英国の名優マイケル･ケイン引退作。実話をもとに老夫婦の絆を描きつつ、強い反戦の意思も感じさせる、骨太な感動作【2度目のはなればなれ】

〈『トップガン　マーヴェリック』でのイヤなヤツぶりは演技だった！　ハリウッド最注目のグレン・パウエル主演・製作・脚本による傑作クライム・コメディ【ヒットマン】〉から続く

イラストレーターのともゑさんが、心に響いた映画をイラスト絵日記にするシリーズ。今回は、2回のオスカーに輝く名優2人が、50年ぶりの共演で2度目の夫婦を演じて、感動もダブル！

英国の至宝ともいうべき存在

イギリスの老人ホーム、素敵です

古参兵のじいさまたちの姿が胸を打つ

人生も俳優業もやり遂げた

『2度目のはなればなれ』（2023)　The Great Escaper 上映時間：1時間37分／イギリス
監督：オリヴァー･パーカー
出演：マイケル･ケイン、グレンダ･ジャクソン　他

1950年代のデビュー以来約70年にわたり、間諜から執事までさまざまなイギリス紳士を演じてきた名優マイケル・ケインが引退を発表。最後の作品では、昨年他界したグレンダ・ジャクソンと2度目の夫婦役を演じた。実話に基づくドラマだ。
老人ホームで余生を送るバーニー（ケイン）は、ノルマンディ上陸作戦の70周年式典に参加するため、気丈な妻レネ（ジャクソン）をおいて脱走、海を渡って老兵仲間やかつての敵兵と邂逅する。そんな姿がメディアに大々的に取り上げられて…。
老夫婦のほのぼの癒やし映画かと思いきや、凄惨な戦闘を生き延びた兵士が心身に追う傷、銃後で待つ者の悲しみにも焦点を当て、深い感動をもたらす。戸田奈津子さんの軽妙な字幕も味わい深い。