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「ナベツネさんがいなくなったら16球団にしようって派閥もある」プロ野球をさらに盛り上げるためのホリエモンの提言

集英社オンライン / 2024年11月1日 19時0分

「独立リーグから直接メジャーも」「ウチはソフトバンクの3軍には勝ってる」独立球団オーナーと『ドラフトキング』作者が提言する日本アマ野球の可能性〉から続く

『ドラフトキング』作者のクロマツテツロウ氏と独立リーグ球団オーナーの堀江貴文氏の野球対談。後編ではクロマツ氏が聞き手に回り、現在の野球人気の理由と20年前のNPB新規参入争いでの裏話を聞いた。さらに、市場規模でMLBに差をつけられているNPBに、堀江氏がモノ申す!

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地方球団はなぜ人気が出るのか

――現在、プロ野球12球団で観客収容率のナンバー1はDeNA。やっぱり地域密着系の地方都市は強いですよね。



堀江貴文(以下、同) だから(2004年の球界再編騒動のとき)仙台(ライブドアフェニックス)は成功するイメージしかなかったです。東京だといろんなエンタメの選択肢があるけど、地方はライバルが少ないから。

――楽天イーグルスもバチッとはまりましたもんね。

僕は最初、(愛媛県)松山市に新規参入の話を持ってったんですよ。坊っちゃんスタジアムの指定管理をウチでやらせてくれって。でもアマチュア野球優先ってことでダメで、次に県営の宮城球場を本拠地にと宮城県知事に話をしにいったら、リノベーションはこっち持ちだけど、年間5000万円で貸してくれると。

「この条件、最高だな」と思ってたのに、楽天に負けてそのまま契約ごと持ってかれちゃった。まぁでも、2004年の球界再編騒動をきっかけにプロ野球ビジネスがめちゃくちゃ盛り上がったから、そのときは結果的によかったかなと思ってたんですよ。閑古鳥が鳴いていたパリーグのチームも、今やどこも大人気でしょ。

――日本ハムも北海道に移転してから劇的に変わりました。

あれはホークス(の福岡移転)を見てたからなんですよ。当時勢いがあったダイエーがホークスを買収して、旅行会社と組んでツアーを企画したり、(ホークス関連の)ライセンスをゼロにして(地元商店街が)勝手にグッズをつくれるようにしたりと、さまざまな施策をやった。

――へ~。

まぁもともとはダイエーの創業者の中内(㓛)さんの息子さん(次男、正)が全米のボールパークを見て、日本にも球団が経営するホテルも併設しなくちゃいけないって「ドーム三点セット」(ダイエーホークス、福岡ドーム、ヒルトン福岡シーホーク)をつくったのがよかったんですけどね。

――それで九州が盛り上がりましたもんね。

地方はエンタメがないから、スポーツエンタメの最高峰である野球を持ってきたらそら(観戦に)行くよねって。それを見てた日ハムの社長は「あ、(間借りしていた本拠地の)東京ドームでやってちゃダメなんだ」と札幌に移転した。

――ズムスタ(カープの本拠地、Mazda Zoom-Zoom スタジアム広島)もつくりがスゴくないですか。

(スタジアム完成前の)2004年当時の広島の売上の内訳はおもしろいですよ。
売上65億円のうち、放映権の収入が28億円、グッズの販売料などで12億円だった。それが2017年には売上188億円と13年で約3倍になっていて、そのうちグッズ売上が3分の1を占める。野球がサッカーと違うところはグッズが売れることですね。

しかもサッカーって(多くて)週2回しかやらない。野球は毎日やってるじゃないですか。それがまたいい。毎日ニュースになるし、よくできたスポーツですよ。

NPBに参戦する方法はふたつ

――今年から(NPBの)2軍に2チーム(オイシックス新潟アルビレックスBC、くふうハヤテベンチャーズ静岡)入りました。

(堀江氏がオーナーの)北九州下関フェニックスの社長(竹森広樹氏)も2軍に参入したかったみたいですけど、落とされたみたいです。たぶんそれは僕の問題。「ホリエモンは絶対入れんな」って。

――やっぱりまだ……?

堀江 ナベツネ(渡辺恒雄)がいるんで、完全に(2004年の球界再編問題を)引きずってると思いますよ。

「福岡はホークスがいるじゃねえか」って言うんで「山口はどうだ」って返したら岩国市にカープ2軍の本拠地(由宇練習場)があるとか、いろんな難癖をつけられて。それなら巨人とヤクルトがいる東京は何なんだって。

――たしかに。

独立リーグやってて思うのは、やっぱり日本人は野球好きだから政令指定都市にひとつずつ球団があっても全然おかしくないし、すっげー盛り上がると思う。

――甲子園があれだけ盛り上がってるのって各県から1校ずつ出てるからだと思うんですよね。地元への愛着も増すやろうし。

でも、楽天の三木谷(浩史)さんやDeNAの南場(智子)さんは増やさない派。「12個しかない免許を取りました」みたいな考えらしいんですよね。だからつまんねーなって。

――(笑)。

(再び新規参入を目指す)道はふたつあって、ひとつはナベツネさんがいなくなったら16球団にしようって派閥もあるんで、そこでいく手もある。王(貞治)さんとかも16球団派ですから。

――そうなんですね。

でもNPBは全体的に体質が古いから、独立リーグのエクスパンション(球団拡張)という形で、台湾や韓国とかと協調してリーグ自体を盛り上げてNPBに対抗するという選択肢もなくはないですよ。

同じような事例で、サウジアラビアの投資省がつくったLIVゴルフという新リーグがPGAツアー(1975年に全米プロゴルフ協会から独立した団体)から有名な選手を引き抜いたりして、それに対してPGAツアーが圧力をかけたりしたんだけど、最終的にPGAツアーとLIVゴルフは合併することになったんですよ。

――すごい話ですね。

サウジアラビアの投資省は大成功ですよね。PGAツアーの筆頭株主になって実質的にオーナーになったわけですから。

――そこまで全部筋書どおりだったら怖いですね。
 

「大谷が日本ハムにいないのは金が払えないから」

――16チームに増やすと、一度レベルは下がるかもしれないけど、すぐ戻ると思うんですよね。

それに16球団になったら年俸が上がるんですよ。メジャーリーグが何であんなに強いかって金じゃないですか。球団数はNPBの2.5倍(30球団)なのに、年俸はNPBの10倍どころじゃない。なんでそんなに差がつくかって言ったら放映権なんですよ。

――村上(宗隆)選手も(メジャー)行くって話ですしね。

そりゃ行くでしょ。大谷見てたら(※村上の2024年の推定年俸がNPB最高の6億円に対し、大谷は100億円超)。大谷が日ハムにいないのは、つまるところ日ハムが金を払えないからです。

メジャーの選手でも移動が長くて食い物があんまおいしくないアメリカより日本で……って思ってる選手はいると思いますよ。実際、僕が球団作ってたらロジャー・クレメンスが来てましたから。

――マジか(笑)。

六本木ヒルズクラブで会って「OK。お前が球団つくったら来てやるよ」ってシェイクハンドしてグローブもらいましたからね。

――えー! 見たかったっすね。

プロのいいところはよくも悪くも金次第で移籍してくる世界だってこと。

メジャーリーグはエクスパンションして、放映権を高く売ることに成功した結果が今の市場規模。NPBの最大の問題点は、メジャーは30球団の放映権を一括管理してるのに、NPBはまとめきれてないこと。もうひとつは放映権が高く売れるポストシーズンがメジャーに比べて盛り上がってないこと。

――クライマックスシリーズはモヤッとするところはありますね。

だから最低でも16球団ですよ。4球団ごとにセ・パ、東・西地区で戦えば文句ないわけじゃないですか。絶対盛り上がりますよ。人気もボンと上がりますし、メジャーで成功したんだからNPBで成功しないわけがない。

――そうですね。

いつになったらそれやるんだろうなって思ってたけど、今の体制だとできねーんだろうなとも思ってる。だから歯がゆいんです。

                 ※

 最後までNPBへの恨み節が止まらなかった堀江氏。しかし、それも野球愛ゆえ? プロアマ含めた野球界の改革が待たれる。

構成/武松佑季

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