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〈10年間で3億円を売り上げた出会い喫茶が摘発〉マジックミラー越しに待機女性がズラリ…アプリ全盛時代に”パパ活女子”たちが店に通うワケ「お茶やご飯はタイパが悪い。”大人じゃないと」

集英社オンライン / 2024年10月8日 17時0分

「出会い喫茶」「出会いカフェ」などと呼ばれる店舗の店長ら関係者が9月30日、売春防止法違反の疑いで逮捕された。この店長は店に来た女性に売春をしない契約書を書かせていたが、今年5月と7月に男性客と女性を引き合わせたことが逮捕容疑となった。大阪簡易裁判所は10月1日、店長に罰金5万円の略式命令を出した。「集英社オンライン」で執筆する風俗業界に詳しい40代ライターは「でも出会いカフェは昔からそんなところだよ」と笑いながら話す。いったいどんなところなのか。Z世代の記者が店舗に潜入してみた。

【画像】売春の温床? 記者が潜入した出会い喫茶「男性客の特徴と行動」

男性客は50~60代ばかり

略式起訴命令を受けた店長の男は容疑を認めており、月平均で250万円、去年1年間で3200万円ほどを、この10年間では約3億円も売り上げたと供述していた。

「出会い喫茶」とはいったいどのようなシステムなのか。10月のある平日の夕方、都内に展開する某グループ店に潜入してみた。

複数ある中からまず訪れたのは、多くの飲み屋が軒を連ねる池袋の歓楽街にある店舗。雑居ビルの複数フロアで運営する同店舗は、初回に必要な入会金が2500円、入室料が2500円という金額設定になっている。

受付で初来店である旨を伝えると、強面だがくたびれた印象の初老店員からこんな説明があった。

「別室にはマジックミラー越しに女の子がいて、壁には座席表とプロフィールカードがあるから、好みの子のカードと、あだ名や料金、外でのプランなど希望する条件を記入した紙を持ってきてください。

その後は10分間無料のトークタイムで、ここで条件が合えば退室料2500円を払って、あとは2人で自由行動。条件が合わなければ違う子とトークしてもらって大丈夫です」

入会金と入室料を支払うと、女性たちがマジックミラー越しに見える部屋へ。恐る恐るドアを開けると、そこに広がっていたのは異様な光景だった。

まず気づくのは、利用者の圧倒的な年齢の高さだ。数人いた客はみな50~60代ほどの中高年男性。貼り紙では客同士の会話が禁じられているため、互いに言葉を交わすことなくひたすら女性を凝視しており、かなり殺伐とした空気だ。

クタクタの格好で清潔感がない男性が多く、なかには歯がない男性もいた。店内の有線放送では70~80年代の懐メロばかり流れていたのも、妙に納得がいってしまった。

 一方、5人いたマジックミラー越しにいた女性たちは、客側より高さのある位置に並んだ座席に座っている。彼女たちは向けられた視線に気づくことなく、一様にスマホをいじっていた。

時折、無料のドリンクを取りに部屋の外にあるドリンクサーバーへと立ち上がるのだが、ある男性客はすかさずしゃがみこんでスカートの中を覗き込み、女性との縁遠さを際立たせていた。

女性にとって出会い喫茶は好都合

女性たちのプロフィールカードには「食事・お茶・お酒・カラオケ」などさまざまな“デートプラン”に丸がついていたが、スタッフは、「だいたいパパ活ですから」と意味深な発言をする。

約10分ほど店内を見渡したが、長考する客が多いのか、自分より先に入店していた男性は全員動く気配がない。

彼らを横目に、「21歳・学生」、「30歳・会社員」といった女性の中から、アリアナ・グランデ似の「24歳・音楽関係」という女性を指名した。

そのまま、カーテンで仕切られたファミレスのボックス席ほどの、2人用の狭い個室へ案内される。ここで話がまとまれば退室料を払い、店外で“自由行動”の流れだという。

女性が「こんにちは~」と明るく入室してくる。さっそく取材のため一緒に退室したいとの希望を伝える。ちょうど早めの夕食時だったこともあって女性も納得してくれ、近くの飲食店へと向かった。

彼女はとても明るく、あけすけで、まずは実年齢が35歳と10以上サバを読んでいたことをぶっちゃける。また、音楽関係というのは前職であり、児童向けに簡単な音楽を教えていたことや、出会い喫茶に流れてきた理由も語ってくれた。

「“長めの夏休み”かな。いろいろやってきて疲れたから、今は仕事をしてなくて。でも、ただ生きていくだけでもお金は減っていくから、ちょっとでも貯金が減るのを遅らせようと、出会い喫茶に来ている感じ。

ペースでいうとだいたい週1くらいで、本当に休みつつ、気が向いたら出てる。私、若い頃からキャバクラとか10年以上やってたからけっこう貯金があって、金欠になるまではこの生活でいこうかな(笑)」

女性いわく、出会い喫茶は女性側にとって、気軽に稼げるツールだという。

 「出会い喫茶って、最初に身分証出して登録さえすれば、あとはいつ出入りしてもいいんだよね。だから起きてから『今日は行こうかな』って決めたりできるし、お菓子・飲み物が飲食自由でスマホの充電もできるから、家にいるのと変わらないのに稼ぐ機会になるの。

途中で飽きたら帰ればいいし、交渉成立ならお金になって、都合に合わせやすいのが他の業界と違うところかな」

“出会い”でいえば、近年、パパ活などの手段として、若い女性はマッチングアプリを用いるケースが少なくない。こうしたなかであえて出会い喫茶を選ぶのはなぜか。

「アプリと違うのは手っ取り早さ。アプリだとマッチしてメッセージして会う約束して……って面倒だけど、出会い喫茶なら会うのも交渉もその場でしょ? あとは『この人はきしょいからムリ』って思ったら断れるのもすごくメリット」

取材を終えると女性は再び出会い喫茶へ戻っていった……。

「“大人”希望じゃないとちょっと…」

ところ変わって、こうしたグレーな業種の店舗がひしめく夜の街・新宿、歌舞伎町。こちらのグループ店も利用者は池袋と同じような男性ばかりで、入れ替わり立ち替わり客が押し寄せてくる。

女性の数・系統も先ほどとほぼ同じだったが、ここでは、やや事情の異なる様子もうかがえた。

まず10分のフリートークで話を聞いたのは、プロフィールに「21歳・学生」と記載されている女性。地下アイドルのようなロリ系黒髪の彼女だが、左腕には複数のリストカットの痕が目立つ。

なぜ出会い喫茶を利用しているのか話を聞くべく、「取材もかねて夕食にでも行きましょう」と伝えると、彼女は困惑を隠さなかった。

「え……ご飯だけ希望ですか……? 私はお金が欲しいから、“大人”希望じゃないとちょっと……」

続いて金髪ギャルの「23歳・フリーター」とトークをしたが、ここでも同じような回答があった。

「今から食事とかお茶って、ちょっとそれは……。食事だけのパパ活でも1時間とか拘束されるけど、それでもらえるのは数千円だからタイパが悪い。“大人”ならどんなに安くても1.5(万円)はするから、それで何人か回したほうが全然稼げる」

複数の女性と話したが、彼女たちは経済的な事情から出会い喫茶に登録するケースが多く、多少、要求のハードルが高くとも“稼げる”客が良客のようだ。

また、この金髪ギャル女性は、風俗店やすぐ近くの大久保公園で立ちんぼをせず、あえて出会い喫茶を選ぶ理由についてこう語った。

 「立ちんぼはさらされたり知り合いに見つかったりする可能性もあるじゃん? 風俗は中抜きされるし、きしょい客が来ても断れない。

でも、出会い喫茶なら嫌な客は交渉不成立にできるし、お店にも抜かれないから。暇なときに来るだけでお金になるかもしれないのがちょうどいいの」

今回訪れたのは男性客が女性を選ぶシステムだったが、他社の系列では、マジックミラー内の男性客を女性側が選ぶ“逆ナン喫茶”という店舗も存在しているという。

食事やお茶はともかく、売春は当然犯罪である。このような違法行為を摘発すべく、警察が常に目を光らせていることを忘れてはならない。

取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班

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