「裏金ではない」“非公認”西村康稔氏は立憲・枝野氏の“切り取り”音声で必死の潔白アピールも…枝野サイドは「恥ずかしくないのか!」
集英社オンライン / 2024年10月23日 18時38分
裏金問題の責任を問われ、衆院選に自民非公認での出馬となった旧安倍派5人衆のひとり、西村康稔元経産相(兵庫9区)。そんな西村氏に枝野幸男元立憲代表がすっかりお冠だという。いったい何があったのか。
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「裏金ではない」枝野氏のお墨付きをアピール
枝野氏をカチンとさせたのは西村氏が出陣式などで見せたある言動。
「(旧安倍派からの還付金は)不記載でもなければ、裏金でもない。じつは今年3月の政倫審で私が弁明した後に質問に立った枝野さんが、彼は弁護士なんでよく調べて質問したんだと思いますけど、こう言っているんです。その時の(枝野さんの)セリフがあるので、ちょっと聞いてください、みなさん!」
と、枝野発言の一部を切り取る形で聴衆に紹介し、自らの潔白アピールに余念がないのだ。
10月17日に行なわれた出陣式に参加したというある男性もこう証言する。
「出陣式の会場内に設置されたスピーカーから、いきなり『計上しているので、たしかに裏金にはなっていない。西村さんの分については裏金にはなっていない』という政倫審での枝野さんの発言が大音量で、しかも2回も流されました」
この枝野発言だけを切り取れば、たしかに「(還付された100万円は)不記載でもなければ、裏金でもない」という西村氏の主張を、政倫審という公の席で追認していたかのような印象を受ける。
ただし、この枝野発言は時間にして10秒足らず。実際に枝野氏が政倫審で質疑した時間は22分間もあり、その全体トーンは裏金問題への追及で一貫している。
西村氏が潔白パフォーマンスのために切り取った10秒ほどの枝野発言も、その前後を含めて聞けば西村氏を厳しく断罪していることがわかるはずだ。
改めてそのくだりを正確に再現してみよう。
「虚偽記載」指摘を恣意的に外し…
「西村さんが修正前の報告書でやっていたやり方、還付分なのか中抜き分なのか知りませんが(中略)、ノルマを超えた分を自分の政治資金パーティの収入に上乗せして、そして計上しているので、たしかに裏金にはなっていない。西村さんの分については裏金にはなっていない。(でも、それは)虚偽記載であるということなんです」
この発言部分のミソは「虚偽記載」という言葉だ。
政治資金規正法は会計帳簿の虚偽記載で3年以下の懲役または罰金50万円以下、政治資金監査報告書の虚偽記載でも罰金30万円以下と定めている。つまり枝野氏は、西村氏は立派な刑法違反を犯していると指摘しているのだ。
なのに、西村氏は「虚偽記載」というキーワードを外し、潔白アピールに都合のいい部分だけを有権者に聞かせているというわけだ。
比例復活なしの背水の陣で臨む選挙とはいえ、ずいぶんと“策士”である
この枝野発言切り取りの一件を西村氏本人はどう考えるのか?
10月20日、明石市のJR大久保駅北口で街宣中の西村氏を直撃してみた。
ちなみにこの日も西村氏は演説の冒頭で「今日はスピーカーから流すことはしませんが」と断ったうえで枝野発言を紹介、「一切、裏金などやっておりません」と自己の無実アピールに余念がなかった。
しかも、「(収支報告書の)書き方が間違った」、「誤記載だった」という新たな自己弁護ワードまでも追加する始末だった。
当の枝野事務所にコメントを求めると…
ただ、この日、枝野“切り取り”発言について問いかける集英社オンライン編集部の記者に西村氏は最後まで無言のままだった。
ならばと発言を切り取られた枝野氏に所感を求めてみた。すると、枝野事務所を通じてこんなコメントが――。
「人の言葉を都合よく切り取り、真意を歪め、それを使って選挙を戦う。恥ずかしいと思わないのでしょうか?
西村さんは裏金ではなかったと主張されているようですが、裏金も虚偽記載も罪の重さは同じ。自民党から党員資格停止の重い処分が下された理由をもう一度考え直されたほうがよいと思いますよ」
西村氏の発言切り取り行為に、枝野サイドはかなりの不快感を覚えているようだ。
さて、注目の選挙情勢だが、裏金問題での潔白アピールも功を奏しているのか、多くのメディアが西村氏優勢を分析する展開となっている。
実際に西村氏が街頭演説に立つと、あちらこちらから聴衆が10人、20人と集まり、握手と写真撮影をねだる人が絶えない。
さすが当選7回の選挙強者。その大物感はまだまだ健在といったところだ。
西村氏の演説を聞いていた明石市在住の50代男性が言う。
「本人が反省して、ゼロからの再出発と言うてはるからね。そこをみんな信じているから、街宣にこれだけ人が集まるんやと思います」
石破首相は裏金問題で処分された議員について、「当選すれば、政府・党の役職への起用を適材適所で検討する」と表明している。
はたして西村氏は非公認のハンデを乗り越えて当選を果たし、ふたたび自民党のメインストリームへと返り咲くことができるのだろうか。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班
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