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〈相次ぐトクリュウ緊縛強盗〉「痛い痛い」とグルグル巻きの女性、元自衛官も被害に…事件前、近隣の家に不審者が現れ「リフォームは大丈夫ですか?」「一度庭をみせてください」

集英社オンライン / 2024年10月3日 11時0分

「闇バイト」で集まったとみられる男たちが住宅に押し入る強盗が、首都圏で3件立て続けに発生した。このうち埼玉県所沢市で10月1日未明に起きた事件について埼玉県警捜査1課は20代の男2人と40代の男の計3人を強盗致傷などの容疑で逮捕した。現場近くから、前日未明に東京都国分寺市の住宅で発生した強盗現場から逃走したとみられる車2台が見つかった。また、9月28日未明には練馬区でも同様の手口の強盗事件があり、警視庁と埼玉県警が関連を調べている。

〈画像多数〉逃走する強盗団(防犯カメラ映像より)

事件の10日ほど前の深夜、私の家でもガチャガチャと…

捜査関係者によると、所沢市北野町の住宅に1日午前2時10分ごろ、男4人が1階勝手口の窓ガラスを破って侵入、住人の男性(85)と妻(83)の手足を粘着テープで緊縛。

このうち男性に刃物で切りつけて全治約2週間のけがを負わせたうえ、現金8万円を奪って逃走した。

男性は侵入時の物音に気づいて110番通報しており、現場に急行した警察官が逃げ遅れた前橋市の飲食店店長・海藤貴志容疑者(43)を現行犯逮捕。

同4時40分ごろ、現場にタクシーで戻ってきた神奈川県小田原市の自称アルバイト、佐藤聖峻容疑者(24)と、付近をうろついていた自称住所・職業不詳、和佐裕夢容疑者(28)の2人を確保して職務質問し、通常逮捕した。

3人とも「秘匿性の高い通信アプリで仕事を受けた」と容疑を認め、国分寺市の事件についても関与をほのめかしており、県警は逃走したもう1人の行方を追っている。

「前日の9月30日未明には、国分寺市西恋ヶ窪の住宅に数人の男が押し入り、住人の60代女性の顔面などをハンマーで殴ったうえ粘着テープで縛って逃走しています。

逃走時に分乗した筑豊ナンバーの乗用車と春日部ナンバーの軽乗用車が、所沢の事件現場から徒歩約10分程度のコンビニの駐車場で見つかりました。

いずれも本人や親戚の名義の車で、アシが付くことを恐れない大胆な犯行というより、素人丸出し感があります。

3人ともSNSで闇バイトに応募し、指示役に身分情報を握られたために抜け出せなくなったと供述しています。典型的なトクリュウ(匿名・流動型犯罪グループ)の手口ですね。

9月28日未明にも練馬区大泉町の住宅に数人の男が侵入する強盗事件が発生、警視庁が実行役3人を逮捕し、現場から逃げた2人の行方を追っています。

この3件に加え、最近首都圏で頻発しているトクリュウ型の強盗事件について、指示系統に関連性があるかどうかなどを捜査当局の広域捜査担当が分析を進めています」(社会部事件担当デスク)

国分寺市の現場は、JR西国分寺駅から徒歩約10分の住宅街で、一軒家の立ち並ぶエリア。被害者宅が取り立てて目立っているということもなく、近くに住む女性もこう表情を曇らせた。

「事件当日は何か物音がしたとかそういった事には気づかなかったのですが、朝早く出かける主人が『外にパトカーが何台も停まっている』と驚いていました。

被害者の60代の女性は一人暮らしで、10年ほど前にお父さんを亡くされて、お母さんも1年ほど前に亡くされたようです。お父さんは警察官だったとも聞いたことがあります。

実は事件の10日ほど前の深夜、私の家でもガチャガチャと何かを鳴らす物音がしたことがあり、主人と『何の音だろう』と話したことがありました。その時は何の音か分からなかったのですが‥‥」

「指輪はないのか? 宝石はないのか?」と、とにかくしつこかった

翌日、見たこともない若者が訪ねてきたと思ったら、奇妙なことを言い出したという。

「若い男性が『昨日酔っ払って自分のバッグをおたくの庭に投げ入れてしまったので、庭を見せてほしい』と突然来訪してきたんです。

ごく普通の好青年風でしたが、近所で見かけたこともない人だし、庭に入れるのには抵抗があったので『バッグなどありませんでしたよ』と断ったのに、『一回庭を見せてください』としつこいんです。

それも外から投げ込んでもそんな方向にはいかないだろうというところを見たがるので『もし見つかったら警察に届けます』と告げると引き上げていきましたが、下見のような気がして気持ち悪かったです。

3月には『押し買い業者』が電話をしてきて、手口がよくわからなかったのでつい家に上げてしまったことがあります。その時はサンローランの服を100円で何着か売りましたよ。

『指輪はないのか? 宝石はないのか?』ととにかくしつこかったです。どこから個人情報が漏れるかわからないので怖いですね」

別の近隣女性も怯えたような眼差しでこう答えた。

「物音にも気づかなかったし、事件直前に不審な人を見かけたわけではありません。でも、今年に入ってから被害者のお宅にリフォームが入っていて、その業者が『○○さん(被害者)のお家を直しに来ているんですが、お宅は大丈夫ですか』とウチにも営業に来たんです。

屋根は気づかないうちに傷んでいることもあると業者が言うので、登って見てもらいました。

でも『ご主人の仕事は何ですか?』とか関係ないことばかり根掘り葉掘り聞くので、怪しいと感じて断ったんですよ。

しかも作業中に通りかかった近所のおじいちゃんが『ウチはやらねえから来んじゃねえ』と文句を言っていたぐらいなので、何か揉めたのかなとも思いましたし……。とにかくそういうところから情報が漏れてるなら私も怖いなってちょっと思ってます」

「巻かれたガムテープも取ろうとしたのですが、かなり複雑に巻かれていた」

新聞配達の途中、被害者の女性を見つけて通報した20代男性はこう振り返った。

「パジャマ姿で歩いてる女性に突然助けを求められたんです。サンダル履きで、服もぼろぼろで、口にはガムテープを貼られていました。

よく見ると両手も粘着テープでグルグル巻きにされ、顔には大きなアザがありました。

怖くて最初は躊躇してしまいましたが、意を決してまず口のガムテープをはがすと、女性は『強盗にあった』と言い、とにかく『痛い痛い』と辛そうでした。

後ろ手に巻かれたガムテープも取ろうとしたのですが、かなり複雑に巻かれていたのと、女性が痛がっていたのであきらめて、警察に通報しました」

所沢の被害があった家の近隣住民は事件後に、夫婦の安否確認をした後、安堵の表情でこう話した。

「腕に包帯グルグル巻きで、顔にも怪我があるのか帽子を目深に被って隠していたけど、無事な様子だった。

『迷惑かけたな。大丈夫だよ』ってご主人は言っていた。そう。迷惑なんてとんでもないし怖かったはずなのにそういう風に言う律儀な人なんだ。本当無事で良かった。

彼はいつもこれどうぞって色々食べ物とかも持ってきてくれたりしてくれて、優しい人だよ。元自衛隊で、今は奥さんと二人暮らしで、たまに子供が遊びにきてる。

もし容疑者が事前に情報を取ってたなら他の周辺の家は4人家族とかが多かったから2人で狙いやすいと思ったのかもしれない。それにこの辺は夜は真っ暗で目立たないからな」

特殊詐欺や緊縛強盗など、卑劣なトクリュウ型の凶悪犯罪が後を絶たない。地道で的確な捜査に期待が高まっている。

※「集英社オンライン」では、今回の事件についての情報を募集しています。下記のメールアドレスかXまで情報をお寄せください。
メールアドレス:
shueisha.online.news@gmail.com

X
@shuon_news 

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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