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〈「ホワイト案件」にも注意〉増える闇バイト募集、大手求人サイトでも…専門家が教える「見分け方」5つのポイント

集英社オンライン / 2024年10月24日 16時23分

10月19日、横浜市青葉区の住宅で男性が殺害された事件で、強盗殺人の容疑で宝田真月容疑者(22)が逮捕された。宝田容疑者は、数十万円の税金の滞納を理由にSNSで短期高額バイトを探し「ホワイト案件」の文字を見つけて応募した。

【画像】強盗に遭遇してしまったときに効果的な防犯グッズ

こうしたSNSでの闇バイト募集は、大手求人サイトにまで広がりを見せており、表向きは一般職の闇バイトも存在するという。闇バイトの実態はどのようにして見分けたらいいのか。防犯アドバイザーの京師美佳氏が解説する。
 

「強盗に加担していることに気づいたときには、仕返しや家族への危害を恐れ抜け出せなくなっていた」

こうした証言もある闇バイトの募集はSNSにとどまらず、一般職の求人募集にも混在し、大手求人サイトにまで広がりを見せている。自分自身と身近な家族を守るために、闇バイトを見分ける「チェック項目」を5つ挙げる。

1 報酬が高過ぎる

「まず、確認したいのは報酬です。時給5万円以上という表記があったら、疑ったほうがいい。たとえば“モノを配送するだけで5万円”というのは高過ぎます。しかし、今回の事件の容疑者のように税金の滞納、借金をしているなどお金がないときには正常性バイアスが働きやすい。

『面倒なところに届けるのかな』『遠いところに行くのかな』と、『ちょっと大変なのかも』くらいの気持ちで応募をしてしまいます。よくよく考えると、時給5万円の仕事はそうそうないとわかるのですが、金銭面で窮している時には冷静な判断ができないのです」(防犯アドバイザーの京師美佳氏、以下同)

2 連絡手段にテレグラムやシグナルのアプリを使用する

「通常、仕事を始めるときには、後のトラブル(給与面や勤務時間、規律の水掛け論)を回避するためにやりとりを残しておきたいものです。そのため、メールや電話、書面でのやりとりが一般的です。それを24時間で消えてしまうアプリを使用するのは不自然です。

少し前までは、テレグラムが主流でしたが、最近ではシグナルにシフトしています。両方とも、24時間でメッセージが消えるのが特徴です。

万が一、お子さんや周囲の方にこのアプリを使用している人がいたら『なぜダウンロードしたの?』と一度聞いてみても良いかもしれません」

3 早い段階 or 会う前の身分証明書の提示

「まだ会社に訪問していない、担当者に会っていないなど早い段階で身分証明書の提示を求められたときには怪しんでみてほしい。

中には、さらに緊急連絡先としてご両親の名前、住所、固定電話の番号まで求めてくるケースもあります。『家族に危害を加える』など、後に闇バイトから抜け出させないための脅しの材料に使われます。安易に教えることは控えましょう。

また、口座情報についても伝えるのは慎重であるべきです。詐欺事件などで不正利用されることがあるからです。勤務初日か、それ以前に聞かれるのは早いと思います」

大手求人サイトであっても要注意 

4 本社や記載住所を調べ実在しているか確認する

「求人情報に住所が記載されている場合は、検索をしてストリートビューなどで確認します。すると、空き地や無関係の雑居ビルであることも。電話ではごまかせても、位置情報から現地を見たり、実際に足を運ぶことで、実在しない架空の住所だと判明したこともあります。住所検索は必ず応募前にしておくようにしましょう」

5 具体的な仕事内容の記述の有無

「過去、大手求人サイトからの応募で闇バイトにつながった職種は、コールセンター、配送業務、シール貼りがあります。もちろん、通常の一般募集がほとんどですが、だからこそ『大手のサイトだし大丈夫だろう』と油断してしまうのです。

他にも、知人から『海外への翻訳ビジネスの募集へ応募したところ、現地でかけ子の仕事だった』という話を聞いたことがあります。一年ほど前の話で、当時は『大手求人サイトだったから全く疑わず、旅費がすべて無料であることと割高な報酬に舞い上がってしまい、仕事の詳細を確認しなかった』と。この場合は、なにに関する翻訳なのか? など詳細を確認するべきです。

コールセンター業務であれば、なんのコールセンターで、どんな場所で、何人くらい勤務していて、何時から何時まで働くのか。記載がないときには、疑問点や詳細を尋ねてみましょう。

濁したり、きちんと答えられないときには、前述の4つも示し合わせ当てはまる場合は避けたほうが賢明です」

大手求人サイトであっても上記5つは必ずチェックするようにしたい。そして、特に気をつけてほしいのが若い世代だと京師氏は警鐘を鳴らす。

「このバイトちょっと怪しいかも?」と感じたときには… 

「中高生は『これは犯罪じゃないって言われたから』『友達からの紹介だし』と、簡単に信じてしまいます。健全な判断力がまだない世代だからです。

SNSで、名誉毀損をした人に対して開示請求をする人が増えていますが、開示してみると相手方は中学生が一番多いこともわかっています。受験があったり、心身に大きな変化が生じるときなのでストレスも溜まりやすいようです。

親御さんも、お子さんを守るためにペアレンタルコントロール機能を用い、スマホの使用時間の制限や、インストールしたアプリを把握しておくことが大切です。

対面では会話をせずに、LINEアプリのやりとりで済ませる家庭もあるようですが、するとお子さんの変化や困りごとに気づきづらい。日常でコミュニケーションをとる意識を持つことが、犯罪へ加担することを回避する第一歩ではないでしょうか」

確信が持てずとも、途中で「このバイトちょっと怪しいかも?」と感じたときにはどうすればいいのか。

「親や友人へ相談する。それがはばかられるときには、#9110に電話をしましょう。警視庁総合相談センターにつながり、現状を伝えることで闇バイトかの判断や対処法などアドバイスがもらえるはずです。

くれぐれも一人で抱え込まず、第3者へ早めに相談してほしいです。ちなみに、110番は緊急ダイヤルなので、誤らないよう気をつけたいですね」

自分や自分のまわりは大丈夫、なんていう思い込みは捨て、しっかりと確認してから求人に応募する意識を持つようにしたい。

取材・文/山田千穂

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