1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

〈“指詰め”で保険適用〉詐欺容疑で暴力団若頭を逮捕「ノミをあてがい金づちで一気に」「勢いで指先がヒュッと飛んで…」ヤクザ映画とは違う実態

集英社オンライン / 2024年10月24日 18時36分

自らの意志で指を切断する「指詰め」を行なっておきながら、過失と偽って、不正に国民健康保険の適用を受けたとして、特定抗争指定暴力団山口組弘道会幹部、野内正博容疑者(58)が岐阜県警に逮捕された。初めて聞く事案での逮捕に、ヤクザの間ではすぐにSNSで情報が共有されていた。

〈画像〉ヤクザが指を落とすときの意外な必須アイテム

指を落とすのは輪ゴムで縛って感覚がなくなってから

この事件が話題になったのは、逮捕されたヤクザが大物だったこともある。野内容疑者といえば、弘道会では若頭という地位にいる幹部。

その幹部が昨年2月に自ら指を切断したにもかかわらず、過失による負傷と偽って詐欺行為を行なった。国民健康保険で支払いを免れた金額は4万5千円。

山口組関係者はこのニュースにあっさりと「仕方ない」と答えた。

「あれは誰が見ても偽証。指詰めは自傷行為。保険適用されないことぐらい、ヤクザなら知っていて当たり前。治療をした医者も、見るからにヤクザらしい男が切断した指を見せてきたら、『どうしましたか?』『なんで切りましたか?』なんてわざわざ詳しく理由は聞いたりしない。『事故です』と言われれば、『そうですか』としか答えようがなかっただろう」

今でも暴力団の間では「指詰め」が行なわれている。数が減っているとはいえ、ヤクザにとっては不始末に対してケジメをつけ、失敗をリセットするための方法である。

指定暴力団の古参幹部A氏はこう話す。

「小指がなければすぐにヤクザだとわかる。今はヤクザに厳しい時代。ヤクザとなれば仕事がやりにくい。昔のようにヤクザがステータスで幅を利かせられるわけではない。
シノギのために組員を組から脱退させるような時代だ。下手に子分の指を取るより、ケジメを取らせる方法はいくらでもある」

A氏は2度、頼まれて他の者の指を落としたことがあるという。

「指詰めは自分でやるより、やってもらったほうがいい。落とす指に刃物をあてがっても、イザとなれば怯むものだ。ここから落とすと定めても刃物を持つ手が震えて、斜めに切ったり、切り損ねたりしやすい」

用意するのはノミとまな板、木づちか金づち、それに輪ゴム。消毒液にタオルや包帯も用意する。極道映画の指詰めシーンでは、その場で躊躇なく小指を机の上に置き、持っていたドスや包丁で一気にすっぱりと切っているが、その手法だと痛いし出血も激しいという。

「まず落とす指の根元を輪ゴムでぐるぐるとしっかり縛る。3分もすれば、血が溜まって固まり、指先がうっ血して紫色に変色する。そのうち冷たくなってきて感覚がなくなる。落とすのは感覚がなくなってから。
まな板の上に指を置き、落とす場所を決めてノミをあてがい、木づちか金づちをそこに一気に振り落とす」(A氏)

切り落としたら病院より先に親分のもとへ

落とす場所は関節の少し上。すると切られた指先がピュッと飛ぶという。

「血が溜まっていた勢いで、指先がピュッって飛ぶんだ。1度目はこれぐらいかな」とA氏がテーブルの端に目をやるが、その距離はゆうに50~60センチはある。しかし2度目はもっと飛んだという。A氏に言わせれば、切られた指がそのまままな板の上にあるというのは、極道映画の中だけだという。

まな板に小指を置くとき、爪は下、指の腹を上にする。

「爪を上にするほうが落とす場所を決めやすいが、指が斜めになって切りにくい。切った痕が斜めになると、病院に行ってから余分な骨を削られるんでね」と、A氏は小指をさすった。

指の腹を上にして自分で場所を決めると、できるだけ指を残したいと思うらしく、切断場所が少しずつ指先のほうに上がっていくという。

「短くても爪がついていればいいんで。落とした指の長さをどうこういう者はいませんよ。たまに落とした指が短くて、後で爪が生えてくることがあるけどね」とA氏。

生えてきた小さな爪を、爪切りで愛おしそうにパチパチと切っていた子分もいたという。

指を落とすために使われるのは、昔ならドスか包丁。今はノミか包丁が多いらしい。

もう亡くなったが、関東を中心に活動していた暴力団組長は指を落とさなければならなくなったとき、ドスを小指にあてがい自分の体重をかけて落としたと聞いた。

子分の不始末の責任を取って、ケンカ相手の組長の前で包丁を指に当て、置いてあった大理石の灰皿をそこに一気に落とした組長もいたという。

「出刃包丁ならいいが、普通の包丁は金づちで打ちにくく、切り口が斜めになりやすい。骨が切れなくて、指がぶら下がることもある。ノミのほうがキレイにすっぱり落とせる」(同前)

指を落とすのはいいが、落とした指をいつ持っていくかが問題だ。指を落としたほうは痛くてたまらないから、一刻も早く病院で治療を受けたい。

最近はすぐに病院に駆け込めるよう、病院の近くで指を落とすという話も聞く。

「病院に行った後に指を親分に持っていけば、『ばか野郎、なんで先に来ない。こっちに来るのが先だろう』と怒鳴られる。病院にいく前に持って行けば、『バカか、わかったから、早く病院に行ってこい』となる。痛みに耐えながら、病院より先に親分に指を持っていくのが極道だ」(同前)

詰められた指の行方

病院では切断した骨の周りをきれいに削り、皮を伸ばして切断した指先にきれいに被せて、医療用ホチキスでパチンパチンと留められるという。

「切る場所によっては、関節が残っていると切断面がきれいに丸く治らないため、ペンチみたいな器具で骨をバチンと外されるらしい。下手な医者に当たると、指先が膨らんだようになって不格好になる。

知っているヤクザに、指先が『きのこの山』みたいになっていたヤツがいる。救急で行った病院の医者が下手だったらしい。指詰めは治療に慣れた医者を選ぶのも肝心だ」(同前)

指を落とすのは、まず利き手とは逆の小指からになる。落とす理由は、今も昔も金絡みが最も多い。組の金やシノギを使い込んだり、仕事で穴をあけたり、下手を打って損失を出したりして自分ではどうにもできなくなって指を詰める。

組長や兄貴分の女に手を出したなどでケジメをつけるときは、利き手の小指という時代もあったが、今はそれはないという。

しかしケジメをつける相手によって、指の落とし方が違うのは今も変わらない。

「上部組織などに指を持っていくときは、必ず爪がついている指を持っていく。左手の小指の第一関節を落としてしまっていたら、右手の爪のついた小指を落として持っていく。そこもなければ左手の薬指になる。組内なら爪がついていなくても許されるから、左手の小指の第二関節を落とす」(同前)

爪がついていればいいなら、足の指でも許されるのかと聞くと、A氏は「そういうやつもいるだろうな。指には細いのもあれば太いのもある。短いのもあれば長いのもある。要は爪がついた指ならいいんでね。どこを切ったかなんて、包帯が巻かれていればいちいち確認しないからな」という。

A氏の知るヤクザの中には、5回も6回も指を落とした者がいたという。

切り落とされた指はその後、どうなるのか。

「若い衆の指なら『こんなもん、いらん』といって、生ゴミとしてポンと捨ててしまう組もあれば、昔は親分がその場で差し出された指を飲み込んだという組もある。大概は小さな小瓶に入れてホルマリン漬けにして保管されるが、並んでいる光景はなかなかのホラーだ」(同前)

今は指詰めを禁止している組もあると聞くが、それでもヤクザの指詰めはなくならない。

逮捕された野内容疑者の詰めた指は誰に届けられ、どうなったのだろう。気になるところだ。

取材・文/島田拓 集英社オンライン編集部ニュース班

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください