岐点「大人料金が1万円を超えた時」》という記事だ。
同記事は、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドが2024年3月期に発表した決算にて、純利益1202億円と過去最高益を記録したことを紹介。一方、来園者に占める18歳~39歳の割合は2023年度で41%と、50%台で推移していたコロナ禍前から10ポイント近く下がっていることから「若者のディズニー離れ」を指摘した。
この主な要因として挙げたのは、最高で1万円を超えるようになった入園料金だ。これに対して、Xではトレンド入りするほどの議論に発展した。
《入園料が高くなったことに加えて、ライト勢が気軽に楽しむにはシステムが難しくなりすぎてる》
《料金だけを若者のディズニー離れの原因と断言するのは間違っている》
《「金が無いから」ではなく、コンテンツに魅力を感じなくなっているのかも。ほぼ同じ料金のUSJは右肩上がりだし》
《マス層が金払えなくて行けなくなってるだけで、コア層はしっかり金払って楽しんでる》
こうした“若者のディズニー離れ”をめぐる議論に、来園者はどのような思いを抱いているのか。残暑の厳しい9月中旬、パーク最寄りの舞浜駅周辺で本音を聞いてみた。
悲喜こもごもの来園者と冷静なガチ勢
「最高1万円は高いと思うけど、2年に1回とかしか来ないから我慢はできる。たぶん1万5千円までは今のペースで来ます。それ以上になったら減るかも」(30歳女性・会社員)
「チケ代は高いと思うし、自分から誘ったりはしない。でも人から誘われたら行く。7000円だったら自分からも誘って年2~3回くらいは行くかも」(23歳男性・大学生)
「1人あたりじゃそこまでの値上げ幅じゃなくても、家族だとチケットなり食事なりお土産なり積み重なってけっこう高くなりますから、前より行きづらくはなったとは思いますよ。子どもが行きたいって言っても、親としては『それだけ高いなら別のテーマパークとか観光地じゃダメ?』ってなりますよね」(40代男性・会社員)
現在、東京ディズニーリゾートは繁閑によってチケットの変動価格制を採っており、取材した日は1dayパスポートが大人8400円だった。この日にパークに訪れた来園者は、価格を気にして安い日を選んだのかもしれない。
一方で、東京ディズニーリゾートが好きすぎて、地方から舞浜近郊に引っ越し、パークに頻繁に来園する“ガチ勢”は値上げについてどう感じているのか。さぞショックを受けていると思いきや意外に冷静だった。
「チケット以外にフードとかも軒並み値上がりしていますが、値上げだけして品質はそのままな飲食メーカーとは違って、そのぶんきちんとクオリティも上がっているんですよね。そもそも、日本は燃料費から資材から人件費とあらゆるものが値上がりしていますし、フードもアトラクションもショーも、クオリティを保とうとしたらチケット代に転嫁せざるを得ませんよ。
『殿様商売』なんて言われるけど、ディズニーってもともとお金もかかる趣味で高所得の人も多いので、チケット代値上がりのダメージはそんなにないのかなと」(30代男性・自営業)
別のガチ勢からも、値上げに対しては肯定的な意見が上がった。同ガチ勢は値上げのほか、通称“年パス”こと年間パスポート廃止の影響についても語ってくれた。
年パス勢の現在は……
年パスとは、一部の除外日を除き、有効期限1年で好きなタイミングに入園できる定期券のようなもの。2020年に廃止され、ファンの間ではいまだに議論が交わされているが、これは「経営判断としては正しかった」とファンは指摘する。
「年パス廃止後、オリエンタルランドが過去最高益を出しているのが答えですよ。年パス勢ってレストランだけ来たりグッズだけ買ったり、園内を散歩する人とかもいるんですけど、じゃあその人がどれくらい売上に貢献しているかっていうと……。レストランだけ来たって1食2~3000円くらいだし。それなら年に1回しか来ないけどグッズを買ったりする人のほうがお金を落としています。
もともと年パス勢って、パレードで早くから最前の席取りしてずっと待機するような人もいたんですよね。でも、そうすると家族連れは後ろでしか見られないとかあまり楽しめないし、それで次に来るのが数年先になったりしたら、オリエンタルランドとしては顧客を逃すわけです」(30代女性・飲食業)
とはいえ、気軽に入れた年間パスポートの廃止は、利用者にとってさぞ残念だったことだろう。しかし意外にも、こうしたファンは廃止に伴う別の楽しみ方を確立しているのだという。
「年パス廃止で行きづらくなった人の楽しみ方として、周辺の施設を利用するっていうのがあります。隣にあるイクスピアリだけでも雰囲気はあるし、ショップのボン・ヴォヤージュとかは入園しなくても買い物できるので。
パーク周辺を走るディズニーリゾートラインに1日700円のフリーきっぷで乗って景色を楽しんだり、途中下車したりするのもいいですよ。内装がミッキーモチーフになっていたりBGMもディズニーで、アナウンスがキャラクターだったりとか乗ってるだけでも楽しいんですよね。やっぱり、ゲストをおもてなしすることには本当に手を抜きませんから。
あとは園外のホテルで楽しむ人もいて、レストランに行ったりラウンジでアフタヌーンティーやお茶をしたりとか。たとえば、今だとハロウィーン限定のアフタヌーンティーもありますね」(同前)
制度の変更があれば、それに合わせて違った楽しみ方を開拓する……。どこか“強がり”にも聞こえるが、ディズニーというコンテンツを心から愛好する“ガチ勢”にとって、値上げや年パス廃止はそれほど大きな問題ではないようだ。こうしたファンに支えられている間は、東京ディズニーリゾートも安泰かもしれない。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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