〈痴漢抑止活動センターが怒りの告発〉「〇〇したことありますか?」とのセクハラ電話に“ありえない郵送物”も…
集英社オンライン / 2024年10月16日 17時0分
今年7月、若年層を対象にした痴漢被害のオンライン調査の結果を内閣府が公表。なんと10.5%、およそ10人に一人が痴漢被害の経験があることが判明した。一部では“痴漢大国”とも言われてしまうなど、今や国際的な問題にもなっている日本の痴漢問題。そんな中、痴漢被害を防ごうとする一般社団法人がセクハラ被害を受けるという、地獄のような事件が発生した。
【画像】痴漢抑止活動センターに届いたトンデモない嫌がらせの郵送物
痴漢抑止活動センターにかかってきた嫌がらせ電話
被害を告発したのは、2015年に発足、16年1月に法人化した一般社団法人・痴漢抑止活動センター。電車内で痴漢にあっている人が被害にあわなくて済むようにと、“痴漢抑止バッジ”を配布するなどの活動をしている。
バッジのデザインは、毎年夏に開催される、学生を対象に行われている痴漢抑止バッジデザインコンテストの受賞作。現在は「第10回痴漢抑止バッジデザインコンテスト」が開催中で、11月6日(水)~17日(日)まで一般も参加できる最終審査が行われる。
バッジをつけるだけで効果があるの? とも少し思ってしまいそうだが、考案者の女子高校生はバッジをつけてからというもの、痴漢被害を全く受けなくなったという。
バッジはカバンのストラップなど、加害者の目につくところにつけておくのが効果的で、これによって大きな抑止力になるそうだ。
そんな痴漢抑止活動センターだが、10月8日に公式Xにて、嫌がらせのセクハラ電話があったことを発表した。
その内容は、痴漢抑止活動センターの番号であることを確認したうえで、猥褻な質問をぶつけてくるというもの。電話をとった担当者は、あえて向こうの言葉が聞こえていないフリをして、何度も相手に大声で言わせるなど、毅然とした態度で対応をして追い払ったという。
〈当センターに、猥褻質問に顔を赤らめて返答に困るような職員は存在していません。お互い時間のムダです〉とはっきりと言い切ったこのポストは非常に多くの称賛や励ましの声を集めることになった。
痴漢抑止活動センターにセクハラの電話をするなんて、ありえないような嫌がらせだが、同センターが被害を受けたのは実はこれが初めてじゃない。センターの代表理事・松永弥生さんが取材で、今回の件や、過去の被害についてなどを明かしてくれた。
電話をしてきた相手の雰囲気は……
「まず今回の件ですが、電話を出ると突然、相手から『〇〇〇チオしたことありますか?』と猥褻な質問をされました。すぐに嫌がらせだと悟り、『よく聞こえないから大きな声でしゃべってください』などと対応したところ、相手は何度もその発言を繰り返していましたね。そのうち、諦めて電話を切ってくれましたが。
声だけなので相手の素性はわかりませんが、声質と質問内容からして、男性と推測しています。年齢は3、40代くらいでしょうか。
暗い声ではなくて良い声、もし会社員だったら、すごいハキハキ喋る好青年みたいな雰囲気と思いました。その声で何度もそんな発言をされたので、より気味が悪かったです」(松永さん、以下同)
2年前には「女の人って、痴漢されている時感じるんですか?」と質問するセクハラ電話がかかってきたもあるという。このときは松永さんが電話を切っても向こうから何度もかけ直してくるなど、しつこく執着されたそうだ。
そんな経験もあって、今回はあえて電話を切らずに、向こうにひたすら言わせるという対応を試みたのだ。
また、セクハラ以外にも、電話をしてきていきなり「女性専用車両は男性差別だ!」だのと文句を言ってくる人もいると松永さんは話す。
SNSで誹謗中傷を受けることもよくあり、中には「こんなバッジをつけている女性がいたら迷惑だ!」などと、意味不明なクレームをつけてくる人もいたという。
そんな中でも、もっとも憤りを感じたという経験が、今年の夏にレターパックでセンター当てに届いた配達物だ。中には、使用済みの男性用性具と一通の手紙が入っていた。
手紙には、自身が日常的に性欲が高まる細かなシチュエーションが書き連ねており、最後に「こういうことをして痴漢しないように努力していることを伝えたい」という理由から、使用済みの男性用性具を送り付けたと書かれていた。
レターパックに書かれていた住所を調べると……
「あまりにも不愉快な思いをしたので、110番しました。しかしレターパックに書かれていた電話番号に警察が電話をしてくれたのですが、どうやら適当な電話番号だったらしいです。また、記載されていた送り主の住所も、ジェンダー関係の本を出版している会社の住所でした。
なので犯人を特定することはできませんでしたが、警察は事務所の周りを重点的にパトロールしてくれるなど、すぐに動いてくれましたね」
今回SNSでバズったときのように、世間の注目を集めると、それと同時に誹謗中傷の被害も増えてしまうという。しかし松永さんが発信を続けるのは、発信することで活動が知られ、共感してくれる仲間を見つけることができるからだ。
以前に投稿がバズった際、とあるインフルエンサーがこのバッジを紹介してくれたところ、誹謗中傷が一気に止まり、センターを月額500円(現在はシステムが変更になり、最低1000円から)でサポートしてくれるマンスリーサポーターが、7人から150人に一気に増えたそうだ。これによって、ついにバッジを無償で配布できるようになった。
痴漢被害はそのときだけでなく、心に大きな傷を残す。性暴力のない社会を目指すため、松永さんとサポーターの戦いは続いている。
取材・文/集英社オンライン編集部
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