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「十二指腸潰瘍、痔、パニック障害になって…」売れてる人の“体力”を目の当たりにして活動方針を変えたtofubeats。突発性難聴を克服して迎える34歳の現在地

集英社オンライン / 2024年11月4日 16時0分

今年で34歳を迎え、デビューから11年となるDJ、音楽プロデューサーのtofubeats。EP『NOBODY』をリリースし、5年ぶりの全国ツアーを控えるなど、精力的な活動を続ける。彼はデビュー前後に十二指腸潰瘍をはじめとして、数々の体調不良を引き起こしていた。本インタビューでは、前後編の2回にわたってその「不健康遍歴」がtofubeatsの音楽活動にいかに影響を及ぼしてきたのか、振り返っていく。(前後編の前編)

【画像】ネット世代のカリスマとして大学生ながら彗星のごとく現れたtofubeats

ネット世代のカリスマとして台頭…その裏で体調不良

──今年でデビュー11年目ですけど、デビュー前後の時期に、かなり体調を崩してましたよね。

tofubeats(以下同) 21、22歳ぐらいで十二指腸潰瘍になって、痔にもなって。内臓が悪いことによって、パニック障害にもなっちゃって。

──まだ神戸にいた頃ですよね。大学生活の終わりで、メジャーデビューする前の時期。十二指腸潰瘍はストレスが原因で?

いや、原因が見当たらなかったんですよ。インディーで「水星」のシングルを出してて、大学生にしてはそこそこ稼いでて、親もまだまだ元気やし。

原因が見つからないことで、より調子が悪くなっていったっていうのもありました。

そのとき、病院で先生に「自分で知覚できるようなものはストレスではない」と言われたことが印象に残ってるんですよね。いつのまにかストレスが蓄積して、病気になるのか、と納得したというか。

それで治療の一環で、環境を変えた方がいいかなと思い、実家を出ました。その頃から、自分で料理をするようになりましたね。胃に優しいものしか食べられないから、おかゆとか作るしかなくて。豆腐とか別に好きでもなんでもなかったんですけど、病気になってからめっちゃ食うようになって「こんな名前にした呪いや……」って思いましたね(笑)。

当時「カブチネ(歌舞伎町マルチネフューチャーパーク)」っていうイベントに出演したんですけど、普通に楽屋で気絶してしまって。これは結構ヤバいんじゃないかってことで、そのときインターンで入ってた会社の内定も辞退してDJも当分休養、って感じでしたね。唯一、GraphersRock(tofubeats作品のアートワークを手掛けているデザイナー)のイベントだけDJしましたけど。

当時の映像が残っててこないだ見ましたが、ガリガリでびっくりしました。そもそも、しんどすぎてプレイした記憶がないんですよ。

そういうことがあって、「普通に就職して、会社に通うのってムリやな~」と思いました。本当に一番しんどいときって、電車とか乗ってても辛くなっちゃうんですよ。パニック障害があると、オフィスに行くっていうことがまずできないんですよね。

だからフレックスとかリモートワークみたいなことをわりと早い段階から考えてました。時代を先取ってます(笑)。

2018年には突発性難聴を発症

──ネット世代の若きカリスマとして飛躍していた時期だと思いますが、その裏ではかなり大変だったんですね。その後、翌2013年にメジャーデビューするワケですが。

メジャーデビューしてからも、過労でブッ倒れてるんですよ。しかも倒れたのが、森高千里さん(メジャーデビュー曲「Don’t Stop The Music」にて共演)とのライブの前日でした。

夜間病院に運び込まれて、点滴を打ちましたね。その段取りをしてくれたのが、当時のワーナーの担当さんで「ホンマかたじけないです……」って言った記憶があります。他にも、調子を崩したときに支えてくれた人、助けてくれた人はいっぱいいますね。

そんなこともあって、売れてる人には「体力」が必須で、自分にはそれが欠けてる、ということをだんだん認めざるを得なくなって。20代中盤から後半にかけて「自分はマイペースにやっていこう」と活動方針を切り替えた感じですね。

──どの分野でも第一線で活躍されている方って、スキルや才能の前にまずタフですよね。

そうですね。体力っていう面でもそうですし、精神的な面でもそうですよね。藤井隆さん(「ディスコの神様」にて共演)なんかは、今でも毎日すごい本数の仕事をこなしていらっしゃいますし、お仕事でご一緒して、自分にはこれはムリやなっていうのを見せつけらました。

自分以外のミュージシャンに対しても「元気やな~」ってよく思います。同世代のDJにしても、朝まで呑んで騒いで、羨ましいなーって。自分も胃を悪くする前は、普通に飲酒量も多かったですけど。

──お酒は今も完全に断ってるんですか?

養命酒以外はもう全然呑まなくなったんですけど、ここ1、2年は家で奥さんとちょっとだけ呑んでますね。でも本当にそれくらいですね。

──DJとかクラブとかって、基本的に不健康な遊びですよね。普通の人が寝ている時間に踊って騒いで、酒呑んで。クラブでかかる音楽は好きだけど、クラブにずっと居るのはしんどいっていう、そこの両立って難しいですよね。

まあ、それはめっちゃ考えますけどねー、難しいですよね。やっぱりDJイベントは夜中にやらないとやってる感じがしないっていうのもあるし。

ただ、自分はもう耳のことがあるんで、イベントの最初から最後までクラブにいるのは無理なんですよね。結局、クラブというものは楽しめる人だけが残ってそれ以外は淘汰されていく。

──“耳のこと”というのは、書籍『トーフビーツの難聴日記』でも言及されていた、2018年の突発性難聴の発症ですよね。今も完全には治ってはいないんですか。

時期によって変動があるんですよね。今は「症状固定」という安定した状態です。

──パニック障害とか、メンタル面についても20代半ば以降は健康なんですか?

そうですね、この10年くらいはもうめっちゃ健康ですね。

24、5歳の頃、仕事でロンドンに行くときに、当時使っていた睡眠薬が空港に持ち込めない、みたいな話になって。それを大使館と交渉しているときに「なんて無駄な時間なんだ……」と思って(笑)。帰国したら断薬し始め、ジムにも通いだして、それ以来そういう薬も一切飲んでないって感じですね。

だから、20代前半が一番心身ともにキツくて、そこから徐々に回復していって、安心した頃に今度は耳が……って感じですね。

 に続く


取材・文/Kotetsu Shoichiro 撮影/野﨑慧嗣

 

〈ツアー情報〉

「tofubeats JAPAN TOUR 2024」

・チケット先行受付イープラスプレオーダー8月31日(土)12:00~9月8日(日)23:59https://eplus.jp/tofubeats/

・チケット一般発売9月14日(土)12:00

◾️2024年10月11日(金)
大阪Yogibo META VALLEY
開場18:00/開演19:00
[チケット]前売券¥5000/当日券¥6000(各ドリンク代別途必要)
-LIVE-tofubeats- GUEST-UG Noodle,Neibiss -VJ-huez


◾️2024年10月25日(金)
札幌sound Lab MOLE
開場18:00/開演19:00
[チケット]前売券¥4500/当日券¥5500(各ドリンク代別途必要)
-LIVE-tofubeats -VJ-VIDEO BOY


◾️2024年11月15日(金)
恵比寿The Garden Hall
開場18:00/開演19:00
前売券¥6000/当日券¥7000(各ドリンク代別途必要)
-LIVE-tofubeats -SPECIAL GUEST-森高千里、藤井隆 -VJ&LAZER-huez
※SOLD OUT

◾️2024年11月22日(金)
那覇Output開場18:00/開演19:00
[チケット]前売券¥3500/当日券¥4000(各ドリンク代別途必要)
-LIVE-tofubeats

◾️2024年12月13日(金)
名古屋JAMMIN’開場18:00/開演19:00
[チケット]前売券¥4500/当日券¥5500(各ドリンク代別途必要)
-LIVE-tofubeats -VJ-VIDEO BOY

tofubeats「もっと体が丈夫だったらいろいろできることがあるのにな」ネット世代のカリスマDJが数々の病気を経て明るくなったワケ〉へ続く

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